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I am OK!You are OK! - 英会話から考え方を見つめる -

WEBマガジン『かきたがり』。地域ライター養成講座からはじまったライターゼミ。ゼミ生が取材・執筆した記事を掲載します。

あなたは何色の眼鏡をかけているだろうか?

人は知らず知らずのうちに特定の考え方で物事を見る。
固定観念という名の色眼鏡。
その色眼鏡を通すと違った色を認められず、時には苦しみを生み出す。

そのなかでお話を聞いたのが、ケイディさんこと宮崎啓子さん。
色眼鏡を外してくれる、数少ない人だ。

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ケイディさんは大阪精神医療センターで精神保健福祉士(いわゆる、相談員)の仕事をし、休日はライフワークとして英会話を教えている。

日本人家庭に生まれたが父方のいとこはアメリカ人。幼少期にお父さんは仕事でヨーロッパを転々。高校生の時にアメリカ留学生が来て、以降は日本とアメリカを行き来しながら両国の大学を卒業した。

その後、東京でドイツ系企業の秘書として働いていたが、結婚をきっかけに大阪と東京を行ったり来たりすることに。その移動中の新幹線である出会いをする。

「私、英字新聞か何か読んでたのね。すると、隣の人が声を掛けてきてくれて…。その人が英会話の講師だったの。で、その人が授業を急遽休むことになって。ピンチヒッターを頼まれて、やってみたら大ウケ!英会話の先生でもやってみようかなって調子にのっちゃって(笑)」

新幹線での出会いをきっかけに、現在も英会話の先生を続けているケイディさん。彼女の英会話は一風変わっている。カードを引いて、そこにある数字やアルファベットから想定する単語を相手に当ててもらうよう話していくのだ。

例えば、引いたカードがアルファベットの『A』で自分が『apple』を想定したら「It's a fruit. color is red…」と話していく。単語がわからなければ、紙に形を書いたり、身振り手振りを加えて伝えていく。

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「私の英会話はペラペラ話すことを目的にしてないの。ペラペラしゃべらなくてよくて、それよりも、表現の仕方が何か違うということに気づいてもらったり、今までの勉強法と違うということに気づいてもらう。するとね、次第に、”考え方がそもそも違うんじゃない?”て考えるようになる。そんな考え方もあるんだとか、そんな考え方の違う人と会話してるんだとか、いろんなことが見えてくるのね」

言語が違うと、考え方のベースが変わる。
生まれつきの特質、育ちによっても在り方が変わる。

「英会話を続けていると、一人ひとりが異なる価値観やスタイルを持っていて、自分にもあることが見えてくる。性別も年齢も関係なく、国籍も関係ない。みんな、ただの人どうし!白紙の状態から関係を作っていけるの」

一箇所にずっと住むことがない。
いろんな土地で生きていかなければならない。
その土地に長くいられない生き方をしてきたケイディさん。

いろんな土地で、いろんな人たちに出会い助けられ、いろんな生き方に触れ共有共存してきた。
だからこそ、ケイディさんは凝り固まった色眼鏡を外して生きる方法をみつけたのだろう。

あらゆる角度でものごとを見ていく。かけている色眼鏡を外していく。
そこには個々を認め合う、和やかで大きな世界が広がっているに違いない。

(書き手 :中野 典子)

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