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石巻産カキ 出荷解禁

猛暑影響で史上最も遅く

 冬を代表する味覚である生食用カキの水揚げが石巻地方で始まった。県漁協石巻湾支所=石巻市渡波=では、30日の早朝からカキむき作業を開始。例年9月末から10月初旬に始まるが、今年は猛暑による海水温の高さが成育に影響し、一部に死滅も見られたことから史上最も遅い出荷となった。この日は組合員ら約120人がカキむき作業に精を出して約1㌧を処理し、その日のうちに入札された。福島第一原発の処理水放出による風評被害が懸念されたが、価格は例年通りに推移した。

 宮城県は、広島県に次いで全国2位のカキ生産地。震災前は4千㌧前後を出荷していたが、被災後の復旧を経て、現在は県内の生産者359人が約1500㌧を生産目標としている。出荷解禁の指針は9月29日だが、近年は海水温の高さで遅れが生じている。今年は夏の暑さが海水温の上昇に拍車をかけ、品質の落ちる「卵持ち」という状態が長く続いたため、史上最も遅い出荷解禁となった。高水温で1―2割ほどのカキが死滅したという。

組合員らが慣れた手つきでカキをむき身にした

 この日は午前6時半からカキむき作業が始まった。29日に水揚げされ、殺菌した海水に12時間以上浸けて処理されたカキを素早く殻から外し、次々と出荷した。同支所の丹野芳広かき部会長は「身質は上々。国内消費のため処理水放出の影響は少なく、例年通りの需要が期待できる」と話し、これから冬に向かって海水温が下がると身も大きく育っていくという。「今年も自信をもって食べてもらえる品質」と太鼓判を押していた。

あすにもスーパー店頭に

 カキは、早ければあすにもスーパーなどに並ぶ見込み。コロナの5類移行で飲食店での需要も増えている。同湾支所でのカキ出荷は来年4月まで続き、出荷量は約250㌧の見込み。石巻地方の一部では、試験的に6月末まで出荷期間を延長しており、トラブルがなければ来年から正式に延長が決定される。
【渡邊裕紀】


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