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無料塾の挑戦|第7章-2|皐月秀起

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学校教育の最大の問題

現在の学校教育について、さまざまな意見があります。堀江貴文さんなどは「学校不要論」を説いていますが、個人的には、日本国憲法第26条にある「等しく教育を受ける権利がある」に基づいたユニバーサルな教育という観点からすると、今の日本の学校教育、特に小学校・中学校についてはかなり機能していると思っています。小学校も中学校も、日々の勉強だけでなく、さまざまな行事や部活動を通して、相手を思いやる気持ちや集団行動の楽しさ・難しさなども学んでおり、これらは将来確実に生きてきます。

ただ、100点満点かというとそうはいかず、多くの問題点を抱えていることも事実です。その中から、すぐにでも解決したい二つの問題を取り上げます。

①義務教育が無料になっていない

日本国憲法第26条の2項に「義務教育はこれを無償とする」とあります。確かに、授業料などは無料ですが、給食費や修学旅行の費用が無料にはなっていません。給食制度がある学校とない学校があるから税負担できないのかもしれませんが、親世代の就業率が過去にないくらい高い今の時代に、給食が提供できない自治体は努力不足と言わざるを得ません。例えば「5年以内に」と期限を決めて、「小中学校はすべて給食を提供」と国が決めてもいいくらいです。お弁当を作る時間がなくなることが、働き方改革にもつながります。給食は生徒全員が等しく食べるのですから、義務教育に含め、無料にするべきです。

さらには修学旅行の費用。貧困家庭の子どもたちは、費用が払えないため、修学旅行に行けません。自分だけが友だちと修学旅行に行けない。どれほど無念で、無力感を持つか、想像して余りあります。たとえ、無理をして修学旅行に行けたとしても、他へのしわ寄せは必ずあるはずです。そういった子どもの絶対数はそれほど多くはありませんが、そのような子どもを1人も出してはいけないと思います。修学旅行は、「授業の一環なので、授業料に含む」でコンセンサスは得られると思います。

給食費と修学旅行の費用が無料になれば、特に貧困家庭の家計は助かります。貧困家庭への修学旅行費を補助する政策もありますが、上から目線的な政策は受け取る側の気持ちへの配慮を欠いています。子どものための政策を考えるなら、何よりこの二つを無料にするべきです。

②授業についていけなくなった子の受け皿がない

ある日、宝塚つばめ学習会に1人の中学3年生が入会しました。聞くと、中1の終わりから全部の授業が全く理解できなくなったとのこと。2年近く、さぞ毎日の授業が苦痛だったでしょう。先生に教えてもらおうにも、教えてもらうタイミングがない。先生との相性もあり、「先生に聞きに行く」というハードルは実際高い。塾にはとても行けない。そういった子どもはかなりいます。中には、それが原因で不登校になる子もいるでしょう。

中学校の授業についていけなくなる。これが貧困の連鎖の入り口です。

では、授業についていけなくなった子の受け皿をどうするか? まず、中学校の先生にそれを求めるのは酷です。もちろん、それが理想ではありますが、現実的に先生の仕事量(授業・授業や行事の準備・部活動・保護者対応・地域パトロール・事務作業など)をそのままにしておいて、「分からない箇所を分かるようになるまで1人ずつ丁寧に教える」という仕事を追加するのは無理です。

自治体など行政が受け皿になるという方法もあります。しかし、ユニバーサルなサービスを行う自治体と、ある意味子どもにあったオーダーメイドな学習指導を行うこととの相性はあまりよくないと思います。予算が続かず断念という懸念もありますし、そもそも個人に予算(税金)を投入することに「公金の横流しでは?」という批判もあるかもしれません。

授業についていけない子が生まれるのは、拡大解釈すれば「義務教育が機能していない証拠」で、あってはならないことです。授業についていけなくなったら、塾代などのコストがかかるのも、義務教育は無料なのですからおかしな話です。授業についていけなくなったら、授業内、あるいは学校内でついていけるように指導するのが、すっきりして理想ではありますが、現実問題としては学校(先生)や自治体の対応が難しいので、私たちのような無料塾にぜひ任せてほしい領域です。

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