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しるしブランドマーケティング講座③ HOWから逆算するブランディング

こんにちは、しるし株式会社 代表取締役の長井です。

しるしでは、月1回の頻度で、現役のブランドマーケターを招き、「ブランドマーケティング講座」を開催しています。ブランドに寄り添い、成長を共にすることを目的とした投資です。
実際のトレーニングではケーススタディを挟みながら進めていますが、noteでは概要をシェアしていきます。

トレーナー
日系化粧品会社マーケティング部バイスプレジデント
外資系消費財メーカー入社後、日本とシンガポールにてアジア全域のブランディングに携わるなどの幅広いマーケットでのブランドマーケティングに従事。 手掛けた新製品が日経トレンディ・日経MJ優秀製品サービス賞を受賞するなど、新製品開発・新規の価値開発で多くの結果を残す。
その後、日系化粧品メーカーへ転職、バイスプレジデントとしてメンズブランドを伸長し、メンズ美容市場を牽引している。

「HOW」から逆算するブランディング

これまでの記事(ブランドとは?「消費者理解」とは?)で、ブランド育成において重要な要素は、「WHO(誰に)」「WHAT(何を提供するか)」を決め、「HOW(どのように伝えていくか)」を考えていくことである、とお伝えしてきました。

今回の「HOW講座」では、とある人気ブランドのテレビCMを視聴し、

①そのブランドのターゲットはだれなのか
②そのブランドが提供するエンドベネフィットはなんなのか

の2点について深堀りをしていきます。

ターゲットを読み取る際、「デモグラフィックデータ(社会的属性)」よりも、「サイコグラフィックデータ(心理的要因)」を重視し、どのような志向性の消費者がターゲットとなっているのかを考えます。

デモグラフィックデータ:性別・年齢・所得・職業・学歴などの社会的属性
サイコグラフィックデータ:消費者の習慣・趣味・趣向・価値観などの心理的要因

また、エンドベネフィットとは、メリットと混同されがちですが、そのブランドの商品やサービスを通して、消費者が感じられる「自分に起こる、良い変化」のことです。

例えば、商品がサプリメントだとしたら、

  • 自分が自信を持って前向きになれる

  • 綺麗になることで好きな人に告白できる

などがエンドベネフィットとなります。

ちなみにエンドベネフィットと混同されやすいのがメリットです。メリットとは、商品そのものの良いところや、他と比べて長けているところを指します。

こちらもサプリメントで例えると、

  • ○○という栄養素が取れる

  • スッキリした飲み口

などになります。

これらを念頭に置いて、ここからは実際にCM動画を見ながら、ターゲットとエンドベネフィットについて考察していきましょう。

テレビCMに見る、ブランドが伝えたいコアメッセージ

まずは、スポーツウェアを販売している2つの人気ブランドを比較してみます。

ナイキ VS アンダーアーマーの比較

どちらのブランドのスポーツウェアも、ざっくりと言ってしまえば、同じような機能性を保持し、同じような価格帯です。しかし、消費者によって「私はナイキの方が好き」「私はアンダーアーマー派」のように意見が分かれるかと思います。もしくは「こっちは私とは合わなそうだな」という好みの判別も出てくるでしょう。どうしてそのような違いがでてくるのでしょうか?

まずは両ブランドのテレビCMをご覧ください。

NIKE
https://www.youtube.com/watch?v=_hf1LPd4svY

UNDER ARMOUR
https://www.youtube.com/watch?v=f7m9SzZcQpo

それぞれのブランドの「ターゲット」「エンドベネフィット」「コアメッセージ」はなんだと思いますか?

私たちは、下記のように考察しました。

同じようなスポーツウェアを販売しているブランドでも、全く違う方向性ターゲットやメッセージを打ち出していることがわかるかと思います。

アンダーアーマーの1年前のテレビCMでは、プロスポーツ選手など、ストイックなスポーツマンなどに特化しているように伺える10年前のテレビCMとは違い、中村アンをキャストに起用することで、ここ数年のフィットネスブームに乗る一般層にターゲットを向けていたことがわかります。より、親しみやすさを前面に打ち出していたのです。それでも「限界を越える一歩を踏み出そう」というコアメッセージはずっと変わっていません。時代の流れに沿って「WHO」と「HOW」が変わっても、エンドベネフィットとコアメッセージは変わらない好例だと言えます。

フリスク VS ミンティアの比較

続いて、誰もが知っている清涼菓子の2ブランドを比較していきます。

もしパッケージから出され、裸の状態で並べられたら、ほとんど同じ商品だと感じるかもしれません。
しかし、どちらも熱狂的なファンを持ち、引けを取らない人気ブランドです。
では一体どのように差別化して、ブランド化しているのでしょうか?

こちらもぜひテレビCMを見て、考えてみてください。

FRISK
https://www.youtube.com/watch?v=7bBaEYo-EPM

MINTIA
https://www.youtube.com/watch?v=lplmBj3ps8g

以下は、私たちの考察です。

味の質はほとんど変わらず、味のバリエーションの豊富さもさほど差はない2ブランド。
同じようなミントの清涼菓子ですが、テレビCMから読み取れるように、ターゲットもエンドベネフィットも全く違います。そしてフリスクの価格はミンティアの約2倍にも関わらず、フリスク派の消費者は、フリスクが提供するエンドベネフィットにそれほどまでに魅力を感じているのです。

また、どちらのブランドもコアメッセージがパッケージデザインにも顕著に表れています。
フリスクはフレーバーの分かりやすさよりもシャープでかっこいいデザイン性を重視。対してミンティアは、デザインからフレーバーをイメージしやすく、日常生活に馴染みやすいデザインが特徴です。

これらのブランドは、ここ数年同じような大枠のCMを放送し続けています。継続的に同じターゲットに、同じエンドベネフィットを提供し続けることで、コアなファンを獲得することができているのです。

まとめ

スポーツウェアと清涼菓子、2つのジャンルにおいて、それぞれ2つの人気ブランドを比較し、検証してみました。もちろんこれは私達なりの見解であり、もしかしたらブランド側が考える正解とは違うかもしれません。

今回比較した4つのブランドを見てみてもわかるように、それぞれのブランドには明確なコアメッセージがあります。しっかりと決めたターゲットに届けられるよう、このコアメッセージに沿って、正確にブランド体験を提供することが重要なのです。

是非、日常生活の中で、電車内の広告や、スマホに表示される広告を見ながら、ターゲットとエンドベネフィットを考えるこのトレーニングを実践してみてください。正解を探そうとする必要はなく、トレーニングを重ねることで、より深くブランド創りを理解することができるでしょう。
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代表取締役 長井秀興 

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