ふじむつこ

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    なんとなく書いてみようと思います。

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日々

私の最初の記憶は、暑い公園の緑が暴力的に茂り公園の中央には、申し訳程度の広さの池があり、白鳥の足こぎボートを漕ぐ 若々しいカップルの高い笑い声が響く、 私と母は汗ばむ掌を握り合い、月に一度着れる余所行きの黄色のワンピースは下の方に透かしのレースのような花模様の飾りがついていた。 私はその模様が好きで、握られた方の違う手でその透かしの花模様の手触りをなぞっていた。 見上げら空は青く日陰さえない、池の中央にある小さな橋の先には弁天さまの鳥居が見え、年老いた夫婦が背の丸まっ

    • お正月に買った、和菓子のような花がずっと枯れずに咲いている。 周りの葉は落ちてきているのだけど、中心が周りの色よりごく薄いすみれの色のもう一つの花が咲いている。 毎日水を替え、朝ごはんと夕ご飯のとき 眺めている。 多分キク科の植物なので、最後ぽろっと花が落ちてしまうのかもしれない。 5歳の頃におばあが飼っていたプチという黒と白模様の雑種の犬を思い出す。 今考えるとわりとアバウトに育てられていたにも関わらずわりと元気に育ち、ガツガツと毎日おばあに味噌汁をかけたごはん

      • 繋がる

        地平線のようにまっすぐと 私はロープを渡すかのように 心を投げる。 繋がる世界中に 私というわたしを そうやってわたしは人を知り物事を考える 美しこと、怖いこと、全ては両極端 わたしはその孤独の中を泳ぐ 誰か私にロープを、孤独感に苛まれようともわたしは繋がる世界中に そうそれは生きているという事。

        • 誘う

          遠くにいる方が近くに感じる。 近くにいると遠く感じる。 とても理不尽な感情。 会わなければ良かった。 でも現れてしまった。 人の縁は点と線で繋がって 香り立つように交わっていく 皮膚の下の心を透かして見れたらいいのに この不安は近くなればなるほど強く強くなる。 誘う、心の底を探すように そっと震えてる手で

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          何故

          夕暮れから夜に変わる時間に ポケットに暖かなミルクティーを忍ばせ 歩き出す 薄く一等星が姿を現わすと 夜のスピードが加速する。 何故夜になる。 幼い日の疑問 朝の光の不思議を 大人の私は理解したつもりでいる。 でも本当は何もわかってないのかもしれない この世界の不思議を 何故。

          ささやく

          わたしはささやく 呪いのように わたしはわたしと 小さな肯定 街中で余りにも人々の中にいると 孤独の反対の言葉を探す そしてわたしはわたしになる。 小さなささやき わたしはわたし

          食べる

          わたしは毎日食べる。 厚切りのトーストにバターを塗って さくさくと音をたてて 12時になれば、一斉に社食に集まり アジフライやらカレーやら大勢の人が食べる。 わたしはそんな光景が好きだ。 命をいただく そんな時間。

          曇る

          私はあなたを見ていると曇り空を思い出す。 あなたとの日々はかれこれ30年、初老に差し掛かった私たち。 貴方はいつも穏やかで、わたしはいつも 苦しかった。 貴方の本当は何処にあるのか、曇り空を見ているような憂愁を感じる。