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トレンドに踊らされず、人事本来の「コア」に向き合い磨いていく


私が所属する株式会社キャスターではCASTER BIZ recruitingというスタートアップや成長企業に特化した事業があり、サービス開始から約2年で200社弱の企業の採用をやってきました。

その中で溜めてきた我々ならではの知見や、クライアントさんにいるステキな人事の方と一緒に採用Advent Calenderをやろうということになり、そちらのトップバッターに指名されましたので頑張って書いていこうと思います。


ちなみに採用Advent Calenderに出てくださる方はこちらからご確認できます。みなさん、素敵な人たちなのでめちゃくちゃ良いこと書いてくれると思いますのでご期待ください!!


<Special Thanks>
採用Advent Calenderに参加いただくみなさま、年末の忙しいタイミングに本当にご協力ありがとうございます!
お礼にキャスター社の最終面接(=相手は私ですw)を受けられる権利を付与させていただきますので、いつでも行使くださいw


さて、前置きが長くなりましたが、1発目なのでテクニックやHow toの話ではなく「人事のコアってなんだっけ?」という話をしたいと思います。



危機意識と違和感


まず、私の中にある違和感や危機意識からお話しします。

ありがたいことにいくつかのメディアの取材やイベントでの登壇機会をいただいたり、たしなむ程度ですがTwitterで発信をしていることもあるからか、人事の方に採用についての相談をいただく機会が多いです。

その際、
私は毎回以下のような質問をすることにしています。

- 御社の事業や会社の現在の状況を教えてください
- 事業上の課題、ボトルネックはなんですか?
- 競合環境やマクロ環境は何か変化がありますか?
- 自社の事業上の強みはなんですか?
- 事業特性から派生した組織課題はどんなことですか?
etc

一見、人事の相談とは全く関係ないように見えるかもしれません。しかし、後述する「人事のコア」を考えるために必要だと思い、聞くことにしていますが、残念ながら上記のような質問に答えられる人はほとんどいません。
(自社の事業が何をやっているか、ビジネスモデルくらいまでは話せる方はたくさんいますが)


また逆に人事の方からの質問は以下のようなものが中心です。

- 採用広報はやったほうがいいですか?
- 事業部と経営陣はどうやったら採用に協力してくれますか?
- 評価制度はいつから作ったらいいですか?
- エンゲージメント上げるために何からやるべきですか?
etc

もちろん、実務上の悩みは課題はあるでしょうからそれを否定するわけではありません。ただ、自社はどういう組織や採用戦略を持っているかやそれに合わせてどういうアプローチがあるか、といった質問をされることはほとんどありません。


この状況を見たときに、1つの仮説が私の中で出てきました。
それは

「もしかして、人事のコアは何なのか?」をみんな理解していないのではないか?という仮説です。(ここでいうコアは存在意義、本質的な価値に近いような意味合いで使っています)


確かに
人事になるタイミングで人事の本質とはこうだよ、と教わる機会もほぼありませんし、スタートアップなどでは経営陣も経験がない中で手探りでやっているので当然です。
もちろん確固たる正解があるわけではないですが、少し「採用手法」や「トレンド」もしくは「自分のタスク」に閉じてしまっている場合が多いなと感じたので、2019年の終わりに改めて「人事のコア」を考えていきたいと思います。



では、人事のコアは何か?


もちろんこれが正解というものではないかもしれませんが、私が思う「人事のコア」について書いていきます。

私が思う人事のコアは、たった1つしかありません。
それは、


「事業や会社の成長に資する」


これしかないと思っています。
よく考えると当たり前のことで、人事ではなく営業、エンジニア、マーケ、CSでも全く一緒なのですが、事業や会社の成長に資することがほぼ全てだと思います。

人事の場合、対象になるのがプロダクトではなく「人」や「組織」である、というだけ。
つまり「事業や会社が成長するために人や組織の面からできることをする」のが人事のコア(=本質的な仕事)です。


これが人事のコアだとすると、
人事の仕事の意思決定や判断基準の主語は常に「会社や事業」になります。つまり会社にとってこれがベストなのか?事業の成長に資するのか?を軸に何事も判断し、行動することになります。

ただ、会社にとってはベストな選択だとしても、そこで働く一個人から見るとベストではない状況というのは常に起こります。当たり前ですが人間には感情がありますし、価値観や優先順位は人によって異なります。結果として時には「会社や事業にとってのベスト」と「個人のベスト」はコンフリクトします。


そういった「会社や事業」と「個人」のコンフリクトに常に向き合いながら、それでも会社や事業の成長に資するための意思決定をしていけるのかが人事のコアバリューになりますし、腕の見せ所になります。


