映画を観た記録106 2023年9月25日   ジャック・リヴェット『美しき諍い女』

Amazon Prime Videoでジャック・リヴェット『美しき諍い女』を観る。

ミッシェル・ピコリ演ずる老画家が「美しき諍い女」を作り上げるまでの過程をエマニュエル・べアール演ずる女性モデルとのドラマを約4時間の大作にする。

画家が、裸体婦を完成するための過程だけともいえないが、ほとんどそれだけで約4時間である。

裸体画ができあがるまでに画家とモデルにも葛藤はあるが、モデルの恋人二コラとモデル・マリアンヌとの葛藤、二コラの妹とマリアンヌとの葛藤、ピコリ演ずる老画家のジェーン・バーキン演ずる妻と老画家との葛藤。激突する感情が刺激的な作品でもある。

そして、本作品の特徴は、音である。劇伴ではなく、物の音が強調されている。中でも目立つのがキャンバスに書かれる絵筆の音である。

古城を舞台にした本作品はまるで演劇のように展開される。その極めつけが、絵が完成した以降のパーティーでの登場人物たちの演技である。他の登場人物
に話しかけて、画面外へ消えていくのである。これはどう見ても演劇としかいいようがない。

商業的娯楽作の要素を欠いているこの映画を一気に観られるくらいになりたいものだ。
『美しき諍い女』を途中、マイ休憩を入れながら、Amazon Prime Videoで観たのだが、劇場では、マイ休憩などあるわけがないから、最後まで通しで観なくてはいけない。苦痛な気がする。
俳優たちがピストルを握ってバン、バン撃ち合い、クルマが走り回り、ダイナマイトが爆発し、火災が炎上するような映画ではなく、演劇的な手法なので、観る側にも集中力が試される映画でもある。
それにしても感じたのは、フランス映画なのに、主人公夫婦2人を演じたのは、ミッシェル・ピコリ、イタリア人、ジェーン・バーキン、元はロンドンっ子、夫はセルジュ・ゲーンズブールというフランス人ではあるが。
自然光を活かした撮影は、絵画完成記念パーティーと思しき場所で遺憾無く発揮されています。美しい映画ですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?