見出し画像

学びの技法:見える化と「はかるだけ」

2019年9月からの学び直し(自身の40歳の大学院通学)と合わせて、自分の子供(7歳)がどうしたら21世紀の学びの技法を身に付けられるか?自身のスキルを棚卸しながら考えています

”はかるだけ”ダイエットのインパクト

はかるだけダイエットって流行りましたよね。この測るだけというのは単純なようで非常に効果のある「学びの技法」だと考えています。

”はかるだけ”というのは一体どういう効果を生み出すのでしょうか?
うちの子と一緒に取り組んでみた小学一年生の足し算の課題を事例に考えてみます。

算数の課題と”はかるだけ”

課題は、1分以内に10の足し算(分解)をできるようになろうというもの

うちの子、公文式に通っていますが、、、なぜかこれは苦手なのか結構時間がかかってしまいます(丸覚えすれば簡単だと思いますが、ちゃんと考えて計算している?様子で、それはそれで悪くないと私は思うのでどうやってスピードアップもしよう??というのが学習サポートの上での難しさでした)
そこで、以下のような表をプリンタで即席で作成して、記録を取ることにしました。

"はかるだけ"の3つの効果

記録シートはこちら

12回目でなんとか目標の1分に到達できました。クラスで到達できたのは4人目だったようです。プリントにできました!のハンコを学校の先生からもらえたのは相当うれしかったようです。(よかったよかった)

ちなみに、このようにスタンプがもらえるのもスタンプ効果として学習への影響があると考えていますがこちらは別途。

効果①:停滞期などが分かる

図のポイント①です。英語の学習などでは顕著ですが、学習はまっすぐ時間や回数と進度が一致しません。つまり練習しているのにうまく進まない時期があります。"はかるだけ"ですが、勉強ってこういうもんだと分かるのは大きいと思います

効果②:目標の明示

図のポイント②です。"はかるだけ"ですが、目標線を明示していおくと、GAPが自動的に可視化されます。最後は数日間あとちょっとというところで停滞期に入りましたが、この「あとちょっと」というところで「(あとちょっとだから)もう1回!」みたいなやる気につながっていました。もう一つは、35秒のところ(左側、y軸の赤三角マーク)は、子供にお父さんはどれくらいでできるのよ?という話になったので、子供がはかる役、私問題解くでやってみたラインです。最後の方は1分を切ることを第一に最終的にはここを目指すんだと燃えていました。

効果③:大きな進捗が見えるとやる気も大幅アップ

停滞期の後に、ど~んと一気に計算が早くなるということを体験して、それが可視化されるとこういう日はとてもテンションが上がるようです。一度体験すると、次のブレイクスルーを期待して継続するモチベーションにつながります。

"はかるだけ"は"Far Transfer"の1つ?

Transfer of Learningという概念があります。その中にFar Transfer(ファー トランスファー)、Near transfer(ニア トランスファー)というものがあります。

学んだことが全然異なるスキルでも使えるもの(移転・移植できるスキル)がFar Transfer(幅広く使える)、学んだことが近い範囲でしか使えない(移転・移植が難しい)スキルをNear Transferといいます。この記事の中で「学びの技法」と呼んでいるものは基本的にはFar Transferを指しています。

上記の図(グラフ)は、far transferと呼んでいいいと思います。なぜなら、この”はかるだけ”という手法(グラフを書いて進捗をみえる化するスキル)は、英単語の進捗(英語)、ダイエット(運動の1つ)にも活用できるからです。

一方で、1分以内に10までの足し算・数の分解という演算は大切ですが、算数・数学というエリアの範囲を超えないのでNear transferです。但し、足し算の速度を上げていく過程で、1分でやろうと思うとある程度無意識化していないとできません。この自動化・無意識化は、ファスト&スローでも書かれているシステム1(早い思考)・システム2(遅い思考)の考えにつながります。あるスキルを自動化するには、反復を繰り返す中でどれだけシステム2をシステム1の範疇で扱えるようにできているか?が大切で、これには反復が必要です。

つまり多くの大人は2+2=4をシステム1的に処理できます(うちのこは最近これができるようになった)。でも23x45は普通の人には厳しい。(そろばんできる人は一瞬)。この反復を繰り返してシステム1で処理できるようにするという訓練は、将来のスキルやシステム1思考のアップデートにとても大切です。そしてこのシステム1を20歳頃までにどれだけ作りこめるかがその人の情報判断力に大きな影響を与えると考えられます。

※「学びの技法」シリーズは、2019年7月1日までで実施させていただいたクラウドファンディング(ミネルバ大学での世界最先端の「学び方」を日本でも広めたい!!)のリターンの1つとして、ミネルバ大学受験及び通学での学びを元に調査等を実施し、無料公開しております。

【参考書籍及び出所】

学力の経済学
ファスト&スロー
Building the Intentional University: Minerva and the Future of Higher Education (The MIT Press)
Andrew MartinによるPixabayからの画像

サポートを検討いただきありがとうございます。サポートいただけるとより質の高い創作活動への意欲が高まります。ご支援はモチベーションに変えてアウトプットの質をさらに高めていきたいと考えています