人生はそう、うまくいかないから生きがいがある

私はこれから、やりたいことだけをする人生を送ろう

そんなことを想ったのは、1年前の2017年の12月3日。

日本武道館で行われていたサンボマスターの初めての武道館ライブでのことだった。


このnoteでも何度か触れているように、私は学生時代にサンボマスターに出会ったおかげで高校を辞め、通信制の高校に転校をする決意ができた。

そこからの人生は、ほぼサンボマスターと共に歩んできている。

共に歩むなんて、向こうからするとおこがましい話かもしれないけど…。

唄とギターを担当している山口隆は、よく言う「青春時代に戻れ!」と、

彼が言う青春時代は「18歳」ぐらいのことで、私がもし18歳に戻るとしたら、サンボマスターなしでは生きられない時代を送っていたあの時のあの瞬間になる。


武道館の日、舞台のそでから3人が出てきただけで、息ができなくなるぐらいに涙があふれて、口がモゴモゴして心がギュッと苦しくなった。

今思い出しただけでも、涙が溢れそうになる。

その涙の理由は、いまだによく分かっていない。

でも、心が燃えるような熱さを感じたときに思ったことは「今日からの私の人生は、絶対に新しくするべきだ」ということ。

武道館の日の1か月前に、知り合いが亡くなった。

その人は、私の大切な友人の旦那さんで、会ったことは少ないけど、本当に魅力的な人だと思った。

やりたいこと」を見つめている人の目は、目を合わせると反射的にそらしてしまいそうなぐらいエネルギーに溢れていて、キラキラしていた。

「人生はそう、うまくはいかない」という言葉を本で読んだことがある。

誰かがその人の人生を言葉で綴るときがあれば、

もしかすると、その人の人生も、そんな言葉で現わされてしまのかもしれない。

でも、その人の人生はそんなちっぽけなものじゃないと思っている。

それでも、人生を一括りの言葉で現わさないといけないとなると、

「人生はそう、うまくはいかない」という言葉で表現するしかない…という現状を突き付けられてしまうのかもしれない。

去年の夏、その人と出会ったときぐらいに私はADHDと診断をされた。

22歳で、やっと人生の道が開けたような気がした。

キラキラ輝く日々を想像しては、なんでも挑戦しよう!と貪欲に生きることを誓ってみたりもした。

そんなときにBGUで記事をエッセイを書かせてもらえる機会をもらった。

エッセイのタイトルは「始まりの日

これからくる「私らしく生きる」未来を想像して書いた記事は、

今読み直しても甘酸っぱくて、なんだか汗ばむ夏を想像してしまう。

ADHDの診断を受けてから記事に書いているように、アクセサリー作りを始めた。

不器用ながらも、色々なアクセサリを作ることは楽しかったし、

周りの人から「欲しい」と言ってもらえることが、本当にうれしくてたまらなかった。

minneやInstagramに作ったアクセサリーを投稿する日々が楽しくて、

「私のしたかったことはこれかな?これがしたいのかも…」と感じる日々は、

今までに感じたことのない「幸せ」でいっぱいだった。

でも「人生はそう、うまくはいかない」

10月のとある日に体調が悪くて、内科に行った。

いつも通りの診察で、のどに先生が触れたとき「ん?」とおかしな顔をされた。

いつもなら、サクッと触ったら「あ~ん」喉を大きく開ける一連の流れがあるはずなのに、この日はそうはいかなかった。

いつもより長めに先生が触診を終えた後、私に行った言葉は「腫瘍があるので、エコーをとりましょう」

との一言だけだった。

明るい未来に胸を弾ませていて、やっと新しいことを始められるとワクワクしていたあの時に告げられた言葉は本当に重たくて、鉛のようにズシっとのしかかってきた。

先生は、淡々としていてパパッとナースさんと連携をして、エコーをとってくれた。

エコーをとりだしてすぐに

「ここみてください。甲状腺のここね。両方にうつってるこれが腫瘍です。今日時間ありますか?生研を早くした方がいいので、今日時間があれば検査を早くしちゃいましょう」と言った。

