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尼崎市のPTA適正化に向けて

 尼崎市におけるPTAの不適切運営を適正化させるべく、私の経験を中心に情報発信し、また、皆さんからのご意見・ご相談を募集いたします。
 尼崎市は、「PTAへの強制加入や役員強要がない」と言うのが市の正式回答です。もし、あなたの学校が強制加入や役員強要があるなら、市内初事例となります。


尼崎市におけるPTA適正化状況

 尼崎市の公式見解としては、現在市内のPTAにおいて
・強制加入や強要はない
・PTA連合会でガイドライン作成を検討中

 とのことでした。これは、以前尼崎市の社会教育課に問合せを行い、社会教育課・教育委員会事務局より尼崎市PTA連合会の回答として得たものです。詳細なやり取りはこちらで公開しています。

 ただ、強制加入や強要をどのように調査したのか不透明ですし。PTA連合会から各校のPTAに問合せたところで、「うちは加入強制ですよ」なんて答えるでしょうか?
 また、ガイドラインに関しても「作成を検討中」ということなので、いつまでに作るか不明、また検討した結果作成しないこともあり得ると私は思っています。なお、2019年10月時点で尼崎市PTA連合会のHPにはガイドラインは公表されていません。
 また、もし強制加入や強要があれば、市内で確認初の事例になります。

PTAの不適切な運営問題その1 入学・加入時

 小学校入学と同時に加入の意思確認なく自動的にPTAに加入していませんか?
 私の時(数年前)は加入届もなく、任意性の周知もなく、学校から入学説明資料でしれっと学校が徴収するお金の内訳にPTA会費があること、PTAの旗当番が説明されていました。
 ただ、本来であれば加入するしないは自由のはず。
 活動内容をきちんとお知らせし、加入したい方が加入すべきではないでしょうか?自動的な加入・強制加入は結社の自由の侵害の疑いがあります。
 また、学校とPTAは別組織なので、学校配布資料にPTAの事項があると保護者にPTAと学校の関係を錯誤させてしまいます。
 PTAの適切な運営に向けて次のような対策が必要ではないでしょうか?
任意性および活動内容の周知
加入届・退会届の整備
学校配布資料からPTA関連事項の削除

PTAの不適切な運営問題その2 クラス委員選出時

 さて、自動的に加入してしまったPTAで次に待っているのがクラス委員の選出です。クラス委員選出に際しては、保護者の前で出来ない理由を述べさせるという人権侵害を行う段取りとなっていました。
 また、クラス委員選出も学校行事と渾然一体で行われており、次のような順序です。
 ・5時間目 授業参観
 ・6時間目 学級懇談会、担任の先生と意見交換
 ・引き続いてのPTAクラス委員選出
 さらに「推薦された人が出来ない場合は、クラスの保護者全員の前で出来ない理由を述べさせる」などと言う、信じられないやり方で選出させる段取りでした。
 噂には聞いていましたが、まさか自分の所が、と言うのが正直な感想です。また、このようなことが学校内で行われようとしている事に戦慄しました。
 学校としては、このような人権侵害の恐れのあるPTAに対してPTA室を無償貸与するなどの便宜を図ることは問題ではないでしょうか?
 適正化に向けては、出来ない理由を公表させることは人権侵害の恐れがあります。出来ない理由の公表は即座にやめるべきです。
 なぜ、人権侵害の恐れがあるような事をしてまで、組織を維持するのでしょうか?活動内容が会員が望むものではないから、負担が大きすぎるからではないでしょうか?立候補者・有志のみで活動できる活動とするよう事業内容を見直してみてはいかがでしょうか?

PTAの不適切な運営事例その2(番外編・他校の事例 2019/12/24更新)

 市内の学校でPTA役員をされている方から、「PTAの活動内容・運営に疑問がいっぱいある。適正化について調べているうちにこの記事を見た。うちのとこでは、役員免除に際して事前にセンシティブな家庭の事情を収集・司会が読み上げている。」と言うお問合せがありましたのでご紹介します。
 お問合せがあった方の学校では、各クラス3名から「理事」を選出。選出された理事の中から1名の「理事長」を選ぶとのことでした。
 その「理事長」選出に際して、PTAが「理事長選出を免除して欲しい理由」を事前に収集。「理事長」選出に際し参加した理事全員の前で司会が、〇年△組の〇〇さんの「免除される理由(各家庭のセンシティブな内容含む)」を読み上げていた。とのことでした。

 このような各家庭センシティブな内容を含む情報をPTAが事前に収集、保護者の前で読み上げるという行為は、新しい人権と言われているプライバシー権の侵害ではないでしょうか?
 そもそも、ボランティア活動であるPTAの役職を「免除」という発想・概念が似つかわしくないと思いますし、どうして同じ保護者同士そのようなセンシティブな私生活上の情報を収集・公表するのでしょうか?

