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フェブラリーS分析全頭診断

1.傾向分析

・枠脚質傾向

Check:先行有利と心得る
→直線の長い東京競馬場、差しが決まりそうな展開が予想されがち。ただ、案外先行馬が残る馬場であるという事を認識しておくべきです。
 過去5年4勝は逃げ先行馬によるもの。10年に広げても6勝が逃げ先行馬によるものでした。
 差し馬場になるのは内枠に先行馬が揃った時。今年はJBCスプリント王者が最内枠。先行馬1頭と差し追込馬で決まる可能性も。

Check:枠の有利不利はないものの、1枠は厳しい
→芝スタートで外枠の方が芝が長い特性上外枠が有利になるかと思いきやそうでもありません。ただ、内枠は影響を多少なりとも受けており、1枠は過去5年間馬券内なし。
 それどころか過去10年に広げても1頭も馬券になっていない所謂"死に枠"になっています。ケイティブレイブやサウンドトゥルーと言った実力馬もその餌食になった過去があり、実力馬でも軽視妥当。

・ローテー傾向

Check:上がりが全てを掌握する!
→先行有利といっても長い直線。先行馬が有利と言っても上がりは求められる形となります。昨年はから1着レモンポップ、2着レッドルゼルが共に前走上がり3位以内だった馬でした。
 そのほか21年には前走東海S上がり2位のエアスピネルが9人気2着、根岸S上がり1位だったワンダーリーデルが8人気3着と波乱を演出。穴馬として狙いたいのは上がりを出せている馬です。

Check:強いのは短縮組
→有力馬は前年のチャンピオンズCや東京大賞典、それに年明けに施行されていた川崎記念(24年より4月に移動)からのローテーが一般的であり、必然的に短縮が有利に。ただ、東海Sは相性の良いローテーではなく、京都で施行された20年は参戦した馬全てが馬券外に沈んでいます。
 延長組は根岸S組が圧倒的で、根岸S連対馬は過去5年間【3-0-2-2/7】で抜群の安定感。掲示板外は一頭もいません。無条件で評価を上げるべきですが今年は0。なんてこったです。
 武蔵野Sなどが施行されるものの、同距離組はサンライズノヴァが3着に来た程度であり、相性的には?

・血統分析

Check:米国系を持っていない馬は大幅割引
→過去5年4勝。内ミスプロ系が4勝。過去10年に拡げても米国系は6勝、ゴールドアリュール産駒が3勝。唯一欧州系Frankel産駒で勝利したモズアスコットも母父Storm Catが入っており、米国要素がありました。今年の有力馬には含まれていない馬もいますから、取捨は慎重に行う必要があります。

Check:ミスプロ系が好走と捉えればKingmambo系も悪くない!
→ミスプロ系と相性の良い競走、スピードの持続力と直線の持続力の二つを求められる競走と言えます。
 末脚持続系の差し馬が好走する舞台でもあり、このパターンで前述の21年エアスピネル、昨年のレッドルゼルなどが好走。それ以前もユラノトなどが好走しており、再現性の高い傾向。無視はできません。

2.全頭診断

評価はSABCDの5段階。
Sは該当馬、勝利級の馬
Aは該当馬、連対級の馬
Bは馬券になる確率がある馬
Cは展開次第で馬券になる程度の馬
Dは今回厳しい馬

1 イグナイター

評価:C
 昨年はこの馬にとっての飛躍の一年。さきたま杯で2年ぶりの交流重賞Vを達成すると二走後の南部杯はレモンポップの2着。大差はつけられたものの、時計的には例年と差はなく勝馬が強かった印象。その実力はJBCスプリント勝利で結実しました。
 敢えてのフェブラリーS参戦で勝利の気運も高まりましたが、まさかの1枠1番。傾向分析通り、これではプッシュできません。
 番手でも競馬できますが、基本的に行けるなら行ってしまうことに加えてエスポワールシチー産駒らしく勝負根性が高いタイプ。抵抗されては厳しい競馬になってしまうことは致し方ない部分です。
 1枠1番JBCスプリントの覇者といえば18年に参戦したニシケンモノノフが挙げられます。結果は逃げて最下位16着入線。兵庫の雄も枠が悪かった形。
 誰も競りかけず、そしてマイペースのスロー逃げに持ち込めれば勝機ありですが、かなり注文がつきます。軽視妥当でしょう。

