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言わなくてもあるんだよ。

2015年に子どもたちがつくった、震災を風化させないためのモニュメント。

伝え続けるためには、何度もその時代に生きる人たちがつくり、更新していくことが大切だという思いで、朽ちて新しいものをつくってもらえるようにと木のベンチをつくった。全部繋げると、311㎝になる。制作当時の子どもから大人からのメッセージがたくさん書き込んである。

ちょうど4年前に、実家のテレビから流れてきたニュースで、このモニュメントのことを知った。当時は、石巻ではこんな活動もしているんだなあ、くらいにしか思っていなかったけど、まさか、その活動に職員として関わるようになるとは。人生は、わからないものだなあ。

話を戻して、このモニュメント、しばらく館内の隅っこにちょこんとおいてあるだけで、これがなんなのか、誰もわからない感じになっていた。

これでいいのかな?とおもっていたところ、子どもたちから、きちんと展示したい!という声があり、みんなでどうするか話し合いました。

その結果が出るまで、とりあえず見やすいところに置いておこうと思い、置いていると、子どもたちから色々な反応が。

「これ、なに?」から始まり、説明すると、「私もメッセージを書きたい!」と何人も言ってきました。
震災以降に生まれた子や当時1歳だった子が、学校や家で聞いた話、それを聞いて思ったことを書き足していました。

現在小3で当時は1歳だった子に、生まれてたけど記憶はあるの?と聞くと、「近くの学校に避難していて、3年生の教室の前にいたことは覚えている」と話してくれました。字では書けないからと描いた絵でのメッセージでは、おばあちゃんの家が津波の被害にあったことも教えてくれました。

また、現在小1で震災後に生まれた子は、「じしんがきたらたかいところににげよう」とメッセージを書いていました。なぜそうやってかいたの?どこかでおそわったの?と聞くと、「地震のことは元々しってた。誰かからいわれたわけじゃない。自分でそう思って書いたんだよ。」と教えてくれました。あとで、保護者の人に伝えると、ほんとに思ったの?なんて疑われていたけど。

震災の当時小さかったから、後に生まれたから震災について知らない、思いがないなんてこと、ない。
石巻に住んでいれば必ず耳に、目にする震災のこと。

いつも考えてるわけでもないけど、思う事はあるんだよね。
みんながみんな、おもいを口にするわけでもない。
その、心の中でとどまった想い、きもち、口に出さなくてもいいから、ゆっくりと消化されたり芽吹いたりするといいなあ。
と、子どもたちの姿を見て思ったのでした。


子どもたちが、大切な時間を一緒に過ごしてくれていること、すごく近くで一緒にいられることを、有難く思う今日この頃なのでした。

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