vol.11 はじまりの風景 【朝から幸せになれる ほうれん草とウインナーのおにぎり】
「今朝は、何番手だろう」
はやる気持ちを抱えながら、早朝に車を走らせました。
流れる景色に映るのは、仄暗いなか荷台に仕事道具を積み込む人や、ダウンジャケットに顎まですっぽり包まれながら犬の散歩をしている人。この時間帯を外で過ごしている人数は多くない。勝手に仲間意識もちはじめた頃、雲がピンク色に染まりはじめる。
去年の暮れから年明けにかけて、朝活を復活させました。
もともと朝は得意なほう。しんと静まり返ったダイニングで、ひとりパソコンを開き、カタカタ指を動かすのが好きなんです。
でも最近はすっかりさぼってしまっていました。
だって寒いし、暗いし、物音で家族が起きてくるかもしれないし……。誘惑も、言い訳も、挙げはじめたらいくらだって見つかるもの。
これは、復活するきっかけを作らないといけない。
そこで「年末年始の朝は、外で作業をする」と決めました。
外出となると、否が応でも顔を洗うしメイクをするし着替えもする。
近くのコーヒーチェーンのオープンに合わせて出発時間を設定すれば、朝のまどろみも吹き飛びます。
朝活、初日。車を10分ほど走らせて店に到着すると、オープン直後だというのに、もうすでに数名がオーダーを済ませていました。みなさんお早い!
わたしが席についてからも、次々にテーブルが埋まっていきます。5〜10分に1名くらいのペースでしょうか。“朝一はもしかしたら貸切状態なのかな”と想像していたら、全然そんなことはなかった。とはいえ店内の半分以上は席があいていて、各々がほどよい間隔を保つことができます。
この朝の時間に共通しているのは、ほとんどの利用客が“ひとり”であるということです。
新聞を広げている人、読書をする人、書き物や勉強をされている様子の人や、パソコンに向かう人。ゆっくり朝ごはんを味わっている人もいれば、お店の人との会話を楽しまれている人も。過ごし方は、みなさんそれぞれ。
わたしもコーヒー片手に作業を進めていると、あっという間に時間が過ぎていきます。個が集まる空間には不思議な一体感があって、どういうわけか集中力が高められるんです。
朝のうちにタスク処理が完了すると、その日は少し心の余裕が持てますしね。
そうして去年の暮れから、年明けまで。ほぼ毎日、朝のコーヒーチェーンに通いました。いつものスタッフさんに、朝の常連客と思われる人も多くて、お店に行くのが楽しくなってきました。
「今日は入店1番乗りを目指すぞ!」朝活習慣で自分だけの小さな目標もできました。
年明けのある日には、めずらしくスーツ姿の男女3人連れ。明るい笑い声が店内を転がります。
その雰囲気から、どうやら仕事はじめのよう。休み明け、数日ぶりに顔を合わせたのでしょうか。みなさんの表情がうれしそうなのは気のせいじゃないはず。ラテを持って「今年もよろしくー」と乾杯される様子がなんだか新鮮で、キラキラしていました。
職場に向かう前に、申し合わせて集まったのかもしれない。そういう関係っていいなぁ、チームだなぁ、なんて。わたしの仕事は基本個人活動でほぼリモート。人と会うことが少ないので、仲間と仕事をする環境が眩しいです。
そんな風景に出会えるのも、朝この場所にきたからこそ。お正月休みが終わってからも、休日の朝活は続けることにしました。
新たな1日のはじめ。
新たな1年のはじめ。
今年もおにぎりアレンジのご紹介などで、たくさんの方とご縁があるとうれしいです。2024年もどうぞよろしくお願いいたします。
- ONIGIRI recipe -
ウインナーを入れたおにぎりは食べごたえが抜群。朝の一品にぴったりです。こどもの頃に大好きだった「チーズインウインナー」を使ってみたら、とろりチーズのコクも加わって最高でした。
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