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オリジナル プリント



18歳で写真の世界に入った私が初めて持ったカメラはNikon F3、フイルムを使う銀塩カメラです。
何をやらせても三日坊主だった私が写真だけは、何十年も続けてその道のプロとして生きている事、早くに自分の「魂の道」を見つける事ができた事が、とても幸運だと思う。

ロックミュージシャンを撮りたくて、憧れで入った写真の世界も進めば進む程にその世界の深さに魅了されて、私にとっての写真とは何か?私にしか撮れない写真とは?を見つける為に20代の頃にN.Y.に渡り、そこで出会った人達、世界中から集まったクレイジーピーポルからインスパイアされた。

彼らと接していると日本で感じてた価値観をたやすく壊してくれた、自分で勝手に決めてた常識なんて何も通じない、だけど人間が本来持っているプリミティブな感情、愛だけは通じた。

「社会の法則より自分の心の法則」で生きる事がハッピーだと教えてくれた気がした。

私にとっての写真は目の前のエモーションを切り取る事、今この瞬間が全て、一瞬が永遠。

その事を感じた私は彼ら一人一人を自分の部屋に招いて、電球一個のシンプル ライティングで
撮った。
コントラスト強いライトを向けると、それに伴い強い影もでる。
そういえば昔ある占い師のおじいさんに
「影に感謝したら凄いカメラマンになれるよ」と言われた事がある。
その言葉も思い出しながら、一人一人に出会えた事の感謝の気持ちと愛で撮影した。

私はマンハッタン4th STREET 1st Ave,
EAST VILLEGEに住んでいたけど、
プリントははマンハッタンから川を越えて行くクイーンズのカメラマンの先輩の暗室を使わないもらってた。

プリントする為にクイーンズまで行くのが、
凄くめんどくさかったけど、私の好きなお菓子を買ってクイーンズの暗室に置いておいた、
そのお菓子を食べたくてクイーンズまで行き、いざプリントを始めると止まらなくなる。
真っ暗なDARK ROOMでネガを伸ばし機にセットし、印画紙に遮光して、現像液に浸すとふぁ〜っと画像が見えてくる、それを停止液、定着液につけて水洗した写真を見ると、もっとここを焼き込んだら素敵になる、ここを覆って焼いたらいいのでは?
と次から次へのプリントのイメージが出てくる。
一枚一枚を手作業でじっくりプリントしていく過程が魔法の時間となり気が付いたら、夜中まで朝方まで止まらなくプリントしてた。

夜中にプリントを終えてマンハッタンまで女の子ひとりが地下鉄で帰るのは、凄く危険だから
髪の毛ぐしゃぐしゃにして、ポロポロのジーンズは履いてホームレスの男性に見える様な格好して、ガニ股で歩いて地下鉄に乗って帰ってた事を思い出す。

今それらの写真を見返しても、あの時の
エネルギーがしっかりと残っている。

オリジナルプリントの威力に改めて感動しています。

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