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藤尾はゴール前でなにをしていた?2024J1第2節 vs名古屋グランパス 試合後レビュー【FC町田ゼルビア】

こんにちわこんばんはひだりです。写真は記念キャプです。

第2節、FC町田ゼルビア史上初のJ1アウェイからのMake New HistoryなJ1初勝利、ゼルビアの選手・スタッフ、フロント、スポンサーのみなさま、そしてすべてのファン・サポーターのみなさま、おめでとうございます!

試合展開は想定した範囲内で、展開としては開幕ガンバ戦より全体にシンプルな完封に持ち込むことができた。

退場で試合が壊れることもなく90分+αをフルで戦い、ウノゼロで勝ち点3を取ったことで、J1という場所でやっていく資格があることを真に示せた点は、これからの将来に向けた大きな第一歩。

以下、雑感という名の気になったポイントまとめです。


ロングスローとクロスの嵐で追い詰める

ゼルビアサポにとって昨シーズンから日常感覚になっているロングスロー絡めた試合展開。

今回、名古屋グランパスに対してはやや有効すぎたのか、SNSやメディアではここに来てあらためてロングスローがフォーカスされています。

守ってはミドル〜ハイプレスで前から規制し相手のペースを作らせず、奪ってはゴールへの最短距離を目指す。ロングスローも活かして相手守備ラインを押し下げ、精神的優位性を相手から奪って時計を進めるやり方

名古屋グランパス戦プレビュー記事より引用

全体として本当にそうした試合展開だった。

実際、名古屋の選手たちが前半から表情に出すほど嫌がっている感ありありあったので、その分ゼルビア戦士たちも確信を持ってブレない姿勢を貫けた部分はあったかもしれない。

同時にこうした大枠のパワープレイのストーリーが出来上がり相手に構えさせることで、局面でのポゼッションや個のアイデアはむしろ効果的に効く向きもある。

今年の高校サッカー選手権で青森山田と対戦した近江高校・前田監督の言を引くと

青森山田さんを分析したなかで、もちろんロングスローやロングボールも脅威ですけど、前線の選手たちが上手いんですよね。…彼らの上手さは、105メートルかける68メートルのピッチの中で、『最短』『最速』で技術を発揮するところにあります。

https://www.soccer-king.jp/news/japan/highschool/20240108/1852097.html より引用

ロングスローにも、セカンドボール回収や攻守の時間管理の観点を含めすべて意味があることを理解していると、対戦相手から「つまらない」と揶揄してもらえているうちは、おおよそ大丈夫だと思う。

同時に、そりゃ対戦相手からすれば面白くはないだろう……単純につまらないものを見た気持ちにもなるだろう。
でも昨年、うちに勝ったチームは優勝決まったかくらいめっちゃ喜ばれてた(こっちはくやしい)から、要はプラマイゼロじゃないかなと勝手に思ってる。

藤尾のヘディング弾・ロングスローへの一撃目は「行かない」

ミルアカやゼルつくデータマンのノーミルク佐藤さんが試合直後配信で、藤尾の得点シーンでやけに藤尾がフリーになっていた点を指摘していた。

気になったので、ゴールシーンに至るロングスローからの場面を繰り返し繰り返し見てみると、とても面白い仕掛けだったのでまとめてみます。

ロングスロー前のポジショニング争い

ロングスロー前の場面、

  • オセフン 左ゴールポスト付近で名古屋GKランゲラック・DFハチャンレと干渉しながらポジション取り。

  • バイロン、ドレシェビッチ ニア側ゴールエリア角付近でストーンの位置に入る。

  • チャンミンギュ、藤尾 バイタルエリア内、ゴールどまん前あたりで2列目を構成

  • 平河 3列目ペナルティエリアライン付近、ゴールから遠目の位置に入る。

ロングスローから一撃目

鈴木準弥のロングスローが放たれる直前のタイミングで

  • ドレシェビッチ ストーン位置で背中で名古屋DFを一度ゴール方向へ押し込んでから小さくローテイトする動きでゴール中央付近へ。

  • オセフン ゴールポストからドレシェビッチのいなくなったスペースに割り込み、バイロンとともにストーン役に

  • チャンミンギュは立ち位置からまっすぐゴール方向にアタック(ストーンの流れを詰める役)

  • 藤尾は動かない(スペースを探しつつ、引いた位置からこぼれ玉の詰めを狙う)

  • 平河はロングスローの一瞬前、ニア→ファー方向へと反転するな動きで自分の対面にいるDFをファー方向に誘導

ロングスローの一撃目時点でストーンのバイロン・オセフン、ゴールに迫るドレシェビッチ、チャンミンギュがニア付近に密集し名古屋DFもそのケアに集まる。

平河はファーのこぼれ狙いの動きを取ることでDFを誘き寄せる。

クロスから2撃目

鈴木準弥がクロスを上げる前、名古屋DFはニア寄り密集崩れの状態であるため

  • ニア  町田4名 名古屋7名

  • 中央  藤尾

  • ファー 町田1名 名古屋1名

名古屋は1名がクロス阻害のため鈴木準弥に寄せる。ゴール前のDF陣は町田選手の動きについていくマンマーク選手とゾーンに立つ選手がガチャガチャと入り乱れカオスな状況に。

2撃目のタイミングは、ドレシェビッチの名古屋DF群集を横切ってファーに、チャンミンギュがニアに、両者が互いにクロスする動きで名古屋DFをひきつける。

藤尾は「くの字」を描くコース取りで、瞬間、目前に空いたスペースへと勢いよく突入。落ちてきたボールにドンピシャのタイミングで合わせた。

手が長く反応も優れたランゲラックの対処しづらい地面に叩きつけるお手本のようなヘディングゴール、と思ったら肩だったらしいですね。

際立つ藤尾の目の良さ

カオスなゴール前で、瞬間的に生まれたスペースを見定め、完璧なタイミングで合わせた藤尾の目の良さが光るゴールだった。
鈴木準弥のキック精度はもちろん、名古屋DFをひきつけボール1個分を空けさせた町田選手各人の集団アクションもよくデザインされていたと思う。

