OMO型医療ビジネスに関する考察

1. 病院作りの案件

最近、病院を新しく作ろうかという案件に取り組んでいる。
常日頃から「尊厳を以って人が死ねる世の中」を作りたいと願うのだが、その一環として「予防医学」という概念がある。

今回の「病院作り案件」は予防医学に関する内容でやろうと思う。

ちなみに予防医学は単純で、「病気にならないようにするための医学」である。予防検診や予防接種は勿論、日頃のストレッチや筋トレだってそうだ。
何だってありである。ただし、にわかインチキ商法(例えば『水素水で身体の中から若返る!』とか)も蔓延る領域でもあり、科学的根拠を基準に線引きは明確に行いたいところだ。

さて、「病院作り」に話を戻そう。
元来、自分はかなりビジネスライクな考えを持っているので、
⑴慈善事業 ⑵NPO ⑶ボランティア
といった価値観のみでビジネスは怖くて起業できない。

そもそもビジネスにおいて影響力、力、実行力、その全ては資金力がモノを言うから、ある意味で当然な考え方であろう。

つまり、予防医学を普及するという社会的理念×利益追求をうまく組み合わせねばならない。


2. OMO: Online Merge Offlineという考え方

この半年間でよく耳にする単語である。
今日のnews記事にも見つけたくらいだ。
https://trillionsmiles.com/future/coffee-china-omo/
(↑スタバの苦戦記@中国。面白いので読んでみて)

OMOは、一言で言うと
「インターネットと現実はもはや一心同体」
という意味だ。

IT化の目覚ましい中国において生まれた言葉である。
ちなみに「merge」はM&AのMにも使われる「融合する、合併する」という意味。

これまでの10年間はインターネットという世界は現実世界とは別物として発展してきたが、今後は間違いなく異なってくるだろう。

IoT, AI, Bigdata, QR決済などなど、
様々なtechnologyが現実世界を便利にしていく。

今後のビジネスは全て、onlineとofflineを同じ次元として考えないといけないわけだ。

3.  病院作りにOMOをどう取り込むか

まず最大のポイントは、元来の医療はとことんアナログであったのに対し、予防医学とは割とデジタルな側面がある、点だ。「患者」や「治療すべき病気」とは当然現実世界にしか存在しないが、「まだみぬ病気」「病気にならないようにするマインド」などは現実世界には存在しない。もちろん、レントゲン検査やら心電図やら胃カメラなどは実在機器を用いる必要があるが、別に自前で用意する必要はない。この辺りのマネージメントは完全にオンラインの力が発揮される。(医師法などにより)病院自体は実在店舗を構えるしかないが、患者管理・実務処理・データ扱いなどをオンライン化で徹底することでコスト削減とスケーリングの実現が可能だろう。

病院やクリニック運営の赤字要因は患者効率/単価の悪さ・やテナント料・人件費・医療機器の高さ、だろう。OMOによるこれらの課題解決案を次にまとめる。

4.  各論

4-1) 患者効率/単価の悪さ, 医療機器の高さ
このビジネスの最大の肝である。
「どうやって予防医学を提供するのか」

予防医学として提供できる検査はそんなに多くない。
ごくごく一般的な健康診断で行なわれる内容に加え、プラスアルファの検査ぐらいだろう。

この領域は自由診療であり価格設定は自由に行えるが、高すぎてもだめだ。「値段」を理由にまともな健康診断を受けない人なんてごまんといるだろう。つまりある程度、安くやりたい。

また自前で何千万円を用意し、医療機器を揃えるか。
これも絶対Noである。
圧倒的にROIが下がる。

結論としては、
一般医院や病院と提携し、隙間時間を利用し健康志向の患者をシェアする
ことを考える。

オンラインによる利便さや値段の安さなどで知名度をあげ、患者を集める。実検査は患者にとって近いエリアで外注し、結果やフォローなどのマネージメントはこちら側で行うという構想だ。

いかに提携するクリニックを増やすか、患者側が使いやすいUIを開発するかなどが課題に上がるが、非常にシンプルなやり方が出来るし、スケーリングがしやすい。

4-2) テナント料
やはり予防医学を普及させることが最大の目的であり、人々に知ってもらう必要がある。知名度を上げ、多くの人に利用してもらうには人が集まる場所にしないといけない。都心部の好立地だと2万円/坪を超えるテナントも多い。1ヶ月辺りの家賃が100万円を超えることももはや普通なのだ。しかし、テナントの広さや綺麗ささビジネスを行うわけではなく、この固定費は実に馬鹿らしい。ちなみに病院や診療所を開設する際、テナントの広さや設備、古さなどはほぼ問題になることはない。

OMO型医療ビジネスであれば、テナントに費用を裂く必要はない。
せいぜい15坪もあれば全然やっていけるだろう。

4-3) 人件費
まず多くの健康診断を提供する病院やクリニックは人件費が高い。
事務や看護師は複数人いるし、医師一人を外部から1日雇うものなら10万円/日ぐらいかかってしまう。

一方でOMO型であれば医師1人+スタッフ1名ぐらいで十分だ。
受付カウンターや支払い、予約管理はオンラインで完結させる。
六本木で運営する診療所もそういうスタンスで経営できているし。


予防医学に関しても、そういう病院があっても面白いんじゃないかな。




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