認めてもらえたことが嬉しくて知れた新しい世界②

まだ暑さの残る9月下旬。ベージュ色の薄い素材のスカジャンに、痩せたから買ってみたミニスカートに身をつつんでいた私が向かったのは美容室。

かなり久しぶりの美容室で、ボサボサになった髪の毛と、ブリーチのしすぎで真っ白に近い色まで近づいた金髪ヘアを一気に変えようとしていた。

初めて行く美容室は、この後の予定でまた電車に乗るため、できるだけ駅から近い美容院でおしゃれなお店を選んでいた。

初めて会う美容師さんに「すごい!ここまで綺麗に色抜くの大変じゃなかったですか…??」なんて感心されたことをよく覚えている。

彼女は私がどんなヘアカラーをしようと思っていると想像したのだろうか?これだけ白金に近い色なら、他の人ができないブルー系も綺麗に入る、色素が薄い淡い色がきれいに入りそうは髪色は、美容師さんにとってはワクワクする色なのかもしれない。

いつも行く美容室の美容師さんが言っていたことを思いだした。

「こんな色にする人ってあまりいないから…だから毎回美術みたいで楽しいんよ」

彼女の目を鏡越しに見つめ

バッサリショートに切ってください。髪色は真っ黒がいいです

と言った時、なぜだか心がスッキリした。

辛くてたまらなかった地獄みたいな日々を共に過ごしてきた金髪と、そしてこのボサボサの髪の毛とオサラバできるんだ…そんな気がしたから。

本当にいいんですか?」と驚いた顔で聞いてきた美容師さんだったけど、

黒髪!似合いそうですね♪バッサリ切りましょう」と明るく声をかけてくれて、すぐに髪の毛にハサミを入れてくれる。あの潔い感じがたまらなく良くて、この美容師さんはきっと良い美容師さんなんだろうな~なんて感じたりもした。

カットとカラーが終わり、シャンプーをしてもらい、タオルを取った自分を見た時に、生まれ変わったような気がしたのは美容院でかかる魔法のおかげで、今日から始まる新しい日々にワクワクした。

髪の毛を乾かしながら美容師さんが聞いてきた「この後って予定ありますか?」という質問に「はい。今から面接があるので…」というと、美容師さんは、最初にオーダーした髪型を言った時みたいにまた驚いて、そして、またすぐに「じゃあ、二人で乾かしますね!早めに終わらせます」と言ってくれた。

二人の美容師さんがドライヤーをしてくれると、ショートヘアの髪はあっという間に乾く。軽くなった髪、暗くなった髪。

私はやっぱり、黒髪が似合うなあ…なんて自画自賛しながら、美容師さんにお礼を言い、美容院を後にした。

美容院から歩いて5分の場所にあった駅で切符を買う。

大阪市内から奈良県までは結構安い金額でいけるんだ~なんて考えながら、乗り込んだ電車は「近鉄奈良行き」の電車。

窓に映る自分と目が合った。やっぱりこっちの髪がいいな…これなら、良いスタートをきれるんじゃないの…?なんて、自分にちょびっと自信を持てたのがこそばゆかった。

ここから始まる日々は、冒険なんてない「自分で決めた道」を歩くことになる。だから、気合を入れるために切った髪の毛だった…。

でも、違うかった。冒険なんてない自分で決めた道を歩むことはできなくて、私が新しい自分に出会うことになったのは、この2時間後には決まっていたんだろうな。

………


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読んでいただいてありがとうございます!

うれしい!!
21

響あづ妙

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