2 シャンパンカラー

評価:D
 昨年、稍重のNHKマイルCで人気薄ながら勝利もその後は結果に恵まれずダート参戦。
 近年も過去にも芝からいきなりダートG1というケースは少なく、近年では21年のソダシがそのパターン。その時も逃げて12着に沈んでおり、近年のダートはレベルが高いことを示しました。
 そのパターンに嵌めれば今回も厳しい戦いになることは明らか。砂に慣れて二走目あたりで好走というのがパターンであり、いきなりというのはダートのレベルを見誤っているように感じます。
 もちろんドゥラメンテ産駒にはドゥラエレーデのようなタイプもいますが、あの馬も初勝利がダートなど下地があっての活躍。さすがに同列には扱えず、今回はかなり厳しい戦いになりそうです。

3 ミックファイア

評価:C
 昨年の南関東ダート三冠馬。唯一にして最後のダート三冠馬(四冠馬はいましたが)ということになります。私自身この馬には大変お世話になりましたし、大好きな馬です。それでも厳しいとしかいえません。
 まず中間に頓挫があったこと。もともと爪の弱い馬ですが、それがこの中間にも現れました。最終追いを見ていると問題なさそうですが、万全かは?
 さらに、陣営の先行意識が高いこと。この馬が今回馬券になるためには中団前目につけて直線上がっていくというパターンだと想定しています。シニスターミニスター産駒の好走パターンはこの形が多いのです。
 無理にマイルのスピードで追走すると後半脚が残っていない可能性もあり、この馬の良さが発揮されない挑戦になるかもしれません。それだけは避けて欲しいところ。
 ただ、今そのまま行くとこのパターンにハマりそうで、非常に不本意ではありますがC評価にさせていただきます。この馬はペース付き合わないことが好走への道。

4 ドゥラエレーデ

評価:B
  昨年秋は再びダートに戻ってチャンピオンズCは9人気3着、東京大賞典も3着と連続して安定。今回も相棒はムルザバエフ騎手と鬼に金棒の状態。
 ただ、ドゥラメンテ産駒ですので、短縮というのはあまり良い手とは言えず、内枠というのも気性的にマイナスに働くでしょう。さらに、初体験のマイルですので、先行して粘るいつものスタイルが通用するかも未知数。好走する可能性はあっても人気通りに信頼できるかは疑問符が残ります。
 ムルザバエフ騎手は重たい馬でもしっかりと動かすことができますが、それも仇となる可能性があり、実績上位でも馬券の軸というタイプではないイメージ。ならば思い切って消してしまう勇気も必要になるかもしれません。
 それでも実績は上位ですから、馬券の紐には必ず入れておきたい一頭。

5 オメガギネス

評価:B
 初めに断っておきますが、このB評価はルメール騎手が騎乗する分のB評価です。馬だけの実力を考えればC評価あたりが妥当でしょうか。それだけ危険な人気馬と断言しても良い一頭です。
 安定して先行して戦績を残していますが、それは脆さも介在しているなかでのレース運び。前走はそれが強く出て出遅れ気味のスタートから巻き返してというちぐはぐな競馬。気性の荒さがモロに出てしまいました。
 今回も内枠や同枠に先行したい馬が多くいる枠のならび。外に出せればいいですが外にも先行したい馬が並んでおり、包まれる可能性もあります。もし包まれたらそれが最後、一気に走る気をなくして凡走…というパターンも。
 これはロゴタイプ産駒に多く見られる傾向で、気分よく先行できれば内目の枠でも好走できますが、包まれたり砂を被ったりすると脆さが出てしまいます。
 ロゴタイプ産駒×母父ハービンジャーと欧州の血が強いのも気がかりで、血統的の強調材料に乏しいところ。もちろんルメール騎手が騎乗することをプラスに見るのもいいですが、それだけは終わらない不利は多くあり、マイナスバイアスVSルメール騎手の構図に。それでもルメール騎手は勝つので
抑えは必要かもしれません。

