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初心者がやりがちなSEOの勘違いをご紹介

サイト運営、SEO対策、ウェブ解析などはプログラミングよりも敷居が低く、独学でウェブサイトを開設し自力で運営している個人/小規模サービスの担当者は非常に多いと思います。

しかし独学で自社サービスや自分のサイトを運営している方の中に、時折ツールの使い方や集客面について誤解している姿が見られます。恐らくSEO対策やサイト分析の解説記事を見て勉強しているのだと思いますが、それぞれの情報を断片的に見てしまって誤ったやり方をしてしまうことが見受けられます。

そこで本稿では、独学でサイト運営をしている方や運営初心者の方がやりがちな“勘違い”を5つ紹介したいと思います!(=゚ω゚)ノ

1、重厚なSEOプラグインに頼る

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代表的なCMSであるWordPressには、Yoast SEOとかAll In One SEO(AIOS)とか、特に海外製の有名なSEO対策のプラグインがあります。大変機能が豊富で、検索結果で表示されるメタタイトルの表記編集から昨今SEOの要と言われている構造化データまで幅広く対応しています。とりあえず一通り対策したい、でもテクニカルなことは分からないという方には便利なプラグインです。

しかし使ってみると分かるのですが、こうしたフルパッケージのプラグインは非常に重く、ページの読み込み速度に悪影響を及ぼしてしまいます。以前AIOSを使っていた際にサイトを調べたところ、何と10ほどプラグインをインストールしていた中で全体の半分近くの容量を占めていたことがありました(;´・ω・)

現在WordPressに関しては、そもそもテーマ自体がメタタイトルやパンくずリスト等のSEO対策機能を備えていることが多いです(なので今度はテーマが重くなるのですが…)。またYoastやAIOS程でなくても、最低限のシンプルなSEO対策機能を提供する無料のプラグインが出ていますから、ある程度サイト運営に慣れてきたらそちらにシフトするのも良いかもしれません。

また心理的な話では、『とりあえず評判の高いプラグインだから入れとけば大丈夫だろう』と考えてしまい、インストール後の定期的な効果検証や使う機能の整理(※両プラグインとも使わない機能をOFFにすることが出来る)を怠るケースも少なくありません。特に一人でサイトを回していると多機能を使いこなせないまま時間が過ぎてしまう恐れもあるため、フルパッケージのプラグインは安易に使わず、どうしても使うなら参考記事やチュートリアルを参照しながら着実に運用するようにしましょう。次第に機能の取捨選択が出来るようになるはずです(`・ω・´)

2、Google Analyticsで全部の数値を追う

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Google Analytics(GA)は、Webサイトを運営する者なら一度は見た/触ったことがあるであろう最もオーソドックスな分析ツールです。無料ですし、活用情報も沢山出回っているので初心者にもとっつきやすいと思います。

しかしユーザー・フロー・チャンネル・メディア等々表示される数値やディメンジョンは非常に多く、実際に分析や改善まで繋げるには慣れが必要です。

『GAの上級者は、数十個の機能を華麗に使いこなして一つずつ緻密な分析が出来るんだろう』

こう思った方多いんじゃないでしょうか。しかし、実際には違う傾向があるようです。

マーケティングに関する研究や提言を行うWACULテクノロジー&マーケティングラボが2020年に出したレポートによると、GAを使ってコンバージョン率を改善した経験のあるユーザーは通常、なんと10程度の機能しか使っていないという調査結果が出たとのこと。あれだけの機能があり、分厚い解説書が本屋に並ぶ中で驚くかも知れませんが、しかし何年もGAを使っているとしっくりくるものがあります。

恐らくサイト改善を行っていくうちに必要な数値・見なくても良い数値が分かってくると思います。レポートでも紹介されていますが、例えばGAの活用ブログ等で度々紹介される機能として「ユーザー属性」なるものがあります。これはサイト訪問者の年齢や性別等が分かるということで結構もてはやされるのですが、私は今までこれらのデータが役に立ったことがありません。『役に立たないサービスを扱っている』と言った方が正確でしょうか。こうしたデータあっても、サービスのカテゴリによってはサイト改善やマーケティングへの活用には繋がらないのです。他にも『サイトの速度』なんかはサンプルとなったユーザーのデバイスや通信状況にも左右されるため、同じGoogleが提供しているPageSpeed Insightsを使った方がよっぽど客観的で詳しいデータを得ることが出来ます。