私の頭はあまり上手に働いていなかったので、とりあえず「わかりました。大丈夫です」とだけ返事をして、検査の準備をするからと待合室に戻された。

席に戻ったときに、一番最初にしたことは家族に連絡をするわけでも、友人連絡をするわけでもなかった。

ただ、無心で「甲状腺 主要 死亡率」とだけ調べていた。

これはもう現代っ子の象徴ともいえる行為で、なんでも調べれば「欲しい答えが見つかる」と思ってしまっている気持ちは、こういう時にも起こってしまうもんなんだな…。

ネットで出てきた答えは「生存率99%」と書いていて、一安心をしたことをよく覚えている。

もし、あそこで生存率がかなり低い…という結果を見ていたら、私はどうしてたんだろうな。

そんなことを考えながら、先生に呼ばれたので処置室に行き、

細くて鋭い針をブスッとのどに突き刺され、人生で一番痛い思いをして甲状腺の腫瘍を生研に出すために摘出した。

帰りは、驚くぐらい多きなばんそうこうを喉に貼られていて、こういう日に限ってVネックのセーターを着ていたので隠しようもなく、

ちっちゃい子どもからの熱いまなざしを浴びながら帰宅をした。

22歳の夏に感じたキラキラしている未来は

「こうやって、いつか病気になって、いつか死ぬんだ」を実感した秋に変わっていた。

病院では家族より先に友人に連絡をした。

優先順位ではなく、その日偶然ラインが動いていたグループだったからそのままの流れで報告をした。

その時に友達の旦那さんが励ましの言葉を私に送ってくれて、なんだかとっても落ち着いたことを覚えている。

友達の旦那さんは癌を患っていて、当時余命3か月と宣告をされた約3か月を生きていた。

だから、その人からかけてもらった言葉は、とても暖かくて、そして「大丈夫だ」と信頼ができる言葉だった。

でも、「人生はそう、うまくはいかない」

友人の旦那さんは11月11日に亡くなった。

ちょうど数日前にご実家に遊びに行かせてもらっていた矢先の話で、

セブンイレブンの自転車置き場で見た友人からのLINEでの報告を受けて、

私はお菓子を買うことを忘れて、ぼ~っとしたまま家に戻った。

人が亡くなってからの一連の流れというものは、本当にあっという間で、お葬式に参列をしたのもすぐの話だったと思う。

お葬式の最後に、旦那さんが参列者に向けてボイスメッセージを残していた。

その言葉の中に「みなさん、本当にやりたいことをやって生きてください」といった言葉、

「後悔はしてないけど、やりたいことはまだまだある」という言葉があった。

あれだけ貪欲に楽しいことを追求していた人から向けられた言葉は、

暗い会場内でもまっすぐで、透き通っていて、私の心の中にストンと落ちた。

帰り道、ちょっと遠い駅まで友人たちと歩きながら、いろいろ話していたけれど私の頭の中は「本当にやりたいことってなんだろう?」でいっぱいだった。

それからあっという間に日が流れて12月3日がやってきた。

色々なことを感じた、1か月。

「私の生きる意味や価値は?」と悩んだ1か月だった。

私は、学生時代に「音楽に逃げる方法」を知ってしまい、そこから人生をすべて音楽に捧げてきた。

自分のことを唯一認めてくれる音楽がないと、息をするのもしんどくて、辛いことがあればすぐにイヤホンをして周りの音をシャットアウトする人生を送ってきた。

サンボマスターのライブが始まり、私が感じた「今日から新しい日だ」という感情は、私にとっては「今までの自分とは違う自分になろう」という決意からきたものだと思う。

ライブで「ラブソング」という曲を演っていて、その時の演出をよく覚えている。

今までは3人の後ろにかかっていた垂れ幕が消えて、誰も座っていない座席がたくさんあらわれた。

ラブソングは、遠い世界に行ってしまった人への気持ちを歌う曲。

だから、いろんな解釈があるだろうけど「あの座席にはここに来たくても来られなかった人が来ているんだろうな」と後から思った。

なんてスピリチュアルな話なんだ…と思う人もいると思うけど、

まるで黙祷を行うように曲中に1分ほど、武道館の中が静まり返ったあの瞬間は本当に神聖な時間だった。

ライブが終わって、サンボマスターを好きな人たちと飲み会をして、

東京ドームシティのジェットコースターが見えるホテルに帰り、

部屋で一人お酒を飲んだ。

普段は選ばないストロングゼロのレモンサワーを選んでみたのは、

いろんな気持ちが心の中に押し寄せていたからだろうな。

ベッドの上で、寝っ転がっていたら急に衝動に駆られた。

「本当にしたいことは何かを考えよう」「ちゃんと自分と向き合おう」という強い気持ちは、すぐに何かをしなくちゃ…という焦りに変わりそうだった。

缶チューハイのの中身をとりあえず口に含んで、ゴクリと喉を潤わせる。

「よし」と心で決断をし、

私は自分でやっていたアクセサリーのブランド名を、

「1203(イチニーゼロサン)」と決め、この日から自分のやりたいことのためだけに生きようと決めた。

だから、もうライブには頼らない、サンボマスターには頼らない人生を歩むことも決めた。

あれから約1年がたち、明日武道館以来のサンボマスターのワンマンライブに行く。

1年前の「決断」をした私に、1年後の私からひとつだけ言葉をかけてあげれるとしたら。

「ちゃんとやりたいことを見つけられているよ」と声をかけてあげようと思う。

そして、人生はそう、うまくいかないから「生きがい」があるんだ…と教えてあげようと思う。

次のnoteを書くときは、来年やりたいことをまとめよう。

その未来に向かって、歩こう。










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響あづ妙

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