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【ARI】トレード期限予想

 お世話になっております。先日の中京記念ではスタートから果敢にハナを取りきったセルバーグがレースを作り、そのまま四コーナーまで先頭をキープ。最後は猛然と迫るGⅠ2着馬のディヴィーナ、一番人気のルージュスティリアを振り切っての重賞初制覇となり、私は▲→◎→○決着で無事馬単と三連単を逃しましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて、それはさておきいよいよ夏競馬、もといトレードデッドライン(TDL)の季節がやってきました。毎年この時期になるとTwitterに張り付いて眠れない夜をお過ごしのMLBファンも少なくないかと思いますが、今年は果たしてどのようなビッグディールがあるのでしょうか。我らがD-backsはどのような動きを見せるでしょうか。

 今回は現在の報道と過去のD-backsの動き、そしてチームの現状等を踏まえ、予想される動きを考えていきます。

D-backsのニーズについて考えよう

 現在のD-backsはNL西地区の3位。7月に入って故障者続出&リリーフの大爆発から失速し、ドジャースには差をつけられたものの、依然としてワイルドカード射程圏内をキープしています。ここからTDLまでの一週間でどのような状況になるかはわかりませんが、買い手を選択することには変わりないでしょう。

 ただ、(例えば昨年のパドレスやマリナーズのように)マイナー組織をほぼ完全解体しての大型補強を目指すかというとその線はかなり薄いと思われます。

 というのも現状のD-backsは勝ち星こそまずまず稼いではいるものの、フェーズとして見ればようやく再建期を脱したという段階。プロスペクトも全員出揃ったというわけではなく、チームの完成にはまだ時間がかかります。もちろん今季もプレーオフを狙うのは当然ですが、2024年以降継続的に勝負していくというのが基本線となるでしょう。

 また、財政の都合上大型FA補強があまり現実的ではないため、一度マイナーを枯らしてしまえば(近年充実してきた育成システムを考慮しても)立て直しにはそれなりの時間を要します。

 勝負する姿勢は示しながらも、それほどマイナーを損なわないような補強が中心になると予想します。

 なお、これは現GMであるMike Hazenの補強スタイルを見ても同じことが言えます。Hazenは2016年オフのGM就任以降、新型コロナの影響で完全ににっちもさっちも行かなくなった2020夏〜2021年を除けば極端なチーム解体やオールインを避けてきました。Zack Greinkeを放出しつつも穴埋めにMike Leakeを獲得した2019年夏、J.D.Martinezらを獲得しつつも傘下トップ3のプロスペクトはキープした2017年のTDLなどが代表例です。マイナーがスカスカで、主力のFAが迫っていた当時でさえこうだったのですからいわんや今季をや、といったところではないでしょうか。買い手といいつつも、情勢を見ながら一部売り手のような動きを見せてきても不思議ではありません。

この点を踏まえて具体的な動きを考えていきましょう。

まず、補強ポイントは

  1. 先発投手

  2. リリーフ投手

  3. 三塁手

  4. その他

の順になるでしょう(特に1と2)。

 まず、先発陣はRyne Nelsonがおおむね独り立ちしたとはいえ依然として4番手以降が不安定なまま。Tommy HenryやBrandon Pfaadtも良化の兆しを見せてはいますが、コンテンダーの先発投手としてはまだまだ力不足です。先発からロングリリーフまでフル回転してきたDrey Jamesonの長期離脱が確定したこともあり、長いイニングを消化できる優秀な投手は是が非でも確保しなければならないでしょう。

 また、リリーフはコンテンドを目指す以上何枚いても損にはなりません。今季はAndrew ChafinやScott McGoughといったベテラン補強組が奮闘し、中の下程度のリリーフ陣を維持できていますが、疲労もあってか最近は打ち込まれる日が死ぬほど目立ちます。安定して1イニングを任せられるリリーフを最低でも1枚、できれば2,3枚は確保したいところ。

 また、可能であれば打力のある三塁手や長打力のある右打者も確保したいところです。とはいえこれらの補強には大きな対価が予想されますし、あくまでも二の次にはなると思いますが。

