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石巻市議に修復方法主張 サン・ファン巡り市民団体 保存運動に理解求める

 県慶長使節船ミュージアム=石巻市渡波=に展示中の木造復元船「サン・ファン・バウティスタ号」の解体が今秋に迫る中、保存を求める市民団体が14日、市議会議員の一部と懇談した。県は保存の困難さから4分の1大で後継船を製作することを決めているが、市民団体は修復の方法があることを主張し、運動に理解を求めた。

 懇談したのはハポン・ハセクラ後援会(仙台市)の白田正樹会長とサン・ファン号を保存する会(石巻市)の齋藤祐司代表ら。市議会は、第2会派の創生会(9人)のうち7人が出席した。

 この2団体を含む国内外の10団体は、1月にサンファン号保存を求める世界ネットワーク」を結成。先月23日には、県知事を相手取り、解体のための公金支出差し止めなどを求めて仙台地裁に提訴した。遣欧使節の歴史的意義を伝える復元船は、事実上二度と建造できない貴重な財産で、保存不可能とした県の判断の誤りなどを主張している。

サンファン号巡り市議と市民団体懇談 (1)

サン・ファン号を巡り、市民団体と市議が懇談した

 特に改修でドックの水を抜くと、自重で腐朽している船体が壊れる危険が高いとされる。これに対して同ネットは、横浜国大の平山次清名誉教授(造船工学)らが示したドック内に砂を流して船体の内部補強をする工法を支持している。

 懇談で齋藤代表は「直せないから壊すと言っているが、直せそうだということを知ってほしい」と主張。8月にも解体の入札が予想される中、白田会長は「保存の署名は1万筆に達したが、仙台市では認知度が低い。状況は厳しく、何とか運動を盛り上げたい」と訴えた。

 平成27年当時には5年はもたないとされながらそうはなっておらず、さらなる調査検討の時間が欲しいという。県は解体から後継船の製作を含めて約28億円をかけ、施設や展示を改修する計画。令和6年度のリニューアルオープンを見込むが、同ネットは集客効果を疑問視した。

 市議は個人的な意見として「ぜひ裁判に勝ってほしい。市民はみんな残してほしいと思っている。今は県の物だから手出しできないが、市で引き取ってくれるとなれば」と期待。「知事の顔をつぶさないよう、地元もプランを提示しなければならない」との助言もあった。【熊谷利勝】


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