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ドラえもん最後の短編「ガラパ星からきた男」が大長編級展開で凄い

ドラえもんの短編「ガラパ星からきた男」は、のび太が2つの時間軸を何度も何度も行き来しながら自分の住む街や未来の惑星でいろいろとやらかして(ドラえもんもやらかす)地球規模の危機を招いてしまう、本当に大好きで何度も読んでいる作品です。

「ガラパ星からきた男」が異例な5つの理由

「ガラパ星からきた男」はドラえもんの普段の短編とは少し違う異例な作品なのですが、はじめにどう異例なのかを紹介させて下さい。

(1)小学生向け雑誌(小学三・四・五年生)に掲載されたのに、手加減なしの複雑で難解なタイムパラドックス(時間の逆説)がテーマという異例。

(2)ドラえもんはすべて1話完結(10ページほど)なのに、「ガラパ星からきた男」は唯一の連載モノ(3回連載で全51ページ)という異例。

(3)「ガラパ星からきた男」は普段の5話分の長さなので、テレビのレギュラー放送では時間が足りずアニメ化ができないという異例。

(4)読者を置いてけぼりにしてどんどん展開するので、最後まで続けて読めるように全話をまとめ、さらにストーリー全体の解説を収録した別冊が雑誌掲載後に作られた、ギャグマンガなのに復習が必要という異例。

(5)本作品発表から2年後に藤子・F・不二雄先生はお亡くなりになるのですが、短編の集大成ともいえるこの特別な作品は大長編以外のドラえもんでは最後の作品になります…。

ガラパ星(がらぱせい)とは生物を自由に進化させることができる研究施設がある未来の惑星で、ひょんなことからのび太はこの施設を利用してとんでもないことをしてしまいます。

「ガラパ星からきた男」の登場人物たちの5つのやらかし

登場人物のみんながこれでもかとやらかして、どんどん悪い方向に進みます。このやらかしスパイラルが、緊張を超えて恐怖を感じる大長編級の展開を作り出しているんです。

(1)のび太のやらかし
新作ゲームを買うための小遣い欲しさにさばききれない量の手伝いをママから引き受けるも、すぐイヤになり1か月後の自分の小遣いを使うためにタイムマシンを悪用。
→実はこのやらかしは地球の危機を防ぐ最大のチャンスだったのです…。

(2)ドラえもんのやらかし
1か月後の世界に行ったのび太はわずか8ページ目で地球の危機に気付く(これはGood job!)のですが、ドラえもんはのび太の(1)の悪知恵を忘れさせるためワスレバット※でのび太の悪知恵の記憶を消してしまうのですが、せっかく気付いた地球の危機についても一緒に忘れさせてしまう。
→この後も地球の危機を知る機会があるのだけど、そのときもドラえもんはのび太をワスレバットで叩いてしまう…。

※叩かれるとそのとき考えていた事を忘れるひみつ道具。

(3)のび太のやらかし2
カナリアのピーちゃんを襲おうとする野良猫をなんとかしてほしいとしずかちゃんから相談を受けるのび太、野良猫の企みを忘れさせようとスペアポケットからワスレバットを探すが、四次元ポケットから出てきた、秘密情報をお知らせする謎のひみつ道具からガラパ星の事を知り、ピーちゃんを○○のように進化させてしまう。
→実はこのピーちゃんがラストで大活躍する!(だからこのやらかしは、最後にはGood job!になる)

(4)名もなきひみつ道具のやらかし
ガラパ星の研究施設内に博士もセールス担当もいないのにのび太にガラパ星を教えたひみつ道具は、勝手にのび太の要望通りある生物を進化させてしまう。しかも支払いはドラえもんのカードを不正利用して。
→この名もなきひみつ道具がお金欲しさに一番のやらかしをしてしまいます。

(5)のび太の住む町の全ての住人のやらかし
1か月後ののび太たち、○○○○という本当にちっちゃな理由でずっと街から居なくなってしまっていた。
→オチです!読んで確認してください!

のび太のねたみから悪知恵が生まれ、悪知恵がたくらみに変わり、たくらみが地球の危機を招く。最後はのび太たちはどうやって危機を救うのか…という大長編級展開がヤバいです。でもラストページでの一気にスケールダウンしたオチ(ドラえもんとのび太も呆れてます)に、これはいつもの短編なんだと気付かされます。

「のび太の恐竜」が短編から映画に進化したように、「ガラパ星からきた男」も映画化できるのりしろ持ってると思います(偉そうにすみません)。それくらいのスケールの大きな作品です!

余談ですが、現在と未来を何度も行き来するのび太が全編で出ずっぱりなのですが、表紙含む全51ページ中で1ページだけ登場してませんでした(惜しい!)。

「ガラパ星からきた男」を読めるコミックス

「ガラパ星からきた男」は中編なので恐らくアニメ化されることはないと思います。現役のドラえもんファンの子どもたちも、子ども時代をドラえもんで過ごした大人の皆さんもご存じないかもしれません。興味を持たれましたら一度読んでみて下さい。
最後に現在「ガラパ星からきた男」が収録されている書籍を案内します。
※リンク先はすべて小学館のサイト

てんとう虫コミックスドラえもん45巻(429円+税)紙書籍、電子書籍両方あり。
→藤子・F・不二雄先生自身が収録作品を選定したコミックス最終巻の最終話として収録されています。15話も読めておすすめ!

藤子・F・不二雄大全集ドラえもん17巻(1,700円+税)※
→大全集は単行本より大きなサイズなので、読みやすくておすすめ!
※2021年9月3日に電子書籍版が発売開始されます。
https://www.shogakukan.co.jp/pr/fzenshu/

ドラえもんデジタルカラー版Vol.141(200円+税)電子書籍のみ。
→全ページ着色しているので、(あるタイミングでのび太の服装が変わるけど)どの時間軸ののび太なのか一目で分かっておすすめ!

100年ドラえもん(70,000円+税)電子書籍はなし。※2020年12月1日頃発売予定。
→最高レベルの用紙とインクを使って、最高技術で印刷、製本されるので、ドラえもん全45巻を永久保存できておすすめ!

ぜひ読んでみて下さい!

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