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蘇州新区商業街で夜はふける

写真は園区にある誠品書店で平積みされた絵本。日本の作家によるものがかなり多くある。ここ、台湾の誠品と三菱地所との共同プロジェクトだそうで。良い仕事してるよね。
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僕の家は蘇州の中でも新区(高新区)というエリアにある。蘇州市は大きいものの、文化・経済的、そして僕個人的な考え方にもとづくと、僕が住んでいる新区の他に、園区、そして市区の大きく3つに別れる感じ。
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中国のSimカードを日本に置き忘れてきたので、滴滴打車(DiDi)や蘇州でよく見かけるハローサイクル等のシェアサイクルを使えない僕はどうしても新区で動くことが多くなる。ということで、昨日は園区と新区を歩いてみた。
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園区の金鸡湖東岸、時代広場の周辺。上海の浦東のような近代的で新しい装い。外資ブランドの匂いをまだ強烈に感じられる。人々もどこかよそ行きで、逆説的だけど、外国人から見た僕からすれば没個性。一方、都市的な無機質さに隠れることができる冷たい心地よさも感じる。
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地下鉄に乗り換えて次に向かったのは市区。22時を過ぎた観前街はブランドショップのネオンが消え、存在感を増すローカル店舗のギラギラとした灯り。来る夏に向けて、女の子たちの服もどんどん開放的に。もちろん、内面はいつも熱く滾ってるのが蘇州の、いや大陸の女の子だったよね。
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その後、十全街を横切って、南門まで歩く。南門の近くに、PHEBE CLUBというディスコがあるので、様子を見てみようと行ってみたんだけど、誤算。ワールドカップ開幕の前日で、それ系のチャライベント中。若い子が集まっていて、みんなスペイン代表のユニを身にまとっていた。
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で、締めたいなと思って、新区の商業街まで戻り、COCOLO BARというバーへ。日本人の駐在員の奥さんのBlogに書かれていたので初めてお邪魔してみた。
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店内はもちろん、グラスやシェイカーも汚れひとつ無い状態で保たれているこういう店は間違いないよね。アードベッグともう一つアイラ系をロックで頂いて、六のギムレット、そしてEL DORADOと夜が更ける。
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静かに距離を狭めてきたオーナーバーテンダーの拜さんに「どこの人?」、「中国人だと思った」というきっかけから彼の話、僕の話、彼と彼のお弟子さんがつくる美味しいお酒と共に、中国語で会話することの楽しさを再認識しつつ。
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最後は、ジェイムソンベースのコーヒーカクテルのサービスまで頂いた。いつの間にか、彼と中国式の乾杯(呑む時はかならず相手と乾杯)になっていた。
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30歳過ぎには到底見えない彼は、10年前に蘇州で日本人バーテンダーの弟子としてお酒の道を知るものの、当時はお酒を自分で嗜まず、1年の修行で一度と切れる。その後4, 5年昼間の仕事をしていたものの、仕事帰りに向かう先は、当時一般的には皆食堂や夜食のお店に行くところ、彼は結局蘇州でも数少ないバーに通っていた。そこのオーナーに引き上げてもらって、バーテンダーとして独立するまでの道が拓ける。
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「EL DORADO、このラムは僕の友人でアメリカに住んでいる友達がお土産で持ってきてくれたんだ。彼は独学で留学して向こうで大学を卒業した。すごいよね。僕は高校までしか出ていないけど。ただ、蘇州のバー文化の発展には少しは寄与してきたかな。市場を教育してきたんだ」
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恥ずかしそうな顔で、それでもしっかりと自分の存在、価値を込めてメッセージをぶつけてくる、華人の凛とした部分をそこに観る。そうやって、新区の夜は、少し強めの香りと味わいとともに過ぎていく。
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