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【AZ】今年よりも先を見据えて【トレード期限まとめ】

 お世話になっております。先日のシーウォルド獲得に続いていくつかトレードがありましたので、それぞれについて見ていきます。それほど大きな影響があるものではないので、簡単にまとめる方針でいきます。


トレード①Jace Petersonを獲得

 アスレチックスからJace Peterson(ジェイス・ピーターソン)をトレードにて獲得しました。対価となったのはAAでプレーするスターターのChad Patrick(チャド・パトリック)です。また、来年度のピーターソンの年俸500万ドルのうち200万ドルはアスレチックスの負担になるとのこと。

 このトレードのねらいはJosh Rojasを放出したことで抜けた左打ちのユーティリティープレーヤーの補強でしょう。ピーターソンはキャリアを通じて捕手以外のすべてのポジションについたことがあり、三塁、二塁を平均以上のレベルで守ることができる守備型のプレーヤー。加えて打撃面でも最低限我慢できる程度の打力は持っており、リザーブとして保有しておくぶんには困らない選手です。また、来季も3Mという格安で保有できる点もなかなかお得感があります。大勢に影響を及ぼすことはないでしょうが、よい動きだったのではないでしょうか。

 また、対価として放出したパトリックはFangraphs、MLB公式ともにプロスペクトランキングでランク外の選手。今季はAAで先発として91イニングを消化し、90奪三振、36四球で防御率4.71と悪くない働きは見せていました。ただ、現状D-backsは先発のプロスペクトが徐々にAAAで渋滞しつつある状況でしたので、なかなか出番はなかったでしょう。トレードの対価になるのであれば問題ないと思います。

 全体としてみると、獲得の意図、年俸、トレードの対価といずれを見ても「まあいいんじゃない」の一言であらわせるかと思います。なんじゃそれ。

トレード②Peter Strzeleckiを獲得

 ブリュワーズからPeter Strzelecki(ピーター・ストレゼレッキー)をトレードで獲得したのが2つ目の動き。対価として、Andrew Chafin(アンドリュー・チェイフィン)を放出しました。

 ストレゼレッキーは現在27歳のリリーバー。ややサイドスロー気味の変則フォームから繰り出される変化球を武器に昨年MLBデビューを果たし、30試合、35イニングでfWAR0.4を記録する堅実な働きを見せました。今季はやや不調に苦しみ36試合、35 2/3イニングでfWAR0という成績ですが、依然としてイニング以上の三振を奪うなどまずまずの投球を見せていました。まだMLB2年目であり、最大2028年オフまで保有可能なのは長期的なビジョンを考えたときに有意義な補強であると言えるでしょう。

 一方、放出したチェイフィンはここまでチームの勝ちパターンとして43試合、34 1/3イニングを投げてfWAR0.7を記録する活躍を見せていました。クラブオプションを行使すれば2024年まで保有可能なため、無理に今季放出する必要はなかったのですが、チームとしてはより安く、長期にわたって保有できるストレゼレッキーに魅力を感じたということでしょう。今季は左のリリーバーとしてKyle Nelsonが台頭し、チェイフィンを凌ぐパフォーマンスを見せていることも放出につながったかと思います。

 年俸負担を軽減しつつ、来年度以降も見据えて救援陣を整備する冷静な動きだったように思います。

トレード③Tommy Phamを獲得

 最後はメッツからTommy Pham(トミー・ファム)を獲得したトレード。対価としてDSLでプレーする17歳の遊撃手Jeremy Rodriguez(ジェレミー・ロドリゲス)を放出しました。

 この補強を見てやや疑問符を抱いた方は多かったのではないでしょうか。というのも、拙noteではD-backsの野手が非常に充実しており、外野手に至っては何人放り出しても構わないレベルであることをこれまでに指摘してきたためです。にも関わらずファムを獲得したのはなぜでしょうか。考えられる要因はいくつかありますが、その手がかりの1つは以下の画像です。

紅に染まった この鯖を 見逃せるオタクは まあいない

 ファムがStatcast系指標で非常に優秀な選手であることはよく知られていました。ただ、2020年のパドレス移籍以降は年々指標が悪化しており、加齢の影響が不安視されていたところでした。しかし今季メッツと契約した途端にこのとおり。プラトーン起用で十分な休養が取れるようになったのが功を奏したのか、カージナルスやレイズ在籍時を思い出させるような素晴らしい活躍を見せています。この好成績がSavantオタクと噂されるHazenGMの目に止まったのが獲得要因の一つかもしれません。

 また、放出する対価の小ささも獲得要因の一つでしょう。今季のファムはわずか264打席でfWAR1.7を記録。トレードで移籍した選手で言えば、Justin Verlanderと同じだけの貢献を残しています。また、同じ外野手で言えばブリュワーズはfWAR0.5&年俸1350万ドルのMark Canhaに対し、MLB公式でチーム内30位の投手プロスペクト、Justin Jarvisを放出しました。

 このような市場情勢にあって、ファムの対価として放出したロドリゲスはFangraphsの評価でチーム内プロスペクトランキング30位の選手。Canhaと同じぐらいの対価で、安い上にfWARにして1以上多く稼いでいるファムを獲得できるのであればお得だという発想に至ったと見ることもできそうです。

 最後に、現在のD-backsはEvan Longoriaの故障離脱で右の外野手がやや不足気味でした。Lourdes Gurriel Jr.やKyle Lewisと役割がかぶる部分があるとはいえ、打てる選手は何人いても困りません。最近降下気味の打撃陣へのカンフル剤としても期待できるように思います。総じて見ると、シーウォルド獲得を除けば今回のトレードの中では最もよい動きだったのではないかと思うところです。

TDLの動きを振り返って。そしてこれからについて。

 TDLが終了し、この戦力で残り60試合弱、プレーオフを目指す戦いが続くことになります。正直今後どうなるかはなんとも言えませんが、マイナーを損なわないように立ち回りつつも打てる手は打った、というのが今回の個人的評価です。

 もちろんLorenzenやFlaherty、Giolitoといった先発投手を取れれば、今季のプレーオフを狙う動きとしては文句なしだったかもしれません。ただ、彼らの対価を見る限り、プロスペクトランキングにして全体トップ100以内かそれに準じる選手(Edgar QueroやHao-Yu Lee)、もしくはチーム内でトップ20前後に入る2,3選手を要求されるのは必至。依然として成長過程にあるD-backsにとって、それほどの対価を払うべきかというのはやや疑問でした。

 実際、HazenGMはシーウォルドを獲得したトレードのあと、来年以降のチーム強化も見据えて動いていることを強調していました。今回獲得した4人のうち、ファム以外の3人は来年まで保有権がある選手。ファムにしても、年齢や現在の年俸を考えれば十分に再契約が狙えるラインですし、現状の外野陣を見れば来季まで保有できることがプラスになるとは限りません。むしろ成長著しいJorge BarrossaやA.J. Vukovichといった右打ち外野手のプロスペクトが台頭するのを妨げてしまう可能性もあります。その点を踏まえても、全体として来季以降をも見据えた動き、というのはある程度一貫していたのではないでしょうか。

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