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経済的に取り出せないと”資源”ではない

”有用な”地下資源の条件は、①大量にある、②濃集している、③経済的に取り出せる、という3つの条件を満たさなければなりません。例えば石油は、存在する場所は限られていますが大量にあります。また、石油は石油貯留層というところに貯まって(濃集して)います。さらには、数十億円/数百億円の掘削費用をかけても、石油の価値は高いので、経済的にペイします。

しかし、前述の①②の条件がクリアできても、③の条件がクリアできないものも数多く存在します。地球の内部には、核(コア)と呼ばれる部分があり、間接的な状況証拠から”鉄やニッケルを主成分とした金属”で構成されていることがわかっています。しかし、このコアまではあまりにも深く、高温なので、商業的に取り出すことは不可能です。

日本の周りには、日本の消費量の100年分の埋蔵量があると推定されるメタンハイドレートが存在しています。メタンは都市ガスや牛のゲップに含まれる無色透明な可燃性の気体で、メタンハイドレートはメタンと水の水和物です。現在、メタンハイドレートの商業生産に関する研究が行なわれていますが、今のところ決定打がありません。そのため、メタンハイドレートは”将来的な資源/未利用資源”と呼ばれたりします。

地球上のメタンハイドレート以上に大量にあるメタンは、土星の衛星タイタンにあります。タイタンは、水ではなく液体メタンの海に覆われています。タイタンは太陽から遠いので、地表の温度が-180℃しかありません。そのため、タイタンではメタンは液体として存在しています。地表面に液体が存在している天体は、太陽系で知られている限りは地球とタイタンしかありません。最新の研究では、タイタンの海の深さが最大300mにも及ぶことが分かったそうです。

タイタンは土星の衛星ですが、直径は約5,150kmもあり、太陽系の惑星である水星(直径約4,850km)よりも大きい天体です。ですから、表面積も大きく、とてつもない量のメタンがあることになります。これが有効利用できれば人類のエネルギー問題は簡単に解決しそうですが、やはり”経済的の取り出す”手段がありません。メタンハイドレートは地球表面にありますが、タイタンのメタンは遠く離れた宇宙にあります。

タイタンのメタンの資源化は、人類が宇宙を自由に動き回れる遠い将来なら可能かもしれませんが、今のところは無理みたいです。手前味噌ですが、やはり地熱エネルギーしかありませんね(^▽^)/。

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