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「ライターになりたい」と会社を辞める前に。ノーリスクで履歴書に書けるスキルを身につける方法

フリーランスになってから、よく「会社辞めようと思っているんですよね」の相談を受けます。でも、編集やライターの仕事って「ゴリゴリやってく」の少し手前であれば、裁量労働制の企業で正社員をやりながらほどほどやるのもいいと思うんですよね。

なんでみんなすぐに会社辞めたがるんだろう? と思ってしまうことも。やっぱり、フリーランス過激推進派の意見が目立つからでしょうか。でも、”なりたい”ステップなら、しばらくは会社にいたほうがいいとも思うんです。メディアじゃない、普通の会社でも。

私はコンテンツプランナーと編集者として独立し、企画・執筆の仕事をしています。でも、ここ1年をのぞき、社会人キャリアのすべてが事業会社の正社員です。

「フリーランスで食っていきたい!」「起業したい!」とは一切思ったことがない超会社員脳だった私。なんなら今もOL気質が抜けません。ネイルがはげたら帰りたくなるし、暑い日には「みんな〜! アイス買ってきたよ〜!」って、コンビニのファミリーパックアイスを配りながらオフィスを練り歩きたいタイプ。兼業でそこそこ長く実績を作ったうえで「まあなんとかなるかもー!」とフリーランス(仮)をゆるく始めましたが、本当に暫定(仮)なんです。

そもそも、エンジニアや経理・法務・人事と比較すると、ライターや編集者って専門職ではあるものの、一般的には稼ぎにくい職種です。もちろん、1本数十万円クラスの方もたくさんいます。企業広告が絡むと、もっといく。でも、まだ「ライターに”なりたい”」のステップであれば、変に会社を辞める必要はまったくないです。

「じゃあ会社員が何をしたらいいの? 副業? ブログ?」それはもちろんやったほうがいい。私も、それをやったことによって独立できた部分は大きいです。やっててよかった。

でも、「副業でこんなにやりました!」「こんな人にインタビューしました!」「連載も持ってます! 雑誌でも書いてます!」って、意外と諸刃の剣でもあるんですよ。「じゃあ、本業にはコミットしてないの?」と思われてしまうリスクもある。正社員として転職したときに、給与レンジを上げられなかったら、困りますよね。副業で小銭を稼ぐより、キャリアになる本業の底上げたほうが、絶対にいいし。

そこで、会社員だからこそできることがあります。それは「会社のコンテンツ制作にガンガン手を出す」こと。メディア企業に限った話ではありません。

事業会社って、企業サイト、採用サイト、プレスリリース、社内報などなど、想像以上に「ライティング仕事」が多いんです。しかも、メディア企業と違ってプロが不在。エースポジションがまるっとガラ空きなわけです。ほら、先にやったもん勝ち。副業NGの企業でもできますよね。なんなら、「この人愛社精神あふれみ!」「自社のサービス愛すごいね!」って、地味〜な信用にもつながるかも。

「しょせん社内の仕事でしょ?」とあなどるなかれ。ライターや編集者として食べていくためには、単価が高い仕事を受けるのが鍵。それって、多くが法人案件なんです。それを会社員のうちからやってしまえば、ノーリスクで実績をつむことができて、履歴書にもばっちり書ける! 確実に信用に繋がります。

意外なところでは、議事録もそのひとつですよね。こんなに「早く」「わかりやすい」文書の練習がたくさんできる環境って、なかなかないですよ。

私は頼まれてもいないのに、会議だけでなく社内イベントのレポートをQiitaをつかって大量に書いていました。新卒で入った企業でも、当時はまだめずらしかった企業Twitterを立ち上げてあれこれつぶやいてました。9年くらい前かな。

新卒で入った企業は音楽TVチャンネルが運営する音楽レーベル。ずっとメディア事業に行きたくて異動願いを書いていたけれど、変にガッツありそうな若手に見えてしまったからか、キャリアはずっと営業とPR。転職後、最後のキャリアは人事でした。なぜ! でも、今となっては大正解でした。今までにお世話になった上司たち、ありがとう……。

「会社員が向いていないからフリーランスになった」で成功しているカリスマタイプの方も、そりゃもうたくさんいらっしゃいます。けれども、会社員も捨てたもんじゃないんですよ。「長年会社員として働いていた」というだけでも「この人、安定感あるのかも?」という印象になる。「法人案件の実績がある」「そこそこ大きな企業の公式SNS運用実績がある」「Employee Experience向上のための社内コンテンツを担当していた」なんていうのも、大きなプラスになるんです。

もちろん、メディア業界でTOPを目指すなら邪道ではあります。でも、私自身、新卒で大手出版社や新聞社に入ったわけではありません。おそらく給与レンジが高い大手メディアから「報道記者職」として内定をもらうのは難しいでしょう。冷静に考えて「ここから着々とリカバリーしていくなら、まずは事業会社で会社員として内側からできることをやるのが一番だな」と思ったんです。

もしも本業が広報や人事職なら、キャリアの掛け算はばっちりかと。各社が人材獲得に難航しているこのご時世、採用広報領域は需要があります。SNSでオープンにしているのはメディアの仕事が多いですが、私も独立初年の売り上げは、ほとんどが企業CSR系の広告と採用広報の仕事でした。

「ライターに”なりたい”」って思うなら、今すぐインハウスライターになっちゃえばいい。だって、ノーリスクだもの。なりたいって言うより、さっさとなっちゃったほうがいい。現場からは以上です。

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