このように、いくら解説記事や書籍で便利だ、ユーザーを理解できると喧伝されていても実際には必要のない機能も多々あります。無理に書かれている通り機能を試さず、基本的には両手で数えられる程度の数値だけ定点観測するようにしましょう(´・ω・`)

3、Search Consoleに一喜一憂する

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Search Console(以下サチコ)では検索キーワード毎に日次の順位変動、表示回数等をグラフで確認することが出来ます。GA同様数多の関連記事が出回っていますが、ツールの基本的な理解ははるかに簡単なはずです。

しかしこの分かりやすさが少々厄介で、何もしてないのに昨日まで検索順位で3位に付けていたキーワードが突然圏外になった!ともなれば、垂直に落ちるグラフを目にすることにもなります。まして非ウェブ系がたまたま目にしてしまった日には『重要なキーワードなのに落ちてんじゃん!圏外とかどうすんの?』とか言われてしまいます。グラフがシンプルなので初見でも何が起きてるか理解できるんですよね。。。

ただ何週間待っても消えたままなら本物の絶望ですが、もし数日で元の順位に戻るのであれば、実は時々ある割とありふれた現象です。(100%は言えませんが)何かページに深刻な問題が発生した訳ではなく、順位を決めるアルゴリズムの“踊り”の影響を受けただけなので落ち着きましょう。検索順位は100を優に超える要素から複合的に日々決まるものなので、サチコを毎日眺めて『今日は順位が上がった!』『5位上がって次の日下がった!何で?』といちいち喜んだり落ち込んだりするのはあまり意味がありません。

なお、勿論同じキーワードで頻繁に起こっていれば精査が必要です。サチコではありませんが、私が以前とあるキーワードを専用ソフトで観測していた時のこと。16位→圏外→15位→99位…と日ごとに順位がジェットコースターしている時期がありました。詳しく見てみると、2つ別々のページのターゲットクエリがダブってしまい、それぞれのページに対する評価が交互にされて、高い方の順位が表示されていた模様。

このように原因がハッキリしている場合もあるので、妙な動きを見せていたら自分で検索結果に表示されたページをチェックしたり、それこそサチコで表示回数やURLを確認したりといった簡単な検証はしましょう。

4、SEO対策で『とりあえずキーワードを沢山盛り込む』

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もう当たり前の話ですが、単にターゲットキーワードを盛り込んで順位が上がる時代は終わりました。現在はよりユーザーの検索意図を的確にくみ取り、複合的に対策を施したページが検索エンジンから高く評価されるようになっています。例えばカレーライスという料理について解説した記事を書こうと思ったら、『カレーライス、美味しい!』『カレーライス、栄養たっぷり!』等々連呼するのではなく『カレーライスの起源は?』『作り方は?』『有名なお店は?』のように、共起語やユーザーの欲求を満たす情報を丁寧に載せることが重要です(実際のカレーライスのSEO対策がどうかは知りません 笑)。


ただ、個人的にキーワードをやたら盛り込むべきでないと思う理由はもう一つあります。単純に読みにくいのです。

これはコンテンツを書き慣れていないと仕方ない部分もありますが、狙ったキーワードの流入を欲しいがあまり、テキストが『いかにターゲットクエリを沢山入れるか』を主眼にしたものになってしまい、本来違う形で言い換えるべき・言い換えられる箇所を同じ言葉の繰り返しで書いてしまうことが、特にSEOの知識が5年以上前で止まっている、または小耳にはさんでいる知識レベルの方に見られます。が、これは文章として可読性が低くなり、間接的に順位を決める要因と言われているページ直帰率も悪化することになります。また自分が読みにくかったページを紹介や転載しようとは思わない=SEO外部施策にも影響が出ます。後述しますが、SEOの大前提は『ユーザーを満足させること』なので、何であれ見た人にストレスを与えるページにならないよう気を付けねばなりません。

