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高感度にもほどがある#2 重力計

重力探査は、地下の岩石や土壌の不均質性から生じる密度変化を捉えることで地下構造を推定する方法です。おもに石油鉱床や地熱貯留層などを探すときの概査などに使われます。

重力探査では微小な重力の差を測定する必要があるので、高精度な重力計が必要です。ここまで説明なしに”重力を測定する”と書きましたが、厳密には重力加速度を測定します。高校の物理では、重力加速度は一定の9.8m/s^2と教わりますが、実際はそうではありません。地球は自転しているので、物体には引力と遠心力が働きます。この”引力と遠心力の合力”が重力の正体です。

重力加速度はcgs単系のgalガル(cm/s^2)がいまだに使われています。これは、昔の探査結果との整合性(連続性)を考えた仕方のない方便です。通常の重力加速度gは980 galになりますが、これでは微小な重力差は表せないので980000 mgalという1/1000の単位であるmgalミリガルを使います。ただし、これでも地下深くの密度異常体による密度差を検出するには、さらに1/1000にしたμgalマイクロガルが使われます。つまり、

    g (=9.8m/s^2) = 980 gal = 980,000 mgal = 980,000,000 μgal

となります。現在最も感度の高い重力計の最小目盛りは、1 μgalになっています。少し前までの最小目盛りは10μgalでしたが、現在の最新機種では重力加速度の1/980,000,000の微小な重力加速度の差が測定できます。

野外の重力探査では、バネの伸縮を利用した相対重力計が使われますが、最近では比較的小型の絶対重力計が使われることもあります。とにかく、重力計は高感度でないと地下探査には利用できません。

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