 一方で、放出ポイントは1にも2にも3にも外野手(というか野手)です。現在のD-backsは外野手が大渋滞中。Corbin Carroll、Alek Thomas、Jake McCarthyの左打ち外野手三人衆に加え補強組のLourdes Gurriel Jr.やKyle Lewisが控え、Dominic FletcherやDominic Canzone、Tristin Englishといった昇格待ちのプロスペクトが複数控える状況。極端なことを言ってしまえば、次世代の遊撃手Jordan Lawlar以外の野手プロスペクトは放出してもよい状況です。

以上の観点から、実際に獲得したい選手、放出される可能性のある選手を考えていきましょう。

 競馬カスらしく、可能性の高い選手に印を打っていきたいと思います。

凡例
◎:獲得/放出可能性が高い(本命)
○:本命に次いで獲得/放出可能性が高い(対抗)
▲:本命対抗に次ぐ獲得/放出候補(単穴)
△:獲得/放出可能性が少しある候補(連下)
☆:その他可能性がある候補
消:獲得/放出可能性がない選手

https://regist.netkeiba.com/?pid=faq_detail&id=286

放出候補

◎Dominic Fletcher(ドミニク・フレッチャー)


 今年春のWBCではイタリア代表の主軸として出場。打撃だけではなく守備、走塁面でもチームを引っ張りました。日本戦でも活躍したので記憶にある方もいるのではないでしょうか。

 MLBでも今季序盤、ThomasやMcCarthyの不調に伴ってMLB昇格しました。93打席と少ない打席数なら打率.301/OPS.791をマークする好成績。守備でも外野3ポジションを守ってOAA2を記録するなど、下馬評に違わぬ高い守備貢献を残しています。

 ただ、現在の外野事情を考えると今後も出番がないというのが正直なところ。外野手層の薄いチームであれば最低でも4番手の外野手にはなれる存在なだけに、そこそこのリリーフ投手との交換相手にはなれそうな予感がします。

◯Lourdes Gurriel Jr.(ルルデス・グリエル)

昨オフにDaulton Varshoとのトレードでやってきた右打ちの外野手。DHや左翼手としてここまで100試合に出場し、OPS.751/fWAR1.0と堅実な活躍を見せています。今季FAなだけに、契約延長を考えないのであればもうここでさっぱり売ってしまいたいところ。

 コンテンダーとして振る舞う中でレギュラーを出すのは矛盾した動きにも見えますが、正直現在のルルデス程度の貢献であればほかのマイナー待機選手でもなんとかなりそうな水準ですし、買い手がつくのであれば迷わず放出してよいと思います。半年の保有ですので大した対価は得られないでしょうが……。

▲Alek Thomas(アレク・トーマス)


 昨季MLBに到達し、今季もセンターの(ほぼ)レギュラーとして君臨してきた若手外野手。MLB昇格後は打撃こそ期待されていたほどの成果を残せていませんが、それでも徐々に改善を見せており、すでに完成されている守備走塁を考慮すれば順調な成長を見せていると言えるでしょう。完成形だけを見れば、今回名前を挙げる放出候補の中では断トツのナンバーワンです。

 上手く育てばWAR3程度はコンスタントに期待できる逸材ですし、将来像を考えればここで放出してしまうのはかなり惜しいですが、対価次第では放出もありかもしれません。

 特にトーマスについてはタイガースがかなり興味を示しているそうです。タイガースはリリーフ陣にかなり優秀な選手を揃えているため、パッケージ次第では有力な交渉相手になりそうな予感がします。

△Blake Walston(ブレイク・ウォルストン)△Slade Cecconi(スレード・セッコーニ)
△Bryce Jarvis(ブライス・ジャービス)

 AAAでMLB昇格待ちのドラ1三人衆。3人とも防御率を見ると「どこが昇格待ちやねん!」と怒られそうな成績ですが、乾燥地帯&高地のスーパー打者天国であるリノ・エーシズでプレーしていることを考えれば大きな問題ではありません。少なくともプレーオフを目指さないチームであれば、先発投手として100イニングでfWAR1.5ぐらいは十分に期待できる……かもしれません。

