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八ツ橋 a.k.a ラブの架け橋


エッグい残業、終了。





修学旅行 in 京都。

歴史あるお寺が〜、とか。
浄土宗が〜天台宗が〜、とか。

んなモンそっちのけ。

ションベンガキどもは

木刀❗️
ドラゴンが剣に巻きついたゴッテゴテのゴールデン・キーホルダー❗️
鹿せんべい❗️
鹿のフン❗️(←⁉️)

限られた小遣いで必死にお土産を厳選し、

夜も更けてきた頃にはじまる「じゃあお前2組の女子で誰が好きなんだよ❓」で盛り上がり、

あまつさえこっそり女子の部屋にお邪魔したりする。

それが1番の目的であり、1番の思い出である。

かく言うオレも、京都イコール八ツ橋、八ツ橋イコール京都という等式が確立されているために、お小遣いの9割を八ツ橋につぎ込むという暴挙に出ていた。

オレの思い出としては、

初日に小遣いのほとんどを使い果たし、

夕飯後にこっそりお土産の八ツ橋を開け、

全員が好きな子を言う流れの1発目で「オレはユカちゃん(仮名)が好きだけど文句あんのかよ❓」と告白すると「オイこいつユカのこと好きなんだって〜‼️‼️」とユカちゃんのいる女子部屋に暴露されるという、まさかまさかの裏切り行為に遭い、

ユカちゃんはなんかスゲー気まずそうな表情をしていて、…………

まぁ、そんな感じだった。




得意先から、お土産としてナマ八ツ橋を頂戴した。

「京都だから八ツ橋ってコッテコテでなんもオモロないんですけどぉ、すんません〜、よろしければぁ」と彼は言う。

馬鹿野郎。

コッテコテが何故コッテコテたるか、今一度考えてみ。

コッテコテのお土産になるくらい、八ツ橋が素晴らしいってことなんだよ。

最高だぜ、アンタ。

アタシ八ツ橋だ〜い好き。

八ツ橋を食うとき、小学生の頃の修学旅行を思いだす。

苦い思い出も、年を重ねれば美味しく感じるものである。

とはいえ暴露したムラキ(仮名)、次会ったら死ぬ寸前までグーで殴るからな。




オレの八ツ橋の思い出はもうひとつある。

高校生の頃、仲の良かった女子がいた。
ここでは「ヨッちゃん」と呼んでおく。

マンモス校なのに3年間同じクラスだったヨッちゃん。
お互い甘いもの好きで、それが話すキッカケになった。

ヨッちゃんは自分でケーキを焼いたりするくらいの甘党で、
「この前洋梨のタルト作ってさ〜❗️」とか、「クッキーかなりいい感じに焼けてさ〜❗️」とか、嬉しそうに語る彼女を前に、
「で、いつそれ食わせてくれんの❓ てか家に誘ってくれへん❓ そんでそのままラブアンドジョイせぇへん❓」
とか思ってたりした。

こうして文字に起こすと最低過ぎるな。

でも本当にそう思ってたんだもん。
ぷぅ。(←可愛い笑)

で、本題。

冬休みに入る前。

ちょうど今くらいの時期、互いの部活終わりの時間が偶然被って、駅まで一緒に帰ることになった。

期末テストの話とか、部活の話とか、最近食べた菓子の話とか。

AからB、BからCと、互いの関係が進展していくようなものではない、たわいない会話。

で、駅に着く前にちっちゃい公園があって、よくウチの学生カップルがそこでイチャついてるんだけど、

そこでヨッちゃんが「ちょっと寄ってかない?」と言い出した。

唐突である。

オレはもう、





キタ ━━━━━━━━❗️❗️❗️



ドドドドチュン! プシュン……ガトゥランディスバーベルジーグレットエーデルナーール…エミュストーロンゼンフィーネエルバラーズィー…
ポポポポポポポポポポポ!!ピロピロピロピロピロピロ!ピロロロロロロロロロロロロ!
ブゥーーーウ↑ブゥーーーウ↑ブゥーーーウ↑
「これが私たちのぉ!」
ブゥーーーウ↑ブゥーーーウ↑
「絶唱だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


