#12 放射する臨海



 3

という数字には、"孤独"と"回帰"のイメージがあるんだ。だから今年のテーマはずっと「孤独に帰る」なんだ。混じり合うセカイで、どうやって孤性を守って走るか。どうやって、平行な世界を貴方と共に走るか。どうやって直線にゆらめきを与えて、交わってる事に気が付かないようにゆらやかに交わりを持つか。

盲目になって、それでもこの美しきセカイを見渡していくか。


もっと1人で。もっともっと1人へ!
それを願うほどに、僕らは融け合えるからさ。


常に涙が零れる直前にいるんだ。
けれど、泣けない苦しみを味わう人間性を、味わうんだ。今のうちにね。


 愛を唄うな。哀を謳え。それが黒猫の願いだ。


 電車に乗らずとも、その先へ辿り着く事は出来る。大蛇が広大な水面を滑るように、私たちの根底にはその太い幹がある。深海に潜む狡猾さよ。白鯨は大蛇の腹を喰らい、大海は常に鯨の鎖骨を喰らう。水平線を這うように、紅い気球が影を落とす。
 隣に座る君の瞳よ。その海を這うのはなんだ?

 この悲愛は強く残っている。あぁ、私は私の背中を撫でて、そうしてあの凍死した黒猫のように泣くのだ。あの黒猫は、そうして喜びを現すのだ!さあ草木よ咲くのだ!そしたら根元から喰ってやる。私の背骨ごと喰ってやる!

 お前の仕事はただ一つ。それは私の背中に触れる事だ。そしたら吹き飛ばしてやる!喉元を噛み砕くのは海月の仕業だ。海月の牙が満月を砕く時、私は凍ったままお前の背中に焼印を付けてやる。


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