パトロン12

無料塾の挑戦|第5章‐1|皐月秀起

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【第5章:ふりかえり~現在・過去・未来~】

実際に学生さんからいただいた質問を基に、Q&A形式で答えながら、これまでのことを振り返ります。

1.学習支援活動を始めたきっかけは何ですか。また、なぜ自分が学習支援に携わらなければならないと思ったのですか。

きっかけは、2016年7月に目にした「公設無料塾 中高生の支え」という新聞記事です。子どもの6人に1人(最新データでは7人に1人)が貧困状態に置かれているということを知り、自由に使える「場所」と、ボランティア精神に溢れる学生「講師」と、勉強したいけどできない「生徒」もいる、三つが揃っている私たちこそがこの問題を解決するんだと、私たちが携わらなかったら誰がやる?とすら思っています(笑)。

2.学習支援活動をするだけならばNPO法人である必要はないにもかかわらず、何を目的に手間をかけてNPO法人化したのですか。また、NPOならではの役割は何だと思われますか。

今後継続的に活動していくにあたって、応援していただく方(ご寄付など)に対しても、講師ボランティアに興味がある学生や社会人の方に対しても、NPO法人であることのほうが個人で運営しているよりも、信頼してもらえるのではないかと思ったことが一つ。

次に、関わってくれる学生や私自身にとって、NPO法人化のプロセスがいい経験になり、結束力や帰属意識が増すのではないかとも考えました。一つ目はまだNPO法人化後間もないので効果は分かりませんが、二つ目の結束力は、活動の中心に理事がいて、それに学生会員が付いていき、非会員も活動に関わるという、いい意味でのすみわけができました。

NPOならではの役割ですが、税制的に優遇されている法人なので、財務関係(お金の出入り)はもちろん、活動自体に透明性があり、対外的にさまざまな説明がきっちりできる団体であり続けることだと思います。

3.学習会発足時、どのようなビジョン、プランがあったのでしょうか。また、それは予定通りに進行しているのでしょうか。

学習会発足当時は、宝塚市の小中学生の「塾に行きたいけど行けない子」を3年以内にゼロにしたいと思っていました。進捗ですが、現状の生徒さん28人のうち、宝塚市内の小中学生がまだ22人、一方、宝塚市内の小中学生は約17,000人いますから、まだまだこれからだと思っています。

4.やりがい、モチベーションは何ですか。また、学習会発足当初と現在で変化はありますか。

スタート当初は、「子どもの貧困という社会問題を解決し、貧困の連鎖を断ち切るんだ!」と、大きく構えて、半ば上から目線なモチベーションでしたが(苦笑)、今はかなり変わってきて、子どもたちが毎週元気に勉強しに来てくれ、講師の学生たちとあーでもない、こーでもないとやり取りをしている姿を見れるのが私のやりがいで、何とかこれを毎月・毎週続けようという強いモチベーションになっています。

また設問8とも関係しますが、学習サポートをする子どもたちが、当初のターゲットの「経済的に困難なご家庭の子ども」から、「さまざまな子どもたち」に多様化してきたことが、変化の要因だと思っています。

5.困難を抱える親子との接し方で気をつけていることはありますか。

それほど意識して気をつけていることはないですが、明るく、楽しく、前向きに接しようとは思っています。小中学生というと、親も子も多感な時期ではありますが、「困難」「課題」「問題」と考えるとどうしても下を向きがちになってしまうので、「ノー天気」くらいでちょうどいいと思っています。

あとは、特に保護者さんとの接し方で言うと、「距離感」は気をつけています。私たちは生徒さんにとって、親でもないですし、学校の先生でもないので、私たちの「守備範囲」は少し狭めで考えています。目の前のできること、特に毎週月曜日の60分なり90分なりを責任持ってサポートすることに集中しています。

6.学習支援活動を続けていく上で苦労している点はどこですか。

講師ボランティアの学生と私とでは少し苦労が違うと思いますが、私は「講師ボランティアのモチベーションを維持しながら、いかに活動を継続させていくか?」に腐心しています。学習サポートをするという子どもたちへの責任を果たすために、活動が途切れることだけは何としてでも避けなくてはいけない。勉強したい子どもたちが宙に浮いてしまうからです。

そのためには、講師ボランティアのモチベーションが一番のカギだと思っています。講師の学生がつばめでの活動に価値を感じなくなり、ボランティアをやめてしまうと、たちまちつばめの活動は窮地に陥ります。生徒の人数が減っていくと、講師のモチベーションの低下にもつながります。

ですので、教室を増やすなど、意識的に器を大きくし、活動の幅を広げることにより、団体の活力を保ちたいとも思っています。ボランティアだけだと、続けていく気力の維持が難しいとも思うので、無料塾以外の活動(日経読む会など)にも関わることにより、「トータルでの学びの場」にして学生たちをつなぎ留めたいと意識しています。

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