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〈離職者向け〉退職後の転職活動で気をつけたい、たった一つのポイント ~離職者の再就職支援経験 + 43歳で自分も同じことをした体験から考える~

転職活動をする時、退職前にするのか?退職後にするのか?で迷う方もいらっしゃると思います。
また、退職後の転職活動は不利、という声もよく聞かれます。

私は、人材業界で20年以上仕事をさせていただくなかで、2008年リーマンショック後の2009~2012年の3年間、会社の業績不振から早期退職(実態は、リストラ含み)をした方々の再就職支援をしていました。
この以外に、転職エージェントとしては9年の経験があります。

また、私自身5回転職を経験していますが、43歳5回目の転職は、退職を決めてから転職活動をしました。
(ここでは、”退職後の転職活動” = "退職を決めてからの転職活動"という定義で話をさせていただきます)。

退職後の転職活動は不利なのか、という問いについて、私の結論は、

 難易度が上がる

と考えています。
”不利”というのは、転職先が決めにくいという意味合いが含まれているように私は感じています。

別に退職後に活動をするから、選考のハードルが上がるとか、そういうことではないので、私は”不利”という言葉は使いません。

ただし、在職中の方とは違う難しさ、制約がでてくるため、転職活動のやり方について難易度は上がると思っています。

この記事では、私自身の再就職、転職支援の経験と、直近で退職後に転職活動をした体験などから、

・ 退職後の転職活動が、どうして難易度が上がるのか?
・ 退職後の転職活動で気をつけたい、たった一つのポイント

についてお話いたします。


① 再就職支援の時に感じた、求職者の変化

1-1 良い方なのに厳しい転職市場

2009年に、東京の大手電機メーカーの半導体部門が売却されることになり、そこから180名の早期退職者が出て、その方々の再就職支援に携わっていました。

私が支援担当をした方々は、年齢は30代後半~40代後半の方々。
大手の方々ですので、学歴は総じて高く、この会社1社で辞めずに続けてきた真面目な方々ばかりでした。

1~2週に1回、こうした方々と就職支援のための面談を実施し、応募書類の添削や、求人案件の紹介、市況の情報提供、面接の準備、これらに付随する不安、悩みごとの相談対応をしていました。

当時の転職市場は「35歳限界説」が定説。
30代後半でも、当時の転職市場的には”厳しい”人達。40代、50代になれば、その厳しさは格段に上がります。

求職者への支援期間は1年間。
この状況でしたので、比較的早く就職先が決まる方で、3か月位
6か月以内で決まる方は、全体の半分くらいだったと思います。
1年経っても決まらない方も、当時で10数名出してしまいました。

1-2 求職者のよくない変化

私が日々、面談をさせていただき、支援が始まって1カ月、2カ月、3か月と経過する中で、求職者が変化していくのに気が付きました。

それは…

 キレが無くなっていく…

どういうことかというと、

  • 表情が優しい感じになっていく

  • 話し方がゆっくりしてくる

  • 服装も少しずつラフになっていく

  • 男性であれば、髭が目立ってくる

など。

普段仕事をしている時は、様々な仕事に「期限」があります。
顧客対応や社内折衝、上司からの命令、部下とのやり取りなど、対人関係において「ストレス」が発生します。
色々なことを考えるため、常に頭が「回転」している状態です。

仕事をするという環境に身を置くことで、ビジネスパーソンとして、このように”キレッキレ”の状態ができています。
身だしなみはきちんとしており、話し方に張りがあり、スピード感がある。レスも早い。

退職をして仕事から離れた生活を過ごすと、この”キレ”が無くなっていく。
それは、日々日々求職者と面談をする中で、ハッキリと感じました。

この状態のまま面接に行くと、採用する側から見ると「仕事がそんなに出来なさそうな人」と思われかねません。

また、現実に仕事を再開する際、まずこのキレを戻すのに、離職期間と同じくらいの期間はかかると見ておくと良いと思います。
この点はスポーツなどと同じで、今まで通り仕事ができるようにするための”体力を戻す”必要があるからです。

② 私が43歳で5回目の転職をした時のこと

1-1 意図せず退職となり、転職活動を始める

私がこれまで5回転職をした中で、5回目以外は全て在職中に活動を行い、転職先を決めてから会社に退職を申し出て、離職期間を作らずに次の会社に入社していました。

5回目の転職活動のきっかけは、お恥ずかしい話、当時在籍していた会社で1年超、実績が非常に悪く、戦力外となったことでした。

当然、戦力外になるまでは目の前の仕事に注力しており、転職活動などしていなかったため、退職が決まってから、転職サイトに登録をしたり、エージェントとの面談セッティング、履歴書、職務経歴書作成等をはじめました。

