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小さな町だからできることがあるはず 〜世代間の壁がない宮川を未来へ〜

学校と地域の橋渡し役として、双方の思いをくみ取りながら、子どもの学び、地域住民の生きがいづくりを行っている地域学校協働活動推進員。飛騨市宮川町出身の山小瀬 仁志さんは一度は町外に出たものの、就職のタイミングで帰郷。今後は大人と子どもの関わりを増やしていくことで「宮川の町の姿を守りたい」と話す山小瀬さんに、地域の魅力、今後の活動などについて伺いました。

■プロフィール
飛騨市地域学校協働活動推進員(宮川小学校区)
山小瀬 仁志さん

飛騨市宮川町出身。専門学校を出た後、消防士として地元に就職した。宮川町青年団所属。

宮川で生まれ育ち、宮川を守る消防士に!

——プロフィールを教えてください

宮川出身で、消防士として働いています。高校生くらいから、地元の宮川に住もうと思ってました。飛騨市地域学校協働活動推進員という肩書きもあります。

——地元に残ろうと思ったきっかけを教えてください

飛騨って祭りの文化があるじゃないですか。特に宮川ですごいと言われるのが、40、50、60代の人とでもタメ口で話すんですよ。自分らの親世代と一緒に飲むのが普通なんです。
 
祭りの時期に楽しそうに飲みながら祭りをしているのを小さい頃から見ていて、すごく楽しそうだったんです。そこが一番心に残っています。なのでここに残って楽しく生きていきたいなみたいな気持ちでしたね。
 
やっぱり、中学生や高校生の多感な時期に、こうやって楽しいと思えたコミュニティというのが重要だったと思います。誰とでもタメ口で話せるのは宮川のいい文化だと思いますね。

——青年団の活動もされているとお聞きしました

今は青年団の活動は休止中なんですよ。人数不足でやむを得ずです。
 
30歳くらいまでの若手が集まるので、勢いがありましたよ。2、3年くらいで団長を交代しているんですけど、僕が団長になったタイミングで活動を休止したので、もう5年近く団長をやっています(笑)。

多感な子どもたちが地域と密に関わるメリットとは?

——推進員になったきっかけを教えてください

推進員の発足当時から「推進員じゃないけど来てよー」と呼ばれたことがきっかけです。推進員になるときも、最初は充て職でした(笑)。
しかし、推進員として子どもと触れ合う機会を持つことは意義があると思っています。宮川の大人と子どもたちが関わりを持てるということは、生きていく場所としての選択肢を広げる、価値のある活動です。

——推進員としてどのような活動をされているんですか?

推進員としての足場が固まったのは、ここ3年目くらいです。
 
僕は推進員の学校支援部として、学校に紹介したり、イベントに出たりするようにしています。そのときに、この人面白そうだなと思ってもらえるように心がけています。

——地域と関わることのやりがいや、やっていてよかったと感じたエピソードについて教えてください

学校協議会の一員として、学校と接点を持てるのは、自分の将来を考えたらすごくメリットになるなと思います。学校に関わらなかったら、学校に関して何も知らないし、周囲に興味も湧かないままじゃないですか。

あとは自我が確立するくらいの年齢で、人が少ないまちにいるっていうのはいいことだなと思います。団体スポーツができないなどのデメリットはありますが、人が少ない地域だと単純に自分が埋もれないじゃないですか。多感な時期に濃厚な人とのかかわりがあるっていうのも良いかなと。自分は人が少ないことを良いと感じる経験がたくさんありました。

「人のつながりを大切にする」町の姿を後世に。目指す組織一元化

——これからやっていきたいことはありますか?

国や市も同じ課題意識を持っていると思うのですが、組織の一元化を行いたいと思っています。
難しいことだとは思いますが、そのポテンシャルがあるのが推進員だと思っています。スポーツ推進や地域ボランティア、シニアみたいに必要な組織は全部そろっているんです。でも、同じ会議に同じ人が集まることが多いので、効率化したいなと。
あとは、地域と学校のつながりをもっと深めたいなと思っています。ほかの地域に比べたら、宮川は規模が小さい分、学校のイベントには地域ぐるみでやろうという風潮があります。それを継承していきたい気持ちがあります。

校内マラソン大会の様子。コロナ前には毎年町内で実施されていた「宮川マラソン大会」に変わる形で、今年度は地元のシニアクラブや学校運営協議会の方々の協力を得て実施された。

——これから宮川がどのような地域であって欲しいと思いますか?

これもまた難しい質問ですね(笑)。人とのつながりを大切にできる地域であってほしいと思います。飛騨に残らなくてもいいんですけど、たまに帰ってきて、その時に一緒に話したり飲んだりでもいいんです。つながりは忘れないでほしい。子どもたちには、そういうのを大切にできる人であってほしいなと思います。
実は防災の観点においても重要なんですよね。誰とでも普通に話せるということが、いざというときに役に立つ。僕が歩いてたら、「(車に))乗しとくか?」みたいな風に話しかけられることもありますが、そういったつながりです。
ほかにも、あそこのばあちゃんのおにぎりは美味いとか、あっちのおばちゃんの漬物はうまいよみたいな話もあったり(笑)。あとは、BBQするじゃないですか。そしたらおばちゃんが意図したかのように散歩してくるんですよ。こっちもおにぎりおにぎりと言わざるを得ないじゃないですか。そしたら1時間後くらいに持ってきてくれる。こうやってつながりがある分、なにかができそうな気がします。
こういう町の姿を守れるといいなと思いますね。近所の家とかもただいまーって入っていけるくらいに。めちゃめちゃ失礼だなって思いながら(笑)。