映画を観た記録91 2023年9月2日    マリア・シュラーダー『SHE SAID』

Amazon Prime Videoでマリア・シュラーダー『She Said』を観る。

この映画は誰もが観るべきです。

ハリウッドの映画会社であるミラマックスの経営者であったハーヴェイ・ワインスタインの性加害を告発したニューヨークタイムズの記者と被害者の彼女たちが声を上げるまでの克明な闘いがドラマ化されている。

なぜ、セクハラは起きるのか。その回答は、本作品の最初で、タイムズ編集部の管理職の女性が答える。だが、映画は、質問→回答というテストではないので、そこで観なくなるのはおかしい、と言っておく。

それにしても、なぜ、ハリウッド内部でハリウッドの支配者の性加害者を告発する映画を製作できるのか。たとえ、ニューヨーク・タイムズで記事化されて公になったあとでも、映画化されてしまうのは、映画人の良心だからではないだろうか。

映画の中で、記者から取材される被害者が、「彼が嫌っているスコセッシとの会議で」というセリフがあり、スコセッシは嫌いだったのか、と納得する。おそらく、口にこそ出しては言わないが、ハーヴェイスタインのことを好いている映画人はいなかったのだろう。しかし、1990年代のハリウッドはそうだったのだ。

本作品は、ブラッド・ピットがプロデュースしている。日本国内ではブラピさんとか馬鹿な受け入れをされているが、ブラッド・ピットもまた、「良心」があり、「人の役に立ちたい」という倫理があるのだ。

その倫理はどこからくるのか、映画の中で被害者が語るセリフに表されている。「キリスト教徒として」。

本作品は、日本の軟弱な映画をぶっちぎる大傑作である。

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