1-2 自分でも感じた”キレの劣化”

2020年6月末に最終出勤を終え、7,8月と2か月間が有休消化期間。

人に対して、在職中に転職活動はしましょう、とお話をしていた立場でもあり、仕事を探して紹介する立場でもあります。
自分の仕事が決まらないことほど恥さらしなことはないと思っており、何としてでもこの2ヶ月で次を決めよう!とコミットしていました。

7月に入り、キレを落とさずいつでも仕事復帰ができるよう、次のことを実践しました。

  • 朝7時30分に起きて、ジムでランニング&トレーニングをする

  • 9時くらいから、1時間30分かけて日経新聞を読む

  • その後、求人探し、応募、企業研究など転職活動をする

  • キャリアコンサルタント仲間と勉強会を主催していたので、仕事と同じ温度感でそれに取り組む

最終出勤を終えてからも、朝起きる時間に変化はなく、生活のペースは変わりませんでした。

しかし、こうして生活をしていても、1カ月もしないうちに、自分の中で違和感があるを感じました。

普段の仕事の時は、会社で決められた勤務時間、社内MTG、上司などへの報告、お客様対応、社内の提出物など、常に会社の管理下に身を置き、誰かに見られている状態。

しかし、この当時の転職活動は、誰にも管理されていません。
7時30分起床で、その後ジムに行くと決めてはいましたが、別に寝坊をして、ジムをサボったからと言って、誰も見てなく、何も言われません

転職活動で、応募企業やエージェントなどへの対外的な対応はありますが、たとえば、企業側やエージェントの担当者にすべき連絡をしていない、提出物を出していない、となっても、直接の関係者を除けば、別に何も言われません。
何をしようが、上手くいかなかろうが、全ては自己責任。

誰かに管理され、見られている状態は、緊張感を生み、そこからキレが出てくる。
誰にも管理されなかったこの1か月で、気をつけていたのに、自分の中でキレが落ちているのを、悔しいながらも認めざるを得ませんでした。

1-3 管理下にあるとないとでの違い

誰にも管理されない状態は、気が楽で全て自分の自由にできますが、気を抜けば緊張感はなくなり、どんどんワガママになって、怠惰、キレのなさを生み出してしまう。

コロナ禍からリモートワークが拡がり、前職でもリモートワークが普通にできるようになっていましたが、リモートワークがいくら自由度が高いといっても、会社の管理下にある中での自由。
管理の傘にある中での自由と、それがない完全な自由とでは、明らかに違いました。

結局、8月末に今の会社に転職が決まり、有休消化期間中に転職活動を終了することができました。
もしこの時決まらず活動が続いていたら、モチベーションがどこまで保てるか自信がなかったですし、有休消化が終わって収入源も途絶えますので、どうなっていたことか…


③ まとめ

転職支援を通じて、離職した求職者の変化を目の前で見てきた経験、私自身の退職後の転職経験も踏まえて、退職後に転職活動をする事となった場合、守るべきたった一つのポイントとして考えているのは、

時間を決めること

だと思っています。

まず前提として、特段の事情がなければ、転職活動は在職中にすることを強くお勧めします。

何らかの事情で、それができず退職後に転職活動をする事となった場合は、
いつまでに次の会社に入社をするかを決めること。

ご家庭の事情、ご自身で個別にやりたいこと、リフレッシュ期間の確保、資格取得のための学習など、退職後に取り組みたいことがある場合でも、期限を決めて取り組むと良いでしょう。

もし、特段退職後にすべきことがない場合は、個人的には退職後3か月以内(有休消化がある方は、その日数を含めて)がオススメです。

応募するまでの準備や、応募後の選考期間(書類選考+面接はだいたい2回はある)などを踏まえると、順調に進んでも1,2ヶ月はかかると思います。

企業の試用期間が、3~6か月という所が多いですし、その間に離職後の”キレ”を戻すことも考慮すると、3か月以内が妥当になると思います。

また、人によっては、失業手当を貰いながらやりたい(自主退職であれば、退職後2~3か月+7日)、かなりの金額退職金をもらったので、ゆっくりやりたいという方もいらっしゃるかもしれません。

▼失業手当給付の待期期間については、厚生労働省の下記リンクをご参照ください▼

お金に対する価値観の違いもあるため、それらを優先させたい場合はそれも一つと思いますが、ご自身の市場価値の高い状態で転職先を決めたいのであれば、ご自身の現在の鮮度を基準に考えた方が良いと、私は思います。

退職後の転職活動は、自己管理という面で難易度が高くなりますが、その点を押さえれば、在職中の方より集中して転職活動に取り組めますし、短期集中で決められます。

良い転職先が見つかることを願っております。

最後までお読みいただきまして有難うございます。

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