ドドドドン!テレレレー↑レー↓レー↑レー↓テテテー♪
「6人じゃない…私が束ねるこの歌は…70億の絶唱ーーーッ!」
何億の愛を重ね~♪我らは時を重ねて~♪
「響き合うみんなの歌声がくれた…シンフォギアでぇぇぇぇぇぇ!!」
奇跡はやがて歴史へと~♪誇り煌めくだろうぉぅぉぅぉぅぉぅ~♪
(引ぃぃぃぃぃぃけぇぇぇぇぇぇぇ!!!
ドヒュゥゥゥゥンシンフォギアァァァァ!!!キュキュキュキュイン!キュキュキュキュイン!キュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュイン!
ポォロポポポポペペペペピピピピピーペペペペペペペペー♪




って感じだった。

パチンコやったことないけど。

なんの前触れもなく訪れたビッグチャンスに確率変動。
絶頂モード突入。
ゥーウッ❗️ ゥーウッ❗️(サイレン)

これってぇ…………
"そういうコト"ですか⁉️

なんてひとりで盛り上がってたけど、実際は「このまえ旅行いってお土産買ってきたからあげる〜」ってことだった。
今にしてみればそれもそれでめちゃくちゃ嬉しいことなんだけどね。

どこに行ったかは秘密、けど買ってきたのはご当地名物の菓子だということで、「なに買ってきたか当ててみて❓」とか言い出す。

これで狂わない男子高校生がいるかよ。
そんなやついたらそいつは男子高校生じゃねー。
風早翔太っつーんだよ。

オレは「エェッヘヘ……わかんない」とちいかわ世界の住人みたいな返事をして、もうまともに思考を回せないでいた。

思いだせないだけで他にもなんか余計なこと言ったかもしれない。
そんくらい狂ってた。

そうすると、ヨッちゃんはニヤニヤしながら「目ぇつぶって」なんて言うもんだから、2度目の絶唱フィーバー。
ゥーウッ❗️ ゥーウッ❗️ ゥーウッ❗️

言われるがままに目を瞑るオレ。

こんなんチューしかねーだろ。

目、開けてイイよ
と言われて開けると、土産と思われる菓子どころか、なんにも手に持ってなくって、顔だけがズイっと近づけられてて、ンフ〜と大胆不敵な、でもどこか照れているような表情で、唇をむぃっと尖らせて、
オレもあぁ、そういうことか、と言葉にされなくても理解して、なにか言うでもなく、そっと彼女の肩に手を置いて、そんで







一緒に美味しいご飯食べにいくみたいなね。




そんなロマンス作家もおったまげる男子高校生の妄想は実現することなく、実際に差し出されたのは鼻くそにしか見えない黒い物体だった。

「なにこれ鼻くそ❓」とノンデリカシー全開の問いに、ヨッちゃんは何故か嬉しそうに「なんでわかったの⁉️」と返す。

鼻くそなのかよ。

いやまぁマジの鼻くそじゃなくて『ゴリラの鼻くそ』だったんだけどさ。

そういう名前の菓子。有名なヤツね。

せっかくの頂きものなので、まぁ、と食べようとすると、「鼻くそ食べるの⁉️」と驚く彼女。

お前が持ってきたんだろ。

ひと通りケタケタ笑って、本当はこっちね〜なんつって、八ツ橋をくれた。

後にも先にも、あれほど心揺さぶられた鼻くそと八ツ橋はない。

超美味かった。

超イイ思い出だ。




ちなみに生や聖じゃなくて、パッキパキの方ね。

元祖八ツ橋。

アレ、ナマ八ツ橋買うとおまけで貰えたりするんだよな。

もしかしてそういうことだったのかな。

ンフ。




今日はオレとの約束通り、作るぜ。

八ツ橋の思い出に浸りながら、鍋をつまみ、ハイボールをかっ喰らう。

そんなノスタルジックな日。

そんだけ。

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