6 カラテ

評価:D
 こちらは生涯久々のダート挑戦。芝のイメージが強い本馬ですが、トゥザグローリー産駒自体はダートで好走するタイプが多いのが特徴です。近い血統構成では母父クロフネのゲンパチルシファーで、同馬はプロキオンSを勝利しています。
 ただ、それこそがミソ。このプロキオンSは小倉のダート1700mで施行されたものであり、ゲンパチルシファーに限らずトゥザグローリー産駒はコーナーが急な小回りコース、ローカルや地方競馬での活躍が目立っています。
 カラテ自身が東京新聞杯を勝利していて、東京コースは問題ないように思えますが、ダート替わりかつ前に行きたがる性格を考えると強調することはできません。良くて掲示板、そんなイメージでしょうか。

7 ガイアフォース

評価:C
 こちらも初ダート。セントライト記念以降勝利から見放されており、消極的なダート転向に見えます。この馬を推すのもどうでしょうか。
 この馬を推す理由として初ダートで快勝した母父クロフネの存在を挙げる方が居ますが、先ほども書きました通り、いきなりG1ではありません。その時もG3武蔵野Sでした。そしてJCダートのレコード決着になったわけです。G1前に下地があったことを忘れてはなりません。
 もちろん、母ナターレは戸塚記念を制するなど、ダートが向かないとは考えていません。ただし、牝系がダートに向いて走るのならば、ソダシがいきなり走れなかった理由を考えなければいけません。いきなりひょいと走れないのがダートのG1。逆にダートの重賞馬がいきなり芝のG1に来て勝てるでしょうか。それと同じことです。
 キタサンブラック産駒のダート替わりはいきなり走れる傾向にありますから、OPやG3などで来たならば厚く買いたい一頭でした。それでもG1で、いきなりこの人気で…では買えるものも買えません。
 

8 セキフウ

評価:C
 昨年北海道で奇跡の復活を果たした同馬もその後は低調な成績を終始。昨年の武蔵野Sも上がり3位ながら伸びきれずの8着と買い要素に乏しいところはあります。
 それでもヘニーヒューズ産駒が得意としている東京マイルに戻るのはプラスですし、前走も上がり1位と完全に見限るのは時期尚早かもしれません。
 かなりペースが早くなればこの馬の出番。ある程度の位置にまずはつけられるか、です。

9 ペプチドナイル

評価:C
 3勝クラスではウシュバテソーロの2着など実績のあった馬で、一昨年の秋にオープン昇級。ただ、その後はOP街道で勝利を重ねるに留まっています。
 その要因として"テンは速くないが逃げないといけない"という好走パターンが邪魔していると言えます。かなり展開に注文がつくタイプなのです。
 近走は逃げなくとも好走できるような形に変わってきましたが、同型強力な今回は厳しいジャッジをせざるを得ません。
 せっかく相性の良いキングカメハメハ産駒ですから腹を括った末脚勝負に持ち込めれば馬にも変化があり激走する可能性もあります。そこに一縷の望みを賭けたいところ。

10 タガノビューティー

評価:B
 数年前までで言えばサンライズノヴァ枠。東京競馬場マイル重賞の常連で東京マイルは複勝率72.7%を誇るコース巧者。勝ちきれずとも馬券に来るイメージです。ただ、フェブラリーSは登録順に恵まれず今回が初出走。7歳、満を持しての出走。
 武蔵野Sも追込み鋭く2着になっているなど、実力に翳りは見えず、気がかりなのは前走14着のみ。根岸Sは過去最も遅かったため参考外と言ったところでしょうか。
 ヘニーヒューズ産駒にとって東京はまさに"庭"。過去1年間に限定すれば複勝率は42.4%と嘘のような数字になっています。それだけに完全無視は不可能。
 テンが早くなりそうで、展開も向きそう。そうなれば前走も度外視可能で、この人気ならば相手としても妙味がありそう。激アツかもしれません。