 彼ら単体というよりは、他の選手と組み合わせてのトレードということになるかもしれませんが、有力な候補ではあります。

☆Yu-Min Lin(林 昱珉,ユーミン・リン)
☆Jorge Barrosa(ホルヘ・バロッサ)
☆Blaze Alexander(ブレイズ・アレクサンダー)

 その他候補となりそうなプロスペクトたち。リンは現在AAでプレーする投手、バロッサとアレクサンダーはAAAでプレーするそれぞれ外野手と内野手です。

 いずれも現在好調&そこそこバリューはありそうなタイプですが、今後のチーム構想に関わってきそうな雰囲気はあるのでよほどのことがない限りテーブルには乗ってこないのでは?と思っています。

 ただ、D-backsは野手育成に関してはある程度自身を持っていそうですし、事実Jansel LuisやChristofer Torinといった新星も出てきています。強力なスターを獲得できるとなれば、場合によっては……?

獲得(したい)候補

(出走取消)Lucas Giolito(ルーカス・ジオリト)

 とりあえず報道的にも対価的にも一番ありそうなのがジオリトでしょう。7月21日にMLB所属の記者であるJohn Morosi氏がD-backsがジオリトに興味を示していることを報じています。

 2019年にはfWAR5.2を記録するなどリーグ屈指の先発投手となったジオリトですが、ここ数年は低調な成績が続いており、昨季はfWAR1.5今季もここまでfWAR1.5と、

◎Michael Lorenzen(マイケル・ロレンゼン)

 現在タイガースの実質的エースとして君臨するロレンゼンを◎にしてみました。報道を見るとLucas Giolito(CWS)を推す声も多いですし、個人的にも手頃さと実力のバランスがちょうどいいと思っていましたが、今やLAAのものになってしまったので仕方ありません。

 ロレンゼンは今季ここまで100イニングを消化してfWAR1.4。コンテンダーが取るにはいささか物足りませんが、単年830万ドルとお手軽契約のため、要求される対価も安そうなのが狙いどころ。現状D-backsに必要なのはそこそこ抑えてくれる3番手投手ですのでロレンゼンはかなりマッチします。それゆえに競争相手も多そうなのが不安ですが。

◯Dylan Cease(ディラン・シーズ)

 D-backsの姿勢は今季へのオール・インというよりは、今季以降の継続的なコンテンドです。一方で、主力(Gallen、Walker、Kelly……)のFAを見据えると、2025年までには一度勝負をかける動きを示すと見るのが自然です。したがって、この半年のレンタルではなく複数年キープできる支配的な先発投手を狙いに行くのは自然な流れに思えます。

 対価としては相応に高くなるでしょうが、1年半キープできるエースクラスを取れるのであれば多少の出血は正直気になりません。それこそ野手であればLawlar以外は出してもいいのではないでしょうか。まあ、そもそもホワイトソックスが出すか?という問題はありますが。

 ※USA TODAYのBob Nightengale記者がシーズの放出はないとツイートしていましたが、ちょいちょい間違える記者なので逆にある方に賭けます。逆張りしてこそ高配当を得られるというもの。

▲Scott Barlow(スコット・バーロウ)

 市場を見ていると現実的にマーケットに出てきそうなリリーフが少なそうな予感はかなりするのですが、その中で数少ない「高確率で出てきそう」「コンテンダーでもやれそう」なリリーフがこのバーロウではないかと思います。

 来年以降も保有権があるのも嬉しいポイント。今季は少し成績を落としていますが、それほど痛手にはならないでしょう。リリーフなのでとんでもない対価を要求されることはないと思いますが、ゲームチェンジャーになることはないので他の補強も考えるべきではあります。


 ほかにも色々と候補の名前は見ますが、いちいち挙げていくとキリがないのでこのあたりにします。

まとめ

 とりあえず投手がほしいです。全国のGMのみなさん、トレード待ってます。

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