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”遺跡発掘スタッフ募集”の広告について

ネット検索は便利なもので、あるキーワードで検索すると、そのキーワードに関連する商品などをお勧めする広告が現れます。またAmazonなどの通販サイトでは、購入履歴にマッチした広告メールが送られてきたりします。これは、このようなサービスを望んでいる人には便利ですが、そうでない人にとっては有難迷惑です。

最近、ブラウザの右側に、”遺跡発掘スタッフの募集”という広告が出ていることに気が付きました。時給は1100円らしいです。ここ数年は遺跡探査を実施することが少なくなりましたが、バブルの頃は建築ラッシュだったこともあり、発掘現場近くにある遺跡の探査をさせて頂くこともありました。

大分県の三光村(現在は中津市)の横穴墓の遺跡探査を頼まれて、電気探査を実施したことがありました。このとき、直ぐ近くには大型スーパー建設予定地で発掘調査がされていました。現地の教育委員会の人に説明を受けて、その発掘現場を横切って目的地に行く途中、遺跡発掘アルバイトの方(50代くらいの女性)に「先生、これは何でしょうか?」と後ろから声をかけられました。

私は思わず振り返って、「はい、なんでしょうか?」と聞き返すと、「アンタじゃない。そっちの先生・・・」と言うのです。その遺跡探査には、私と学生とベテランの技術職員(当時は技官)と一緒に言っていました。声をかけられたので返事をしたのですが、その女性が先生と思ったのはベテラン技官の方だったのです。そのとき私は30代前半、ベテラン技官は50代でしたから、貫禄あるベテラン技官が立派な先生に見えたのでしょう。

そのベテラン技官は、高校時代に遺跡発掘のアルバイト経験があったらしいので、「それは土器の破片かもしれないですね」と丁寧に答えていました。私は現在、その当時のベテラン技官の年齢を超えていますが、未だに貫録はありません。

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