11 キングズソード

評価:A
 傾向的に1番合致しているのはこの馬になります。番手に控えての競馬も可能ですし、脚質に自在性があるのは魅力的。
 昨年はこの馬も飛躍の一年で、オープン昇級、オープン連勝そしてJpn1勝利…タイトルまで手にしています。しかし、Jpn1勝利はマジックマンモレイラ騎手がもたらしたものであり、前走東京大賞典では5着と人気を裏切る形に。不安がないわけではありません。
 ただ、前走は1枠が堪えただけかもしれませんし、一走のみで見限るのは時期尚早。
 シニスターミニスター産駒と言えば昨年4着のドライスタウトや18年3着で東京重賞の常連だったインカンテーションを輩出していますから、このコースが苦手というわけでもありません。
 これらことを考えると極端に嫌う条件はなくとも人気が薄いならば狙ってもいい馬。この馬から流すのも面白そうです。

12 スピーディキック

評価:C
 地方馬が全頭Cなのはお許しください。昨年は直線伸びてはいたものの、直線の進路取りとスタートの出遅れ響いて6着。南関東で圧倒的な強さを見せていた頃の実力を遺憾なく発揮していました。
 しかし、挑戦の年とした昨年はその後苦戦。かしわ記念やレディスプレリュード、それにJBCLCでは共に0.9秒以上離されて敗戦。結局馬券になったのはスパーキングレディスCと東京シンデレラM(地方重賞)のみ。勢いは昨年よりも劣る印象。
 それでも馬券になったのはいずれもマイル。キングカメハメハの血を継ぐタイセイレジェンド産駒で末脚を持続する形は歓迎。昨年の経験を糧にして昨年よりも上の着順を。頑張って欲しいです。

13 レッドルゼル

評価:B
 実力を発揮し続けているランナーは武蔵野S3着の実戦。昨年は夏負けなどがあり、厳しい調整を強いられ満足に使えていませんが東京ダートマイルコースは二戦連続馬券内と安定していました。
 ロードカナロア産駒ですから、このレースが合わないことはありません。実際に参戦した3年は④⑥②と一定の安定感は見せています。ただ、長期の休養明けや調整過程の不安や同距離ローテーなど、あまり嬉しくない要素も存在。
 相手としては頼もしくとも軸としては不安定。過度の期待は?

14 ウィルソンテソーロ

評価:B
 普通に考えれば実力最右翼。昨年はかきつばた記念レコードV以降クラスター、白山大賞典と交流重賞三連勝。JBCクラシックでは壁に跳ね返されるも、チャンピオンズCと東京大賞典は連続2着。実績は疑いようがありません。
 ただ、かきつばた記念V後に陣営は距離の不安を口にしており、本質的には中距離馬。本馬の東京マイルへの適性は?
 それでもキタサンブラック産駒はこのコースが得意ですし、ダッシュに有利な外枠に入った点も有利。好発から控える形で走れればその後直線で末脚一閃、抜け出すということも可能でしょう。
 多少の不安要素はあれど、それを克服するだけの要素もありますから、マークは必須です。

15 ドンフランキー

評価:D
 600キロ近い巨体からスピードを繰り出す巨漢スプリンター。昨年はプロキオンS勝利、秋の東京盃では大井競馬場ダ1200mのレコードを更新する1:10.0を記録するなど、スピードは超一流です。
 ダイワメジャー産駒でもスピードに向いているタイプで、1400mが限界な現状。1800mでは条件戦で弾かれており、東京マイルへの延長がかなり不利に働く可能性があります。
 展開的にも内から飛び出した馬を外から追いかけるのは確実にロスですし、距離ロスはマイル以上の距離を走らされることに。ならばここは軽視妥当でしょう。イグナイターとの先行争いが1番の見所かもしれません。

16 アルファマム

評価:D
 オープン昇級後は凡走と好走を交互に繰り返すように。前走は凡走ですから今回は好走…といきたいところですが、さすがにメンバーレベルが上がりすぎた印象。オープン辛勝レベルでは厳しいのは火を見るより明らか。強調材料は?
 上がりが早いこと、マジェスティックウォリアー産駒で適性はあること。これらを踏まえれば買えないとは言い切れませんが、馬体重が軽い牝馬であることから大型馬相手には分が悪いところ。

フェブラリーSほか見解買い目

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