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ぶらんこ乗り

いしいしんじさんの著作『ぶらんこ乗り』を読みました。古本屋で見つけて、何となく買った一冊。買ってよかった。読んでよかった。以下、少し内容に触れるので、まだ読んでいない方はご注意ください。

ひらがなが多くて最初は読みにくいかも、と思ったけどそんなことはなかっです。逆に頭のなかに、やさしく、フレーズが残ります。

主人公のお姉ちゃんと、ぶらんこに乗るのが上手で、指を鳴らすことが得意な、お話づくりの天才の弟。その両親とおばあちゃん、一匹の犬の家族のお話。弟の書く物語の中だと「歌う郵便配達」が好きな人が多いみたいだけど、私は「手をにぎろう!」も好きです。サーカスの空中ブランコ乗りの夫婦のお話。

「わたしたちはずっと手をにぎってることはできませんのね」
「けどどうだい、すこしだけでもこうして」
「おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ」

ひとりぼっちで取り残されないように、手をのばす。
誰かとつながっていると感じること、ひとりじゃないと実感できること、それが簡単なことではないのだということを、切なさをもってかみしめることができたような気がします。

ぜひ読んでみてくださいね。


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