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前置詞が重要です。 "up"の語感

たまには、苦手な英語の話をしてみます。英語の習得には、前置詞の正確な理解が必要です。しかし、日本語にない前置詞の存在は、とても苦手です。英語の前置詞は、意味的には”に”や”が”などの助詞に相当します。ただし、日本の助詞に具体的な意味はありません。しかし、英語の前置詞には明確な意味やイメージがあります。日本人は前置詞を補助的な物と考えていますが、前置詞こそが重要なのです。

全ての前置詞が重要なのですが、とくに重要な”up”について例を挙げて説明します。go up/down のup/down は、確かに上下を表わします。しかし、up を上とだけしか理解していると、意味が通じないイディオムがたくさん出てきます。

up の基本イメージは、”上の方向へ”です。stand up の意味は、”立ち上がる”ですから、上に向かって(up)、立つ(stand) というのは素直に理解できます。それでは、eat up の場合の up はどんな意味なのでしょうか。実は up の派生イメージには、”上限まで上り詰めた状態”というイメージがあります。このイメージからさらに、”終わり”や”完全”などのイメージが派生します。先程の eat up は、食事を食べ尽くす/平らげる、という意味になります。

野球用語でも使われているクリーンナップ(clean up)の up も、”完全に”のイメージで使われています。つまり、”完全に/きれいに”掃除をする、という意味になります。野球のクリーンアップは、走者を一掃する、つまりヒットを打って塁上の全員をホームに呼び戻すほどの力量を持った打者、という意味です。具体的には、3番から5番の打順の打者をクリーンアップと言います。

同じく日本語としても定着しているメーキャップ(化粧:makeup)は、動詞のmake up から作られた言葉です。make up には多くの意味がありますが、”作り上げる/仕上げる”が元々の意味でしょう。お化粧も、顔を”仕上げる”ことなので、派生的な意味が定着したと考えられます。

ところで、『前置詞』という名称には引っ掛かる点があります。確かに、前置詞は名詞の前に来るので”前置”としたのでしょうが、文章の中心である動詞から考えると、その反対で”後置詞”になります。実は”前置詞”という名称が、前置詞を理解し難くしているのです。個人的な提案ですが、前置詞の呼称はやめて、後置詞に改名して欲しいと思っています。

真面目な記事は疲れます。精神的には、アップアップ(up-up)な状態です。

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