映画を観た記録102 2023年9月23日   小津安二郎『秋日和』

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冒頭の7回忌の佐分利信、中村伸郎、北竜二らが演ずる、原節子の亡き夫の友人たちとされる者たちの会話が余りにも男臭くて、ドン引きしかねないのだが、次第にこの映画は世代の価値の相克、岡田茉莉子演ずる原節子の娘あやこを演じる司葉子の、3人組の男たちへの抗議のような逆襲が微笑ましく、そして、次第にこの映画は、実は喜劇映画だということが露わになる。

そして、『東京物語』もそうだが、この映画も戦争の影が色濃く落ちている。伊香保で、原節子演ずる母と、司葉子演ずる娘あやこは、あんみつを食べながら、母が娘に伊香保での疎開を憶えている?と尋ねながら原節子演ずる母にとっては夫への思い出と司葉子演ずる娘あやこにとっては父への思い出が戦争と重ねあわされていく。

喜劇でもあり、親子の情愛を静かに描く本作品はすごすぎるとしか言いようがない。

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