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コヒーレンシーという言葉を知っていますか?

コヒーレンシーというカタカナ言葉を聞いたことがありますか?。コヒーレンシー(coherency)は、一貫性や干渉性と訳されますが、日本語の意味がいまいちハッキリしない言葉です。

”干渉性”という文脈で使われるのは、レーザー光のコヒーレンシーの場合です。一般的な可視光は自然放出光なので、光波の位相やエネルギーがランダム(バラバラ)であり、干渉することはありません。しかし、レーザー光は人工的に誘導放出される光であるため、光波の位相やエネルギーが揃っているので干渉可能です。

またコンピュータの分野では、メインメモリとキャッシュメモリのデータにおける”一貫性”のことをコヒーレンシーと言います。コヒーレンシーは、最近よく使われるマルチプロセッサで重要視されています。CPUは、データがキャッシュメモリに上にあれば、そのキャッシュメモリから内容を読み取ります。しかし複数のプロセッサでデータを扱う場合には、メインメモリ上のデータとキャッシュメモリ上のデータに違いがあると、正しい処理が行われなくなってしまう。この二ヶ所のメモリー上のデータの一貫性のことをコヒーレンシーと言います。

別の”一貫性”という文脈で使われるのは、二つの時系列データの関連性を評価する場合です。コヒーレンス(coherency function; 関連度関数)は、2組の時系列データ間の関連度合を0(=まったく関連無し)から1(=完全に関連)までの値で周波数別に示します。もう少し詳しく説明すると、コヒーレンスの計算は、2組の時系列データ間のクロススペクトル密度関数とそれぞれの時系列データのパワースペクトル密度関数によって計算されます。

現在進行中のMT法プロジェクトでは、電磁場の時系列データを扱っていますが、磁場データと電場データの”一貫性”が重要になってきます。太陽の磁気嵐や地球上の雷放電によって生じた電場変化は、地球の地下で地電流を誘導します。また地下に地電流が流れると、地表面で電場変化が生じます。MT法では磁場と電場の変化から地下構造を推定するので、磁場と電場の相互関係を評価することが重要になってきます。

現在、このコヒーレンシーの計算プログラムを開発中です。出来上がったプログラムで、これまでの時系列データのコヒーレンシー評価をする予定です。ある教科書によれば、”コヒーレンシーが0.9以上のデータを用いること”という説明がされています。コヒーレンシーが全てではありませんが、この値によって生データの質がある程度評価できます。

測定データのコヒーレンシーが高いと良いのですが・・・。

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