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中学英語教師のTOEIC平均スコア560点というのは本当なのか?

こんなツイートを見かけた。

中学英語教師のTOEIC平均スコアは怒濤の500点台という統計である。
いくらなんでも低すぎるだろう。冷静に考えて欲しい。

日本国民は等しく義務教育で英語を学んでいるため、普通に中学を卒業していれば英語で日常会話をこなせるはずである。すなわち、日常会話レベル相当とされるTOEIC600点程度なら誰しも苦労せず取得することができるということになる。

英語教員というのは英語を教える立場なのであるから、当然この600点よりはワンランク上、簡易なビジネス会話も可能とされる730点くらいは取っていると容易に予想が付く。

一般的には英語が不得意だとされる理系学部でさえ、卒業要件だか、大学院入試だかでだいたい600点は要求されるのである。英文系の学部を卒業し、日頃から英語を生業とする教師が500点台はさすがに悪意のあるデマだと疑わざるを得ない

ツイートには「ネットより引用」と書いてあるから、そもそものソースが怪しい。少し検索すると以下にたどり着いた。

かたや日本では、英語教員のTOEICの平均スコアが中学560 点、高校620点という統計がある。

どうもソースが週刊ポストらしい。「統計がある」と記載されているが、その統計が見当たらなかった。どうやらデマの可能性も大いに出てきたので、ならば本当の平均はどのくらいなのか調べてみようと思った。

しかして、5分くらいネットをあさると以下の記事に行き着いた。

京都の中学校で英語を担当する教諭74人にTOEICの集中セミナーを実施。セミナー後の受験結果は、実に730点以上を得点した人数が全体に占める割合はたったの34.5%で、全体平均点は588点であったということだ。




……ちょっと待て。雲行きが怪しくなってきたぞ。




いや、冷静になろう。上の記事は、あくまで京都に限った話に過ぎない。
京都は日本の伝統文化が色濃い土地であるから、他県に比べて英語が浸透していない可能性があり、単なる地域性かもしれない。

もっと確かなデータを元にしなくてはならない。そこでさらにネットを探索していると、文部科学省の「英語教育実施状況調査」にたどり着いた。

これは国が主導で実施している調査である。先ほどの週刊ポストの記事が2011年つまり平成23年なので対応するデータを見たかったが、どうも平成25年度までしか開示されていないので、こちらを紐解こう。

「中学校」の調査結果に以下のような記述があった。

英語担当教員のうち、英検準1級以上又は TOEFL の PBT 550 点以上、CBT 213 点以上、iBT 80 点以上又は TOEIC 730 点以上を取得している者は、全体の27.9%(平成24年度27.7%)

全体に占めるTOEIC730点以上相当の割合が30%を切っているという驚愕の結果が記載されている。先ほどの京都の結果は、34.5%で平均が588点である。全国水準はその34.5%よりもさらに低い27.7%であるから、おそらく平均点も588点よりは低い結果になっている蓋然性は高いと言わざるを得ない。

こうなってくると週刊ポストの英語教師の平均TOEICスコアが560点台というのも、妥当な線になってくる。
先ほどの好意的な推測もむなしく、むしろ京都は全国水準より英語が得意だったというオチだった。

こうなってくると義務教育の英語には全く期待できないということになる。
なにせ中学の英語教師の平均TOEICスコアが英語での日常会話不可レベルの500点台なのである。普通に考えて500点台の人に教わったクラスが日常会話可能になるわけがない。

というかさっきの京都の件、別記事を読むとこんなことが書いてある。

500点未満が14人おり、最低点は280点だった。


280点はギャグだろ。

ターゲット1900からやり直してほしい。


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