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スペクトラムとケプストラム

スペクトラム(spectrum)は、複雑な情報や信号をその成分に分解し、成分ごとの大小に従って配列したもののことです。日本語ではスペクトルとも言い、時系列データや空間データでは、周波数の異なる波形成分としてスペクトルを求めます。このような解析手法をスペクトル分析またはスペクトル解析などと呼びます。

スペクトラムは、物理分野以外でも様々な領域で用いられる用語で、医学分野でも”自閉スペクトラム”のように使われています。英語のspectrumの語源は、”見えるもの”や”現れるもの”を意味するラテン語のspectrum(スペクトルム)から来ているそうです。

実は信号処理の分野では、スペクトラムのスペクトラムであるケプストラム(cepstrum)というのがあります。これは、元の信号からフーリエ変換して求めた周波数スペクトルを信号と見なし、さらにフーリエ変換して得られる信号です。冗談みたいな話ですが、ケプストラムはスペクトラムの英単語の綴りのアナグラムから名付けられました。アナグラムとは、言葉遊びの一つで、単語中の文字を入れ替えて全く別の意味にさせる遊びです。

スペクトラム vs ケプストラムでは、spectrum→cepstrumということで、前半部分の綴りがお互いに反転しています。このような、スペルのアナグラムを使った学術用語が結構あります。スペクトラムの横軸は周波数で、英語でfrequencyですが、ケプストラムの横軸はケフレンシーで、quefrencyです。

電気抵抗の単位はΩ(ohm;オーム)で、その逆数である導電率の単位は現在ではS(siemence;ジーメンス)です。しかしその昔、Sの代りに(mho;モー)という単位が使われていました。これは文字自体が上下反転していますし、スペルも左右逆転しています。冗談みたいな本当の話です。

※タイトル画は昔懐かしい『スペクトルマン』です。

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