「浅井」という男

「浅井」は大学の同級生である。
彼は唯一、大学の同級生の中でビジネスライクな考え方を持っていたと思う。

大学を卒業したはいいが、本当に医者をやりたいのか。
その疑問に対し、一番早くに行動を起こしていた。

自分は東京都小平市にある病院で研修を行なっていた。
そんなある日、突然連絡があった。

「今から東京に引っ越すけど、家に住ませてくれない?」

よく分からなかったが、即OKを出した。
(当時、自分はレオパレスで暮らしていたが何とでもなると思っていた)

2日後、20万円で購入したという中古のハイエースに乗って、浅井は現れた。まるでキャンピングカーで暮らす人のように名古屋からの道中、空き地や駐車場に車を駐めて、寝泊まりを繰り返していたのだと言う。

「自由に生きたい」

彼は常々、こう言っていた。
彼は名古屋での研修医生活を辞めて、東京に来ることを選択したのだった。

彼と暮らす3ヶ月間は大変刺激的であり、自分の考え方を大きく変えられたことは間違いない。

研修生活を送りながら、平日夜および土日は全て「何か面白いこと」に取り組むことに夢中になった。

主に⑴安楽死、⑵医療用大麻の2つを仕事にできないか、模索した。

(続)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?