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音楽の話をしない奴は信用しなくていい - Echo Chamberの簒奪から抜け出そう -

僕が最初に聞いた、いや正確に覚えてないだろうから、最初に気に入ったレコードはオフコースの”セレクション 73-78”というベスト盤だったと思う。

これ、今聴いても染み入る。小田・鈴木の名曲が順序良く入っていて最高。いずれにせよ、僕をかたちづくってくれている大きな要素のひとつ。

一人っ子として生まれ、団塊の子どもたちとして得も言われぬ社会からのプレッシャーを親を通じて感じていた自分は、社会というものは”勝ち負け”で決まると理解することで、どうしようもない焦燥感に折り合いをつけようとしていた。

結局、全戦全勝できるわけもなく、完全な折り合いなど夢の話であり、小さかった頃の自分は有り余るルサンチマンをいろんなものにぶつけた。

成績でオール5を取った時は驕り高ぶり勝ち誇ったし、運動会に参加せずに友人の家でファミコンにふけって担任を泣かせた時もざまあって感じだったし、性欲爆発して家の中で変態行為に明け暮れて刹那的な喜びに悶えていたあの頃、僕の心に”深さ”とか”広がり”をもたらしてくれたのがこのアルバム。このアルバムが無かったと考えたらそのままサイコパスになっていたはずで、ゾッとする。

人には音楽が必要だと思うし、人には音楽が流れている。
そして、人と人の大事な場面には音楽がある。

そういうことってとても大事なことだと思うし、
実はそれ以外のたいていのことは大事ではないんだろうなと思う。

蔵前にあるこのこのお店でもDJさせてもらっていて、22日(日)もセレクトしてきた。

このお店は開店当初からお世話になっていることもあるけど、お酒が熟成していくように、お店がどんどん濃い密度になって、艶やかでまろやかな風合いになっていく。クルーの想いに共鳴するお客さんが集まってきて、得も言われぬ色合いを醸し出す。

僕は自分の店である”浅草おと”のおとまつりでもDJさせてもらってるけど、人さまの場所でさせていただく機会はとても貴重。そして、その場が、そこに集う人たちが、そこで彼・彼女たちが媒介して流される音楽が最高であるとくれば言うことないよ、ほんとに。お酒もクスリもいらない。

音楽の話をしようよ。僕と会ったら。

最近、若者たちと交流する機会が増えてきたんだけど、音楽の話にならないことが多い。名曲・名盤を知ってるとか、渋いアーティストを知ってるとか、そういうことじゃない。「音楽に疎い」とか「得意じゃない」とか言う人がいるけど、そういうことじゃない。

あなたの中で流れている音は?

ってことです。

学歴エリートもリベラルも、若い子たちも、物事の表面的な部分しか話さないから本当につまらない。パーパス考えてKGI/KPIに落とし込んで、ティールやって、アクセラレーターでミートアップしても良いよ、ほんとに。でも、僕らはいつでもきみ、あなたが奏でている音楽が聴きたいし、踊りたいし、なんなら飛び入り参加したいし、後でリミックスしたい。

絵を見せて。
音楽を奏でてよ。

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