読みにくい、というのは自分では分からないものです。サイトに反映する前に、企業なら他部署や上司に、個人なら友人に推敲も兼ねて見てもらうようにしましょう。自分で自信があってもユーザー目線では違う言葉が返ってくると思います。

5、改善策でWeb上の情報だけ使う

新しくページ(記事)を作る時、既存ページのターゲットキーワードの順位が下がってしまった時にすることとして、検索上位ページのページ構成やコンテンツを研究するのが良いとされています。これは順位が上がるだけでなく、コンテンツが趨勢の嗜好に沿ったものになることを意味するのでユーザビリティの改善にも貢献する、重要な作業です。しかしこれ自体は否定しませんが、順位を上げるコンテンツは何もインターネット上だけにあるとは限りません。

競合が良いからと言って真似するとコピーコンテンツとしてペナルティを受ける可能性がありますし、そうでなくても真似というのは、(個人の印象ですが)やはりオリジナルに比べると説得力や情報量が薄く、本家以上の順位を見たことがほぼありません(´・ω・`)

それよりも、オフラインで顧客からのヒアリング、自社サービスを分析した結果新たに分かった『競合優位性』などが本当にページに反映されているか、今一度確認してみることをお勧めします。上位ページの構成を分析してどれも同じような内容だった場合、今から真似したところで上位が取れるでしょうか?取れたとして、ユーザーはあなたのサービスを選ぶでしょうか?

仮に競合優位性が競合サイトに全く載っていない点だったとしても、それがユーザーを喜ばせるものだとしたら公開するべきでしょう。

SEO対策、緻密な分析…の前に、やるべきこと

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検索順位を決めるアルゴリズムは、年数回の大きなアップデートを除いても頻繁に変更があります。その度に順位が上がったり下がったりするのですが、順位が下がる理由は『ユーザーの検索意図を満たしていない』か『競合サイトに劣っている』のどちらか。後者も結局は(外部SEOにしろ)サイトのコンテンツがユーザーを(競合ほど)満足させていないということになるので、やはりユーザーの意図を満たしていないということになります。

またGAにしても、流入数を眺めたりアクセスレポートを作ったりするのが目的ではなく(仕事してる感を出したいなら別ですが)、サイトの目的、つまりサービスサイトなら『コンバージョンの達成』、店舗のHPなら『認知の拡大や来店者数』、ブログなら『PV数』等を達成することにあり、まとめるとユーザーを喜ばせる、満足させることが最重要課題です。

逆に言えば、サイト運営では何にせよ『ユーザーが何を望んでいるか?』を知るのが第一なのです。その情報を適切にコンテンツに盛り込めば検索順位もサイトの目的も達成できることになります。その時、SEO対策やGAによる分析を行うのです。

何当たり前のことをと思うかもしれませんが、GAとか検索アルゴリズムへの対応とかにフォーカスするあまり、この重要な点が見落とされているケースが多いのです。対面なら顧客のニーズをしっかり掴めるベテランの事業者でも、サイトになるとSEO対策の知識に拘ったりウェブマーケの関連書籍を積読することがあります。チームで各分野に特化出来れば別ですが、本業の傍ら独学かつ一人でウェブサイトを運営するなら、最初からこうしたテクニカルな部分に時間を割くのは得策ではありません。

それよりも

・普段、顧客は自分のサービスの何に魅力を感じているか?
・サービスについて、何を知りたいのか?
・どんな悩みを抱えているのか?
・どんな用語を使っているか?自分の認識と違いは無いか?

等々、まずはシンプルにサイトが想定している顧客の理解に努め、それをどうサイトに反映するか?という段階で初めてSEO対策やウェブ解析を活用する、という順番を踏むことを徹底しましょう。強調しておきますが、本格的なSEO対策やアクセス解析ををやらなくても良いという訳ではなく、サイトの芯を正確に作らなければ折角のツールやノウハウも意義が弱くなるということです。

あなたのサイト運営は、色々なツールやウェブマーケのお得情報に振り回されていませんか?少しでも独学で奮闘されている運営者の役に立てば嬉しいです!(*´ω`)

参照サイト

https://wacul.co.jp/lab/google-analytics-important-10-points/

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