藤尾を見ていると、その大胆なアクションと繊細な予測判断を、強い気持ちでプレイに反映する表現力が昨年中盤以降、目に見えて高まってきていると思う。

平河にしてもそうだが、リーグで個性をハッキリと打ち出していくことが、オリンピック代表への招集につながっていくはず。逸材たちなので、がんばってほしいし、全力で応援したい。

ドレシェビッチのセットプレイにおける存在感がガチ

どこまでがセットプレイとしてのデザインで、どこからが個人戦術なのかもわからないですが、ドレシェビッチの動きの変化、身体の使い方、かつ自身でゴールも狙える動きをする存在感がすごくガチというか、Jリーグというより、どこかヨーロッパのサッカーっぽい匂いを感じる。

いましがたのゼルつくでも自分の得意なプレイとして「賢いプレイ」をあげていたけど、CB としてのゲームコントロールも含め本当に賢い印象が強い好選手だ。
若いCB陣にも学べるもの、学んでほしいものがめちゃくちゃ詰まってるプレイヤーだと思うので、チームの中でどんどんキャラクターを出していってほしい。(ていうか藤原優大にも学ばせてあげたかったとちょっと思う。スタイル的に、すごく合うタイプな気がする。)

試合を決着した米本の退場劇

データ等を見ても、名古屋の舵取りを中心的に捌いていた米本。
ボール処理のミス〜藤尾の寄せで突破されかけてたまらずのファウルは、90分間通じてチームとして打ち続けたジャブで彼に与えた心身認知への疲労から起きたものに思える。

DOGSOらしいDOGSOだったものの、自分の責任でああいう局面にしてしまたら、米本ならなんとしても止めてしまうよね…自チームに利するジャッジで嬉しい反面、彼の心境を慮ると、すこし切ない気持ちになった。

個で仕掛けられる倍井は怖かったけれど、塞ぐ覚悟決めた堅守で守り切れて良かった。

イエローカードの懸念

SPAIA https://spaia.jp/football/jleague/j1/stats/team#Yellow より引用

燦然と輝く黄色ランキング1位、と思ったら、ヨソさんもそれなりにやってましたね意外に。

とはいえ、流石にここまでイエローがやや多い。
ハイプレス型チームには宿命的な部分もあるが、長身DFが高い位置に来るセットプレー崩れでのカウンターや、セカンドボール争いから大きく裏を狙って蹴ってくるやり方は、今後よりチーム練度を上げて精度高く狙ってくる相手が出てくるはず。

強い気持ちの守備戻りは大前提として、夏場の気温が上がってくるまでに、ネガトラ対応時のカバーリングはチームとしてのやり方を習熟整理しておきたい。
(かつて2018相馬ゼルビアでは年後半酒井ちゃんの高速ディフェンスバックにめちゃくちゃ助けられたの思い出す。)

また、今後累積警告での黄色有給も増えてくるはずで、そういうタイミングではここまで試合に出ていない選手たちの奮闘活躍が非常に重要となる。
その点でいくと、荒木、沼田、禅斗、ジュラトら昨シーズン躍動してくれたメンバーたちの躍動もチームにとって不可欠なのはもちろん、今季の39名体制の大所帯が活きてくる。
もちろんおっくんナカシの登場も待ってる。超待ってる。

★試合全体の流れ、レビューについては以下記事もご参照ください。

興味深いデータ解析のなにかだけど、なんてものを売ろうとしているのだw

まとめ

J1初挑戦からの2戦、ここまでは442ベース攻撃時325放り込みの、サポからするとだいぶシンプルなハイプレス編成で安定した戦いを見せ、今節とても大きな勝利を得た。

なんとなく昨年の秋田戦・天皇杯マリノス戦を見てみた

今回の試合後、ふと見たくなって昨年の天皇杯マリノス戦のフルマッチ、アウェイ秋田戦のロングハイライトを観ました。(あのアウェイ秋田戦はいまからでもフルマッチ映像買えるなら買いたい)

特にマリノス戦をいま見ると(メンバー、状況異なる中での戦い方の違いを差し引いても)最終ラインからのビルドアップとリスク対応の安定感について、今シーズンのチームは昨年より確実にクオリティが上がっていると感じた。

こういう闘いを乗り越えて、J1まで上がってきた。
川崎、横浜、ヴェルディもFC東京もすぐアクセスできてしまう土地にあって、町田がどうあるべきか、どうすれば勝てるかを研ぎ澄ませていった結果が今のスタイルに反映されている。

少なくも、ウチの選手は、他にもどこのチームよりも町田のために魂をかけ、人生をかけて闘ってくれる。そういう人だけが来て、そういう人だけが残っている。それだけは、チームの良い時も悪い時も、ずっと信じてきた。

どうせロングボールとロングスローだろ!と思ってもらえていれば、ハシゴも外しやすいのでいい傾向です。昨シーズン同様、ブレない、かつ、シーズン中も絶え間なく変化・進化するゼルビアを期待したい。

大きな成果を得た次の試合はえてして緩み、問題が発生しやすい。それも相手が往年からの強度スタイルに回帰し、我々の前監督ポポさん率いる鹿島。

第3節は、強度vs強度。今年のゼルビアどうなの?が大きく問われる、試金石の一戦になりそうです。

ポポビッチ鹿島を、海舟を野津田に迎えるのが本当に楽しみでしょうがなさすぎる。プレビューも出します。今週もがんばりましょう!

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