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一服の涼をお手元に。左利きさんのための扇子、あります。

長かった梅雨もようやく終わりの気配、いよいよ夏本番ですね。今日はnoteでも左手用扇子のご紹介をしたいと思います。

左手用の扇子について

いろいろな方に「えっ 扇子に左手用があるんですね」と驚かれます。

実は一般的な扇子は、右手で持ってあおぎやすいようにできています。扇子をお持ちの方は実際に持っていただくとよくわかると思いますが、右手で持った時、手前の親骨に親指が、向こう側の親骨に薬指か小指がひっかかって、開いた状態を上手く保ちながらあおぐことができるのです。(昔からある道具って、本当によくできているんだなあと感心します)

これを左手に持ちかえてみると、親指小指どちらもひっかかる場所がなく、あおいでいるうちに少しずつ扇子が閉じてきてしまうのです。そこで、左手用の扇子では、骨の重なり方が通常と反対方向になっています。
(写真左上が左手用、右下が右手用)

「名古屋扇子」の老舗・末廣堂さんの左手用扇子

当店で取り扱っているのは、愛知県名古屋市にある老舗「末廣堂」さんの扇子です。あまり知られていませんが、実は名古屋は京都と並ぶ扇子の名産地。京扇子が舞扇・飾扇や婦人物を得意とするのに対し、名古屋扇子はお祝いに使う祝儀扇や男物を得意としているそうです。

末廣堂さんにお話を伺ったところ、左手用扇子は一般的な右手用扇子に比べ、組み立てや加工により一層の技術が必要で、経験豊かなベテラン職人さんでも作るのが難しいものだそうです。そんな中、20以上の工程を経て、国内で1本1本丁寧に仕上げられた、左利きさんのための扇子です。

柄のラインナップをご紹介

当店で取り扱っているのは最も一般的な2サイズ。通常「男物」もしくは「男女兼用」とされる7寸(21cm)と、「婦人物」と呼ばれる6.5寸(19.5cm)です。当店人気順に柄をご紹介します。

第1位「てっせん」(婦人物)
当店では今シーズンすでに3度入荷してあっという間にほぼ完売という、一番人気の柄です。優しくも凛々しさのあるてっせんの花は紫がかったブルー、端に向かうほど淡い色づかいになり、眩しい初夏の庭を思わせます。年代を問わずお持ちいただける、贈り物にもおすすめの1本です。

第2位「なでしこ」(婦人物)
なでしこは、大和撫子という言葉の元にもなっているとおり、古くから子どもや女性のたとえに用いられる花です。たくさんの花とつぼみが、色鉛筆画のような繊細なタッチで描かれています。ピンク色が主役でありながら、葉の黄緑色が爽やかで甘くなりすぎず、上品な可愛らしさのある図柄です。


第3位「線」(男女兼用)
近年人気があるという黒い骨を用いた1本。男女兼用サイズの中では最も人気です。歌舞伎の隈取を思わせるような、鮮やかな赤黒白のコントラストが目を引きます。古典的な和柄とはまた違った魅力のあるモダンな雰囲気で、シンプルな色柄がお好みの皆様から性別を問わず人気です。


第4位「五鮎」(男女兼用)
古くから吉兆や子孫繁栄のモチーフとして用いられる川魚の鮎を、縁起のいい数である5匹描いたもの。ゆらめく水面を表現した水色と、銀色で描かれた水草が、いかにも涼しげな色合いです。鮎の表情はどこかユーモラスでかわいらしさも感じられます。


第5位「富士」(男女兼用)
縁起の良いモチーフとしておなじみの赤富士。ほのかに光沢のあるアイボリー色の背景に、朱色や金銀を重ねて浮き上がった富士山が美しい図柄です。落ち着いた大人の雰囲気が素敵な1本で、目上の方へのギフトやお祝い事にもおすすめです。

第6位「からし地蛍」(男女兼用)
落ち着いたゴールドのようなからし色の背景に2匹の蛍が描かれています。笹のような葉と、鈍い光沢のあるシルバーの線で描かれた川の流れが重なり、奥行きのある景色が魅力的です。

扇子の使い方とご注意

さて、最後に当店でお買い上げの方に同封しているご案内の内容をこちらでもご紹介します。

左手用とご存じない方の手に触れないようご注意ください
メーカーの末廣堂さんのお話では、「左手用と知らず無理に逆方向へ開いてしまい破損」というトラブルが後を絶たないのだとか。デリケートなアイテムですので、十分ご注意くださいね。

◎開く時は両手でやさしく
勢いをつけて片手でバッと開くのを時々見かけますが、骨や紙が傷むので、両手でやさしく開いてくださいね。

◎持ち歩く時は扇子袋かハンカチにくるんで
扇子袋と扇子の色柄の組み合わせを考えるのも楽しいですね。


「扇子は使いづらいから・・」とあきらめていた左利きさんも、今年の夏は扇子デビューしてみませんか?(かくいう店長の私も今年扇子デビューしました)お誕生日などのプレゼントにもおすすめです。
来年はオリジナルの左手用扇子を作ってみたいな〜と企んでおります!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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