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いただいたテーマをやる回 01

◆好きな食べ物

食べ物がわりと好きだ。
食べ物のみならず、食べるという行為、食べている時間、食べている人を見る事も、わりと好きだ。そもそも食べらるものは、食べられるという時点で、もう既にわりと好きである。


人との会話の題も自ずと食べ物の話が多い。
私は他人の好きな食べ物を聞くこともわりと好きで、好きな食べ物ランキングの上位を発表してもらうことが多々ある。めちゃくちゃ大したことのない会話だが、これまたわりと楽しい。

それが上位である理由なども特に興味はなく、一位がステーキだと言われれば、へえ!、と言い、二位がじゃがりこだと言われれば、じゃがりこかあ、と言う。嫌いなものはしいたけだと言われれば、ああ、そう、と言い、ヒコロヒーは、と尋ねられれば、刺身だと言う。
もちろんこの一連の会話が盛り上がった試しなどは特にない。実績もない。会話をふられた側の人間もいつも「この一連の会話が盛り上がった試しや実績などはあるのか?」みたいな顔をしている。しかしそんな顔をされても私の知った事ではない。私はただ食べ物の話をするのがわりと好きなだけなのである。


かといって私は美食家なわけでも、舌が肥えているわけでも全くない。
何を食べても均一にわりと美味しいので、高級レストランで発する「うまい!」も、ペヤングを食べた直後の「うまい!」も全く同じものである。

私によく飯を食べさせてくれる先輩や大人たちは「何を食べさせてもわりと美味そうで良い」と喜んでくれるタイプと「とびきり美味いもんの食べさせ甲斐が無い」と嘆くタイプとの二手の派閥に分かれている。目の前で喜ばれようが嘆かれようが、私はおかまいなしにひたすら気のままに食べているだけである。


いつか食レポの仕事を頂いた事がある。
初めての食レポだったので勝手が分からず本番前に悩んでいると、優しいスタッフさんたちが「緊張しないで大丈夫だよ、余計な事を考えず、食べた直後の感想を素直に言えばいいんだよ」と指南してくださったので、ふっと心が軽くなった。

そして撮影が始まり、私は目の前に出された九州地方の野菜をふんだんに使った筑前煮を見て「わあ!すごい!美味しそう!」とはつらつと言ってみせ、一口食べて「わあ!すごくめんつゆの味がする!」と大声で言いあげて、見事に収録をストップさせた。
そこからスタッフさんの指導が何度も入ったものの、同じような事を数回繰り返すのみに終始していたので、最終的に私は一心不乱に筑前煮を「うまい!うまいうまい!」と言いながら食べるだけで良いという、腹のすかしかたが桁違いの戦後の子どものような役割を与えられ、華麗にそのようにこなしてみせたことで、無事に初めての食レポは終了した。


自分がそんなだからか、食事の際にちょうどの温度で「美味しい」と言える人は、かなり好きである。
別に黙って食べられることが嫌であるというわけでもなく、これは多分、単純に、より一層ごはんが美味しく感じられるからで、そしてちょうどの温度、というのは、ちょうどの温度、である。
大したもんを食わしてあげられているわけではないのに、後輩がおおげさに「きゃあ!美味しいですう!」と言うあれは申し訳なくて肩がすくむし、美食家ぶった大人が「ほほう、美味しいねえ、この焼き方はなんとかだねえ、普通はなんとかで」などと気取った御託を並べてくることも、うるせえお前は黙って食えと思ってしまう。

ちょうどの温度で、美味しい、うまい、と言える事は才能だ。
ちょうどの温度で、美味しい、うまい、と言える才能を持つ人と共に食事できることは、本当に幸運な事である。
だから、ちょうどの温度で、美味しい、うまい、と言える才能ある人たちは、その調子でどんどん周囲を幸せにするべきだと常々思っている。


最後になりましたが、最後へのもっていきかた分からなさすぎたので、私の好きな食べ物ランキングベスト5を発表し終わりと代えさせていただきます。
(ボケなし)
(毅然とした態度でボケなし)
(まっすぐに一点を見つめてボケなし)

5位 コロッケ
4位 納豆
3位 卵
2位 蕎麦
1位 刺身

このランキング発表を受けて、インターネットの前の皆さんは新元号の発表くらい盛り上がっているようですね。
それでは。



*noteテーマ頂いた「好きな食べ物」でした。
こんな調子で、頂いたテーマで今月はがんがん更新していこうと目論んでいます。
明日も明後日も読んでください。
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どしどしなんでもお待ちしています。
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