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【ARI】Corbin Carrollと契約延長【AZ】

 今月競馬でまだ一度も払い戻しがありませんので、今週初投稿です。来週こそは一山当てていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

 それはさておき、空前絶後、驚天動地、酒池肉林の大ニュースが先日発表されました。

 D-backsが我らがギガスーパーパーフェクトプロスペクトことCorbin Carroll(コービン・キャロル、以下キャロル)様と、2030年までの8年契約(+2031年のクラブオプションつき)で合意したのです。D-backsがMLB昇格間もないプロスペクトと長期契約を結ぶのはこれが初めて。今回は詳しい契約内容や、これまでのD-backsによる長期契約、かなり早いようにも思われる契約の意図について触れていきます。


コービン・キャロルってどんな選手?


 キャロルについてご存知ない方のために、簡単に触れておきます。キャロルは2019年にドラフト1位(全体16巡目)でD-backsから指名されプロ入り。その後COVID-19や故障の影響もあって出場機会が限られる中わずか142試合のマイナー出場でMLBまで到達しました。マイナー通算の成績は539打席で打率/出塁率/長打率は.310/.426/.588、OPS1.014。打高傾向にあるD-backsのマイナーとはいえ頭ひとつ抜きん出た成績を残しました。

 そして昨年8月にはMLBに昇格するとわずか104打席ながら4本塁打、OPS.830をマークし、MLBでも十分に対応できることを示しています。

 また、これだけ打てるのに守備走塁でも非常に高い評価を受けているのがキャロルのすごいところ。MLBではわずか225イニングの出場ではありますが、各種守備指標はすべて大幅プラスを記録。さらに走ってはマイナー142試合で52盗塁/7失敗。走れるしなかなか失敗しないという高い走塁能力を持っています。

 これだけの成績ですから当然各種媒体からの評価も高く、今季のナショナルリーグ新人王最右翼との声も。MLB公式のプロスペクトランキングでは堂々と全体2位につけており、D-backsはおろか今後のメジャーリーグ全体を背負う選手です。


詳しい契約内容について


MLBの契約情報サイト・MLB Trade Rumorsによると、キャロルの契約は以下の通りです。

契約金: 500万ドル
2023: 100万ドル
2024: 300万ドル
2025: 500万ドル
2026: 1000万ドル(調停1年目)
2027: 1200万ドル(調停2年目)
2028: 1400万ドル(調停3年目)
2029: 2800万ドル(FA1年目)
2030: 2800万ドル(FA2年目)
2031: 2800万ドル (FA3年目/クラブオプション)
総額:8年111万ドル(9年139万ドル)
※クラブオプション破棄時は500万ドルのバイアウト
※2029年〜2031年の成績によってさらに2000万ドルのインセンティブあり

https://www.mlbtraderumors.com/2023/03/diamondbacks-corbin-carroll-agree-to-eight-year-deal.html

 

 この契約によって、現在22歳のキャロルは30歳となるシーズンまでD-backsに在籍することが濃厚となったことになります。今後コンテンドを目指すD-backsとしては、非常に大きな契約を結べたと言って間違いないでしょう。



長期契約とD-backsのねらい


 近年のMLBでは、メジャーデビューまもない選手と長期契約を結ぶ例が多くなっています。たとえば、タンパベイ・レイズは当時デビュー1年目のWander Franco(ワンダー・フランコ)と11年1億8200万ドル、マリナーズはこちらも1年目のJulio Rodriguez(フリオ・ロドリゲス)と13年2億1000万ドルの超長期契約を結びました。


 また、チーム戦略として有名なのはブレーブスの若手主力陣との契約でしょう。最近でいえば、デビュー後1年ほどの2022年シーズン新人王・Michael Harris Ⅱ(マイケル・ハリス2世)と8年7200万ドルという、昨季のHarrissの成績を考えれば超お買い得にも見える契約を結んだことで話題になりました。

 ただ、キャロルの契約はこれらの例と比較しても一線を画するものであるように思えます。アリゾナ州の地元スポーツ紙・PHNX Sportsの記者であるJesse Friedman氏のツイートをご覧ください。

