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ミシュラン三つ星レストランへの挑戦 vol.18

東京・白金のフレンチレストラン「ラ クレリエール」のオーナーシェフ、柴田が日々、何を考えているかを綴ります。

第四章 レストラン ラ クレリエール

vol.1からご覧いただく場合、あるいは章ごとにご覧いただく場合はコチラからどうぞ
 → 第一章 レストランのシェフになる
 → 第二章 プロの世界へ
 → 第三章 「料理長」を見据えて

18.オープン!

最初のお客様

2016年4月21日、レストラン ラ クレリエールがオープンしました。
僕はシェフとして振る舞いながらも、朝からずっとドキドキしっぱなしでした。営業時間になってもドキドキは治まりません。でも、お客様がいらっしゃって料理を作り始めたら、自然と落ち着いてきてスッと心が晴れたのを覚えています。と言っても、その後は忙しすぎて、記念すべきオープン初日に“最初のお客様”を迎えた時の気持ちなどは正直よく覚えていません(笑)
最初のお客様は、50代の女性の方でした。フランス料理がとてもお好きで、お一人でゆったりとランチを楽しまれていたようです。

オープン当初の営業は・・・

クレリエールはオープン当初から昼夜営業でした。ランチは12時~15時30分、休憩を挟んでディナーは18時スタートで23時クローズ。月曜日定休とし、月に1回は連休を設けました。
メニューは昼夜共にコースのみ。ランチは3,800円~の3種類、ディナーは6,800円~の2種類のコースをご用意していました。

内容は、こんな感じです。
<ランチ>
■コースA(3,800円)
・バーガー
・アミューズ
・前菜
・スープ
・肉料理か魚料理
・デザート①
・デザート②
・ミニャルディーズ3種

■コースB(5,500円)
・バーガー
・アミューズ
・前菜①
・スープ
・前菜②(3種類からのチョイス)
・魚料理
・肉料理
・デザート①
・デザート②
・ミニャルディーズ4種

■コースC(8,000円)
・バーガー
・アミューズ
・前菜①
・前菜②
・前菜③
・前菜④
・魚料理
・肉料理
・デザート①
・デザート②
・ミニャルディーズ4種

<ディナー>
■コースA(6,800円)
・バーガー
・アミューズ
・前菜①
・前菜②
・前菜③
・魚料理
・肉料理
・デザート①
・デザート②
・ミニャルディーズ4種

■コースB(12,000円)
・バーガー/パテ/ブランダード
・アミューズ
・前菜①
・前菜②
・前菜③
・前菜④
・魚料理
・肉料理
・デザート①
・デザート②
・デザート③
・ミニャルディーズ4種

なかなか盛りだくさんでリーズナブルな感じじゃないですか?(笑)皿数が多い点は、今のクレリエールと似ているかもしれません。

プロは一人だった厨房

厨房は僕を入れて4人体制でした。実は、僕以外は全員、専門学校を出たてのピカピカの新卒。辻調のフランス校出身だったので研修としてレストランの厨房で働いた経験はあっても、プロとして現場に立つのは初めてというメンバーばかりでした。それで先ほど挙げた皿数を作るのですから、厨房の中は大変です。しかも、有難いことにディナーは4組8名のお客さまを迎えて初日から満席!僕の記憶が飛ぶほど忙しかったというのも大げさではないと思っていただけるのではないでしょうか?
一方、サービススタッフは2人。いずれもモナリザでも働いた経験のあるプロだったので、押さえるべきポイントを共有した上で、お任せしていました。

想像以上

レストランの初日、厨房スタッフのプロ初日、そして僕のオーナーシェフ初日は、初めてゆえの難しさやアクシデントがありつつも、なんとか無事に終了、感覚としてはあっという間でした。また、デザートのミルフィーユが「これは上手くいった!」と思える出来で、僕なりの手応えを感じる瞬間もありました。そして何より想定外だったのが、自分が思っていた以上に、お客様が喜んでくださったこと!
明日以降さらにお客様に喜んでいただけるよう、スタッフと細かいところまでミーティングをし、翌日に備えました。

順調なスタートの裏側で

「本当にやっていけるのだろうか?」片付けをして、スタッフを全員帰した店の中で一人、僕は考えていました。お客様には喜んでいただけたけど、実際には上手くいかなかったことや目指すレベルにはまだまだ届いていない部分も多く、考えれば考えるほど不安が膨らみます。
「でも、やるしかない!」レストラン ラ クレリエールは、もう走り出したのですから。それに、走り始めた以上、オーナーシェフとして、店を存続させてスタッフの生活を守ることは、僕が最低限やるべきことという自覚は強く持っていました。では、そのために、いま出来ることは何か・・・?

幸いなことに2日目以降も多くのお客様が来てくださって、最初の1ヶ月を黒字で終えることができました。お店の中には、どのテーブルも美味しそうにお食事を楽しまれているお客様の姿。しかしその裏側には、常に不安と格闘しながら“いま出来ること”を追い求める僕がいました。

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このnoteを初めて読んでくださった方へ
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はじめに初めまして。ラ クレリエールの柴田です。
白金でフレンチレストランのオーナーシェフをしています。
2020年のコロナ自粛の間、レストランのあり方や自分が今後進むべき道など色々と考えました。その中で「ミシュランで三つ星を獲得すること」を一つの指標として強く意識するようになりました。
そして、どのようにすれば三つ星を獲得できるのか、三つ星にふさわしいと皆様から認めていただけるのか、日々、考えたことや行動したことを記録に残そうと考えました。
ご興味を持っていただけたら幸いです。

お店の公式Facebook、youtubeチャンネルもご覧ください。

https://www.facebook.com/Laclairiere


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