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完成!『あぱとぅん』ぬいぐるみ試作第2トライアル 布バージョン

前回の記事でフェルトで試作した『あぱとぅん』を紹介しました。 今回は布地(コットンブロード)での試作品が完成したので紹介しま〜す。

今回は、前回の型紙をほんの少し修正したものを使用して、フェルトと布で同じものができるかどうかを検証するための試作です。 しかし、ただストレートに縫い上げるだけだと飽きてしまうので布バージョンは中にワイヤーを使った骨を仕込んでポーズを変えられるように作ってみました。

まずは完成写真

フェルトと布のあぱとぅんを並べてみましょう。

左がフェルト、右が布
横向き
後ろ

フェルトは織物の布と違って曲面を滑らかに仕上げることに向いています。 反面、繊維を圧縮した不織布なので摩擦によって表面が毛羽立ちやすく、それを防ぐために僕は水溶きボンドで表面処理を施しました。

織物の布地では表面処理は特に必要なくなるけれど、縫い代の処理とほつれ止めが重要になります。 特に今回の試作第2トライアルでは型紙のサイズを第1トライアルよりもひと回り小さく出力しているため、縫い代がタイトで難易度が高くなっています。

実際ぬいぐるみをコットンブロードで作ることはあまりないと思うけれど、形を確認したいので今回は敢えてこの素材。 大抵はフリースとかファーとか、最近ではぬいぐるみ用の起毛素材があるのでそういった素材を使うことが多いと思います。

今回作っているのはこのくらいのサイズです。 布バージョンは座りポーズ。

一般的な大きさの500mlペットボトルとの比較

製作過程を少し紹介

さて、今回は中に骨が入っているのでどんな感じに作ったのか少しだけ紹介していきましょうか。

口の上下を縫い合わせた状態

まずはいちばん大事な顔。 上下の唇を縫い合わせます。 上唇には四箇所のダーツを取ってあるので形もきれいに出るはず。

頬の部分と体の側面パーツも縫い合わせた裏側

背中以外のボディパーツを縫い合わせるとこんな感じの裏側になります。 縫い代はほつれ止め液で処理してあるので、カーブに合わせた切込みを入れてもほつれにくくなっています。 カーブの縫い代はアイロンを掛ける時に攣れてしまいやすいので必ず切込みを入れます。

今回も裏打ちで口元から頬の表情を作ります。

フェルト試作のときと同様に裏打ちで口元から頬にかけての形状を造形します。 裏に縫い付けた布と表布の間に中綿で起伏を造形。

口元の表情表側

裏打ちの造形が出来たら、裏布を縦の縫い目部分の縫い代に裏側から、引き攣れず表に糸が出ないように縫い止めます。

骨を作る

今回はポーズを付けられるようにするので、中にワイヤーで作った骨を入れます。 要所はエポキシパテで適当に造形。

この骨を身体の中に仕込む方法はどうしようかなと考えていたとき、たまたま以前興味を持って買っておいた羊毛フェルト用のニードルが目に入ったのでコレを使ってみることにしました。 ニードルフェルトの要領で中綿を造形したら綿入れがスムーズにできる気がする!

ニードルワークで大まかに造形

いい感じです。 これに皮を被せるようにして中身を仕込むことにしました。 脚は後で作ります。

縫い上げた手

今回仕上げ難易度が一番高そうなのが手。 サイズを小さくしたことで指も小さくなっているので綺麗に縫い上げられるか少し心配だったんだけど、割とスムーズに縫い上がりました。 縫う前に縫い代にしっかり切込みを入れておいたのが縫いやすさに繋がったんでしょう。 表返す前に縫い目はしっかり割りアイロンで形をつけておきます。

こんな感じに製作を進めて、実は一番難しかったのは足の裏でした。 踵から爪先の長さが12mm程なのでメチャクチャ縫いにくかった。 この型紙ではこのサイズが下限ですね。 これ以上小さくするには型紙の造りを変える必要があります。

完成!

小さいサイズでの試作はわりと大変でしたが、無事完成。 中に入れた骨のお陰で自由にポーズもつけられるようになりました。

座りポーズ
「よっ!」

いやぁ、楽しい!
フェルトと織物で形状確認ができて、特に気になる部分も残っていないのでようやく型紙は完成。 次はついにパペットを作る予定!

ですが、それと並行してトリセツも作っていこうと思うのです。 僕のぬいぐるみ型紙第1号『あぱとぅん』を皆さんにお届けできる日が楽しみです。

サポートしてくれる人が増えると、新しい作品を作る余裕も出てきます。余裕は新たな可能性を見出す機会をもたらしてくれますね。新たな可能性からは今までと違った視点も生まれるかもしれません。