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韓国ペイテレビ業界でM&Aが活発化、ケーブルテレビ最大手CJ Helloが買収されるという話

ちょっと前に、韓国の主要テレビ局3社であるKBS・MBS・SBSが共同展開しているSVODサービス「Pooq」と、韓国最大の通信会社SKテレコムが展開しているSVODサービス「Oksusu」が統合されるという話がありましたけど、今度は韓国のペイテレビ業界が色々と動きそうです。今回はそんな話を。

実は下書き状態で寝かせていたのでやや古い話ではあるんですが、韓国モバイル通信の3番手であるLG Uplusが、韓国最大のケーブルテレビ会社CJ Helloを8000億ウォン(約800億円)で買収するという話が出ています。 LG UplusはIPTV事業も展開していますが、CJ Helloを取り込むことでペイテレビ契約者数が780万人まで伸長、市場占有率は24.43%まで高まり、衛星テレビ・ケーブルテレビ・IPTVなどを含めたペイテレビ業界全体でのポジションは2位となります。

CJ Helloはペイテレビ事業以外にも、Hello MobileというMVNO事業も展開。これらの事業を売却することによって、親会社のCJ ENMはより一層コンテンツビジネスに注力することになりそうです。CJ ENMはtvNとOCNというケーブルテレビチャンネルを保有。そしてこの2つの自社チャンネルや地上波(KBS・SBS・MBC)向けにドラマを供給するStudio Dragonというスタジオも抱えています。

Studio Dragonは「ミセン-未生/미생」「記憶~愛する人へ~/기억」「シグナル/시그널」など、言わずと知れた大人気ドラマを世に送り出し、ここ最近は「アルハンブラ宮殿の思い出/Memories of the Alhambra」や「キングダム/Kingdom」など、Netflixを筆頭とする動画配信サービス向けにオリジナルドラマを多数供給、次々とヒットさせています。

スタジオと言っても、もちろん箱の意味ではなく、またいわゆる制作会社とも異なります。プロダクションとタレントエージェンシーが組み合わさったようは会社で、例えばパク・ジウン、キム・ウンスク、キム・ヨンヒョンなど大人気ドラマの脚本家が多数所属しており、いまや韓国どころかアジアを代表する世界的なスタジオとして急成長中です。ちなみにフジテレビの「空から降る一億の星」や日本テレビの「Mother」の韓国版リメイクなども作っています。


CJ Helloの話に戻すと、この買収に刺激されて、韓国最大のモバイル通信会社SK Telecom(と傘下でIPTVを展開するSK Broadband)も、韓国ケーブルテレビ第2位のT-Broad(Taekwang Group)の買収に動いていると報じられています。もしT-Broadの買収が計画通りに進めば、SK Telecom/SK Broadbandはペイテレビの契約者数が760万人まで伸びることに。ただ業界でのポジションは3位と変わらず、市場占有率は23.83%。ちなみにSK Telecomは過去CJ Helloの買収を画策していましたが、公正取引の観点などで買収が認められなかった背景がありました。

ではペイテレビ業界の第1位はどこなのか。答えはKTとKT傘下の衛星テレビKT Skylifeで、契約者数は980万人。2位以下を引き離すためにD’Liveの買収に動いており、合わせると市場占有率は37.31%に。980万人が多いのか少ないのかよく分かりませんが、参考までにスカパー!の契約者数は319万件(2019年1月現在)とのことです。

KT 20.67 percent
SK Broadband 13.97 percent
CJ Hello 13.02 percent
LG Uplus 11.41 percent
KT Skylife 10.19 percent
T Broad 9.86 percent
D’Live 6.45 percent

<韓国ペイテレビ市場占有率>

いずれにせよ今回の動きによって、通信会社・ケーブルテレビ・衛星テレビという枠組みを超えた合従連衡が一段と進みそうです。こうした動きは韓国だけでなく世界中で起きていますが、それもこれも固定電話・携帯電話・ブロードバンド・ペイテレビの4つのサービスを1つの事業者がパッケージ化して提供する、いわゆるクアッドプレイ(Quad Play)を推し進めたいがため。そして、その先にはIPやタレントエージェンシーを押さえる動きが始まりそうな予感。






140文字の文章ばかり書いていると長い文章を書くのが実に億劫で、どうもまとめる力が衰えてきた気がしてなりません。日々のことはTwitterの方に書いてますので、よろしければ→@hideaki