個の時代と言われ、個人の働き方も多様化してきています。そして人手不足が続く中で、エンゲージメント、Employee Experience、Onboarding、、、など様々な概念が出てきています。
これらが大事ではないとは言いませんし、当然やることでしょう。ただ、人事が向き合うべきか「事業や会社の成長」であり、それを実現するために上記のような新しい概念も取り入れながらコンフリクトを解消していくスキルを磨いていくことだと思っています。



人事のコアに向き合い、磨いていくためには


では、人事をしている人がどうやって「コア」に向き合い、そのスキルを磨いていけばいいのか。私なりにですがいくつか書いていきたいと思います。



1、事業や会社のことを理解する



まずこれですね。
自社の事業や会社、マーケットの理解、その上での戦略などを理解するということから逃げないことです。とはいえ、いきなり事業サイドの仕事をするわけにはいきませんので、まずは以下のようなことから始めてみるといいのかなと思います。

- 事業責任者や経営者に週1で事業のことをレクチャーしてもらう
- 事業に関わるあらゆる職種の人と1on1ランチで仕事のことを教えてもらう
- 商談に同席させてもらう
- PL/BSをみる。できれば自分でも書いてみる
- 事業部内に席を置き、常に事業のことが耳に入ってくるようにする
- 競合サービス使ってみる
etc


このようにできることはたくさんあります。

まず事業や会社のことがわからなければ、事業戦略的にどういった強みを持つべきかがわかりませんし、それがわからなければ組織としてどういった組織戦略にすべきか、どんな制度設計にすべきか、などが見えてきません。
そういった意味でも事業や会社のことをしっかり理解できるかどうか、は向き合うべきテーマかなと思います。



2、他社の事例を知る



多くの人事と話しているとあまり事例を豊富に知っている人がいないと感じます。
もう少し正確にいうと

- 全く違う規模や業種
- 事業や経営戦略に紐づいた組織/採用戦略がバッチリはまっている会社
- メディアやSNS上ではなく1次情報

上記のように、本来知るべき粒度や濃度で他社事例をストックしている人というのは非常に少ないですね。
特にスタートアップなどですとmeetupや人事イベントなども多いので、同規模や同業種の会社が「何をやっているか」「どうやっているか」などの表面的な事例はたくさん目に触れます。
ただし、本来自分たちが知るべき「人事のコア」を体現している会社の生の情報を理解したり知るために動いている人はあまり多くないのではないでしょうか。


そうはいってもまずどうすればいいかわからない方は、
ぜひ、リクルート、サイバーエージェントの2社を徹底的に調べてみることをオススメします。
2社とも事業も組織も本当にすごい会社なのですが、事業戦略と組織戦略やカルチャーが見事にリンクしていて非常に一貫性があります。非常にお手本のような会社ですので、ぜひ年末年始の時間のあるときにでもやってみてください。



3、人事ではない交流会、勉強会へ積極的に参加を


1、と同じような内容ですが、
どうしても人事同士での交流やイベントなどに行きたくなります。もちろん同じような悩みを持った人の横のつながりは大事ですし、明日からの業務のヒントになるようなTipsも得られることもあるでしょう。

ただ、人事のコアと向き合い、磨いていくためには事業や会社の理解、もっというと「人事以外」の仕事や働く人の理解が絶対的に必要です。

例えばBtoBのSaaSは非常に盛り上がっていますが、そこで起きているセールス体制の変化やマーケティングの考え方、MRRやARR、チャーンなどの指標などを理解しているかしていないか、で人事としての打ち手に大きな差が出てくると思います。

私自身もそうですが、自分の専門分野や所属するコミュニティは安心しますし、ホームならではの安全性もあると思います。
ただ非常にタフな役割と向き合い、磨いていくためにはあえてアウェーの環境にいかに身を置けるかも重要だと考えています。2020年はあえて2回に1回はアウェーな勉強会やイベントにどんどん出て行ってみてください。



最後に


なんだか偉そうなことを長々と書いてきましたが、私自身の経験からも人事は非常に多くのコンフリクトに出会います。
また人間の感情の機微に多く触れることになります。
関係する人間が多くなればなるほど、事業や会社が成長するための最適解と一個人にとっての最適解がずれていく場面は多くなります。その中でも「会社や事業の成長」を唯一の軸として判断をしていくことになりますから、個人として難しい選択や複雑な感情になることもあると思います。


それでも中長期的にみて、会社と事業に資することをし続けることで幸福になる人の総和を増やしていくのが人事の仕事だと思っています。

大変ですよね、、わかります。
でも、全体と個人のコンフリクトが起きてからが人事の本番です。全体と個人の矛盾やコンフリクトを愛し、向き合い、それを解決していくスキルを磨き続ける仕事である、、、
2020年を境にそんな人事がたくさん生まれてくるといいな、と思っています。疲れてしまう時もあると思います。そんな時はTwitterのDMにメッセージをください、飲みにでも行きましょう。


それでは、2019年も残り1ヶ月頑張っていきましょう!
私からは以上です。長々と読んでいただきありがとうございました!



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