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どのデータに着目するか? 見えないデータに着目!!

面白い動画を見ました。ショート動画でしたが、統計に関する逆説的な話でした。アメリカ軍が飛行機を改良をするため、敵から受けた飛行機の機体の損傷個所の統計を取りました。

第2次大戦中のヨーロッパ戦線で、アメリカ軍はある重要な対応に迫られていました。それは、ドイツ軍による地対空の機銃掃射からどのようにして爆撃機を守るか、ということです。そこでアメリカ軍は、戦場から無事に生還した爆撃機の弾痕分布をタイトル画のようにまとめました。

この上から見た被弾マップによると、主翼の両端(A)、機体の中央部(B)などに損傷が集中しているように見えます。軍は被弾対策として、”損傷部分の多い箇所の装甲を厚くする”という方針を立てました。しかし、あまり機体を重くはしたくないとのことで、装甲を何ミリ厚くすれば機銃掃射にギリギリ対応できるのかを、統計学研究グループの統計学者に相談しました。

その答えは意外なものでした。その統計学者は、”弾痕のない部分の装甲を厚くすべき”と主張しました。私たちが見ている損傷パターンは、”生還した爆撃機”の弾痕パターンです。冷静に考えると、AやBの部分に当たっても爆撃機は生還できたわけです。逆にいえば、それ以外の部分に当たった爆撃機は生還できなかった、と言えます。要するに、その”生還できなかった損傷パターンの部分”の装甲を厚くすればいい、というわけなのです。

この世界には、見える情報と見えない情報が混在しています。それなのに、私たちは見える情報だけを追う傾向があります。しかし、見えない情報のなかに”真実がある”場合だってあります。このように、見える情報にばかり目を向け、実態を見落とすことを”生存者バイアス”と言うそうです。

物理探査でも統計学と同じように、観測データを処理して結果を出しますが、基本的には見える情報を重視します。ただし、見えないデータの中に真実(本当の地下構造)が隠れているかもしれません。『見えないモノこそ重要である』は、常々私が意識していることです。

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