見出し画像

自動運転時代よりも先にやって来た車内エンタメの時代、Grabと動画配信サービスHOOQが提携した話

クルマに乗り込むなり、まずは目的地をセット。ボイスコマンドで「えー、とりあえず私をスキーに連れてって」と。するとクルマが勝手に動き出して、袋に入った煎餅を食べながら映画を1本見終わる頃に、ちゃんと目的地のスキー場に着いている。そんな時代が、早く来ないかなと思ってるんです。そんな風にクルマの運転が苦手な私のような人たちが喜ぶ自動運転の時代が到来したら、車内エンターテイメントっていうサービスが登場するかもしれないなと。飛行機の機内エンターテイメントみたいにね。

そんなことを考えていたら、もう車内エンターテイメントサービスが始まっているんですね。自動運転時代が始まる前に。今回はそんな話を。

先日、東南アジアでSVOD/AVODを展開している動画配信サービスHOOQと、同じく東南アジア一体で事業展開しているGrabがパートナーシップを締結したという話が出てまして。今後GrabのアプリにHOOQが統合され(或いはアプリ間での連携かもしれないが)、Grabから動画が視聴できるようになるんだって。まずは第一四半期終わりまでにシンガポールとインドネシアで、その後フィリピンとタイでサービスを開始。

Grabのアプリ上で見られるAVODの広告収益は両社間でシェアして(比率など詳細は不明)、SVODサービスは3ヶ月無料で提供。無料提供期間が終わった後、ユーザーはGrabが提供しているペイメントサービス(ということはGrabPayか)を通じて、1日・7日・30日の定額コースの支払いをGrabアプリ内で完了させることができるという座組み。

GrabはUberと同じように当初は配車アプリとして事業をスタートしていたけれども、競合サービスどこでも同じことをやっているように、今はデリバリーやペイメントなどの複数のサービスを内包したアプリに進化。一方のHOOQは、シンガポール通信最大手のSingtel、Sony PicturesとWarner Bros.の3社が2015年に共同で立ち上げた動画配信サービス。当初はSVODのみの展開でしたけど、その後AVODも開始。昨年50のオンラインチャンネルを追加することを発表して、リニアテレビの同時送信サービスもSVOD会員向けに提供開始しています。事業展開地域はフィリピン・シンガポール・タイ・インドネシア・インド。 Grabが進出しているベトナム・ミャンマー・カンボジアは未参入なので、HOOQはこのパートナーシップを生かして同地域への進出の足がかりを作ることができるようになるかもしれません。

面白いなと思って色々と調べると、実はGrabの競合であるGo-Jekがすでに同様のサービスを展開すると昨年4月に発表していました。サービス名はGo-Play。Go-Studiosという自社スタジオも立ち上げてオリジナルコンテンツの製作を推進。そしてVice Mediaとの提携も発表。実際に今サービスが始まっているのかどうかまでは確認できてないですが。

もうちょっと調べると、さらにもっと前の2016年の時点で、インドの配車アプリOLAが車内エンターテイメントプラットフォームOla Playを発表していて、このプラットフォームを介してインド最大の動画配信サービスEros Now、SpuulやYuppTVなどの動画配信サービスを利用することができるようになっていました。色々と先に進んでます。


冒頭に煎餅でも食べながら映画をって書いておきながら、実は乗り物酔いするのでクルマの中で動画はあんまり見たくないんですが、あらゆるサービスが統合されるアプリには、当然ひとつのサービスとしてエンターテイメントも内包されていくわけですよね。日本はそもそも配車アプリがいまいち普及してないし、サービスとして制度的な面で制限が大きいので、やはり日常的に使うペイメントサービスの中にエンターテイメントサービスが内包されていくと考える方が自然かもしれませんね。









この記事が参加している募集

コンテンツ会議

140文字の文章ばかり書いていると長い文章を書くのが実に億劫で、どうもまとめる力が衰えてきた気がしてなりません。日々のことはTwitterの方に書いてますので、よろしければ→@hideaki