 FrancoやRodriguezはメジャー登録100日以上、Harrisも80日とある程度のキャリアを経た上で契約を結んだのに対し、キャロルはわずか1ヶ月強のMLB出場だけで契約を結んだことになるのです。メジャー登録100日以内の選手が結んだ契約という括りで見ても、年数、金額ともに最大規模の契約となったという報道も出ています。

 もちろん前述の通り、この1ヶ月でキャロルが残した成績は新人としては抜きん出たものです。ただそれを考慮しても、1年間通してプレーしたのは初めての22歳に与える契約としては異例な契約なのではないでしょうか。

 また、D-backsがこのような形で若手に長期契約を与えた例はこれまでありませんでした。これまでにD-backsが結んだ最大の契約は2015年にZack Greinke(ザック・グレインキー)との6年2億650万ドルですが、Greinkeは言わずと知れた大投手。25歳以下の選手と契約を結んだ例は2014年に結んだYasmany Tomas(当時24歳)との6年6850万ドルまで遡る必要がありそうです。


※Yasmany Tomasとの契約はなかなか悲しい結果に終わってしまいましたが……。


 D-backsがこれほど早いタイミングで契約を結びに行ったのには、早期の長期契約が近年のトレンドであるということもありますが、キャロルが失敗するリスクの小さい選手であるということもあるでしょう。キャロルは打撃、守備、走塁の全ての面でチームへの貢献が見込める、いわゆる5ツールプレイヤーです。また、2021年こそスイング時に肩を痛めての長期離脱があったものの、それ以外はほぼ怪我なくシーズンをまっとうできているという点も見逃せません。22歳という若さも含めて、もし長期契約を結んだとしても大きな失敗にはつながらないだろうという予測が契約の根底にあるように思います。

 さらに、D-backsのような貧乏球団にとって、キャロルと長期契約を結べるタイミングはこれが最後だという思いもあったのかもしれません。前述の通り、Julio Rodriguezは昨年新人王を獲得する活躍を見せ、キャロルの倍近い13年2億1000万ドルで契約を結んでいます。

 もしキャロルが下馬評どおりのシーズンを送った場合、今シーズン終了後にキャロルの8年間を1年あたり13Mという金額で買い取ることは間違いなく不可能だったでしょう。チームのペイロールを考慮し、ある程度思い切った策に出たと見るべきかも知れません。

 また、これは推測ですが、キャロルの長期契約にはチームの金融商品としての価値を高めるという意味がある可能性もあります。

 今年1月、D-backsの共同オーナーの1人であるKen Kendrickはエンゼルスの球団売却騒動が終わり次第、としながらもD-backsの株式を一部売却する方針であると語ったことが報道されました。エンゼルスの価値が大谷翔平と契約を結べるか否かによって大きく変動するという話があったことを覚えている方もいるのではないでしょうか。

 大谷ほどではないにせよ、キャロルもMLBで注目されている若手選手の1人。彼との長期契約が、チームの価値を高めることはおそらく間違いないでしょう。今回の長期契約には、球団株式を売却する際の売却価格を少しでも大きくしたいオーナー側の意向も多少なりとも含まれている可能性はあります。


所感


 D-backsファンであるという贔屓目を抜きにしても、この契約はかなりお買い得な契約であると考えています。資金力が強くなく、FAで有力選手の獲得が見込めないD-backsにとって、フランチャイズを代表するスターを確保する方法はトレードやドラフトで獲得したプロスペクトの育成をおいてほかにありません。

 その点で、キャロルほどの選手を最大9年間保有できるというのは今後チーム運営を考える上で極めて大きなアドバンテージです。なんとかこの9年間の間に、ワールドシリーズ制覇をしてもらえたら……と切に願っています。



 ということで、今回の記事は以上です。今季のみならず、来季以降の見通しも一気に良好になったということで、もう今後はD-backsの単勝ベタ買いするしかないのではないでしょうか(ずっと応援してね)。今後ともよろしくお願いします。


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