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「体を壊す癖がある危機管理能力のない人物」石垣さん、その言葉、他の人にも言えますか?

きのう(2020年08月28日)、内閣総理大臣の安倍晋三さんが辞任を表明したことに続いて、参議院議員の石垣のりこさんが安倍さんを「大事な時に体を壊す癖がある危機管理能力のない人物」と揶揄して話題になりました。

病気は「身体を壊す癖」じゃ、ありません

何本か記事にしてきた通り、私も安倍さんと同じ潰瘍性大腸炎を患っています。しかも、日本ではなく英国で発症しています。

潰瘍性大腸炎を発症してから、留学の継続や将来のキャリアについて何度も悩んできました。「このままなら、いっそ」と思い詰めそうになったことも、実はありました。

もし、この潰瘍性大腸炎が単なる「癖」なら、どんな努力をしてでもやめていました。飲酒や喫煙のように「癖」だったら、確かに努力や苦労は必要かもしれませんが、それでもやめようと思えばやめられるでしょう。

しかし、潰瘍性大腸炎は「癖」ではなく「病気」です。そう簡単に、やめられるものじゃありません。

その言葉、他の人にも言えますか?

石垣さんの同僚を見ると、安倍さん以外にも難病や障害を抱えながら活躍されている国会議員がおられます。

例えば、れいわ新選組から参議院議員に当選した舩後靖彦さんと木村英子さんはそれぞれ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と脳性麻痺をお持ちです。他にも、衆議院議員の原口一博さんは骨形成不全症を抱えておられます。

彼らも病気や障害で職務遂行に苦労が多いと思いますが、石垣さんは彼らにも、安倍さんと同じ言葉を投げかけるのでしょうか。彼らが内閣総理大臣や閣僚に任命されたとしても、同じ態度を取るのでしょうか。

もはや人として信じられません。

「可能なうちに引き継ぐ」のも危機管理

Twitterでも述べましたが、どんなに準備しても大事なシーンで腹痛や下痢に見舞われることは多々ありました。

可能な限りの危機管理を講じても、症状から逃れられるとは限りません。もはや「危機管理」とかそういう次元ではありません。

それに、病気で倒れて前後不覚になるよりも前に、きちんと退陣して、落ち着いて後任に業務を引き継ぐのも、一種の「危機管理」なのは、大平さんや小渕さんのときを考えれば明白です。

内閣総理大臣は替えが効く兵隊ではなく、名実ともに「最高司令官」です。その立場でありながら、「いつ倒れるか分からないけれど続ける」のは無責任かつ、危機管理上の観点からも問題があります。

だから、「引き継げるうちに落ち着いてバトンタッチする」のも、内閣総理大臣としての危機管理の一環でしょう。

「病気の人は内閣総理大臣になるな」というのも、一つの考え方ではあるけれど

そうは言っても、確かに危機管理だけを考えるなら、内閣総理大臣には心身ともに健康でいて欲しいのは確かです。だから、自衛官や警察官のように一定の強健な心身を持つ人物のみが、その職に就けるようにするにも、確かに一案かもしれません。

しかし、政治家は「国民の代表」です。そして、その代表される国民に、病人、怪我人や障害者がいるのであれば、病気や障害があろうとも、基本的にはその座に就くことが拒まれてはなりません。それに、「実際に病気や障害があるから」分かることや見えることも多いはずです。実際に、安倍政権になってから難病患者への支援政策は前進しました。

また、業務において敵戦闘員や犯罪者と対峙したり、それ以外にも体力的な負担が大きい任務を担ったりする立場と、為政者の資質は別に考えられるべきです。もちろん、現実的には一定の健康や体力は必要であろうとも、その水準は現場で肉体を酷使する職務とは大きく違うでしょう。

だから、基本的に病気や障害があろうとも、政治家への門戸は開かれているべきであり、病気や障害を理由に拒もうとすることは「差別」以外の何物でもありません。

それでも、いろいろ言ってくる人はいる

実は、私も病気を揶揄されたことがあります。海外生活と闘病生活を両立した人を探している旨をFacebookで綴ったら、以前に私に粘着してきたNewsPicksユーザーさんがネチネチと嫌みったらしいコメントを寄せてきたこともありました。

※このネットストーカーしてきた人物はこちらの記事に登場する「スト山さん」と同一人物です。

やっぱり、病気や障害を持っている以上、そこにつけ込まれて攻撃されることからは、現実的に逃れられません。実際に、この石垣さんがそうであるように、安倍さんもご自身の潰瘍性大腸炎をダシに叩かれておられます。

だからこそ、憲政史上最長在任で内閣総理大臣を続けていたことは尊敬と賞賛に値します。同じ病気の患者としても、たくさんの勇気を与えて貰いました。この辺りは別の記事にまとめたので紹介だけしておきます。

私にも、「将来の夢」があります。達成したい目標がいくつもあります。別に政治家になりたいわけじゃありませんが、就きたい仕事もあります。そんなときに、病気や体調を論われることのないよう、もう少しだけ成熟した社会であって欲しいと願うばかりです。

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