PTAの不適切な運営問題その3 学校行事運営時

 様々な学校主催行事の運営にPTAのクラス委員が動員されています。例えば次のようなものがありました。
 ・入学式の受付や来賓接待(給茶)
 ・体育大会の受付・来賓接待(給茶)・テント設営
 ・卒業式の受付や来賓接待(給茶)
 ・オープンスクールの受付。
 これらを依頼するのは校長・教頭
 これを受けるのが会長含む執行部
 実際に作業をするのは末端のクラス委員
 こういう構図です。

 本来、学校主催の行事は学校が運営すべきです。身の丈に合った運営をすれば良いのに、背伸びをしようとしPTAに無理をさせている。
 学校長は学校主催の行事はボランティアであるPTAの協力前提ではない形で検討すべきではないでしょうか?

PTAの不適切な運営問題その4 備品購入・設備修繕

 文科省の調査でも明らかなように、学校の設備やその修繕費、備品は学校・自治体が負担すべきものです。ところが、本校において次の備品や設備をPTA会費から賄う実態がありました。
 ・テント
 ・緞帳(どんちょう)の修繕
 本来は学校・自治体の予算で賄うべきものですのでPTA会費で対応すべきものではないと思います。
 また、カーテンのクリーニングもPTAに依頼されていました。カーテンも学校の備品ですので、その維持は学校でやっていただくのが本筋だと思います。

 また、学校の入校証もPTAが発行しているので、こちらも本来は学校が発行・管理すべきではないでしょうか?

PTAの不適切な運営問題その5 意思決定プロセス

 本校PTAは総会が最高意思決定機関、クラス委員で構成される委員会がそれに次ぐ意思決定機関。
 会長・副会長・会計などで構成される執行部は企画を提案し実行する。
 これが、規約に定められた組織の構造であり、この構造自体は良くできたものだと考えています。言うなれば行政府と立法府を分けている民主主義の縮図かも知れません。

 しかし、実態は執行部がすべてを決定していました。クラス委員は言われたことをするだけ。活動の効率化や省力化を提案しても「執行部が許さない」と言う他の保護者さんの話も聞きました。
 クラス委員は専門部として広報や総務などの役割があり、広報誌の編集やベルマーク集め、学校行事の受付や手伝いなどの実行部隊でもあります。年末に委員会に参加した際には「ようやく終わった」「もう二度としたくない」と言う声も聞きました。
 月1回開かれる委員会は、執行部が前年通りの活動を各委員に命令するような場になっており、どういう活動をするのか?と言う議論は一切なされていませんでした。
 自分たちが決めているルールに基づいて運営できれば、そういった不満はなくなり持続可能な形でPTAを存続させることができるのではないでしょうか?

行政に期待することと自分達で解決すること

 教育行政に対しては学校運営に関して次の点の指導を期待したいです。
 ・まずは全市的な全保護者に対するPTA活動の実態調査の実施
 ・学校とPTAをきちんと区別し混同しないこと
 ・学校行事の運営はPTAの協力ありきにしないこと
 ・学校内で活動しているPTAが人権侵害の恐れがある活動を行わないようにきっちり指導する
 ・学校の設備や備品の購入および修繕をPTAに依頼しないこと

こちらで「PTA適正化に向けた行政への要望・提言」として再整理しました。

 自分達で解決すべきこととしては次のような点かと考えています。
 ・入退会届を整備する
 ・人権侵害の恐れのあるクラス委員の決定は行わない
 ・規約に則った意思決定・組織運営を行う
 総じていえば、健全なボランティア組織としてやりたい人がやりたいときにやりたいことを行う。保護者全員が加入しない事を恐れない。

まとめ

 尼崎市に問合せた結果、市内では強制加入や役員強要はないとのことでしたが、市側は実情を把握していないのではないでしょうか?
 ご存知の通り、2019年 尼崎市の教育は体罰問題で大いに揺れました。実は6年前の2013年の市議会で「体罰は起こらない、ない」という事が確認されていました。大きな問題が起こって初めて事態の深刻さに気付く。
 PTAも同様に「強制加入や委員強要・人権侵害はない」とされていても、実態は異なるのです。

なお、記事の執筆に際しては「PTAのトリセツ」を参照させていただきました。

事例・情報収集を取り止めたので一部記載を見直しました。[2024.3.12]

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